この作品をどう思いますか?

今日、1年生の授業「自然から学び、美しい形と色の作品をつくろう」で作品が完成しました。この作品が完成するまでに11時間を費やしています(色彩の学習も含て)大きさはB4、アクリルガッシュ使用。

この作品をどう思いますか?_b0068572_22223957.jpg以下は生徒の描いた作文です。

「(1)授業を通して感じたこと、考えたこと、発見したこと…私はこの作品をつくっている間に思ったことは、自分なりに小学校6年生の時よりけっこううまくかくことができてうれしいです。
何より絵の工夫をもっとできるようになった気がします。
(2)この授業を通して見についた力や感じ方、考え方…私は、この美術の時間を通して色の工夫や、絵の工夫がすごく楽しいものなんだなと思いました。
何よりも色を工夫を身につけたと思います。二番目に身につけた力は絵を工夫する力です。
最初は中のもようがなかったけれど、中のもようを入れたらよくなりました。」

俗にいう下手なのかもしれません。しかし、この生徒は制作中も誠実な態度で取り組んでいました。なかなか進まず悩んでいる様子も見えました。
実は、この作品の最終段階で「もっと工夫したら?」と声をかけようとしていたのでした。しかし、実際には「奇麗な色だね。なんか見ていたら気持ちが明るくなるね。」というようなことを話しました。ただ「完成かどうかを決める前に、作品から離れてみるといいよ」と加えました。
 そうして、黄色いイチョウの葉に模様をいれたのでした。

あの時、私が「もっと工夫をしたら?例えば…」なんて言っていたらどうだったのでしょう。
子どもの表現を受けとめるために私はこの作文も非常に大事にしています。
Commented by artshore at 2004-12-17 01:03
この絵、なんだか吸引力がありますね。
なんなんでしょう、飾り気もなく描かれたイチョウの葉の存在感でしょうか。
なのに、寂しげというか涼しげなバックの水色がまた、不思議な取り合わせです。
Commented by yumemasa at 2004-12-17 01:30
この作品、そういえば、簡単に描いているように見えるのですが、配色カードを手に何度も見直しながら描いていました。
artshoreさんの「飾り気もなく」という表現がなぜか彼女の雰囲気と重なったのでした。
Commented by ベネッセ嶋田です at 2004-12-19 05:00 x
ほんと、おっしゃる通りですね。先回りしすぎるのも良くないし、とはいってもテクニカル的にはこうしたらいいものがもっとできるんではないかと思ったりと先生ならではのジレンマですよね。美術の基本はやっぱり観察だと思うのです。テクニカルな面というよりそのものの関係性でしょうか。。。昔ある画家が言ってたことなのですが、秋の紅葉の色は赤ではないと。元々緑色だった葉から色素が脱け黄色になっているのだと。だから、僕は緑から塗り色を塗り重ねていくということをおっしゃってたような気がします。(かなり昔なので記憶があいまいですが・・・)印象に残っているという点では、生物学的な感覚をその画家は見ているのであって色や形などの表層の部分ではないんですね。本当のデザイナーおうにしてそうあるべきだし、時代をつくるデザイナーはその視点を持ち合わせていますね。美術はその視点を養うきっかけだと思うのです。本当に身に付けるべきはテクニカルなモノではなく、モノの考え方、観る力だと思っています。それを自分で気付けるプログラムは本当に難しいですよね。
by yumemasa | 2004-12-15 23:01 | 美術の授業(山崎) | Comments(3)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明