生きる美術 … 石巻アトリエ・コパン(寄稿 佐々木孝志さん)
2011年 04月 10日
●今回の東日本大津波大震災でおばあさんと九日ぶりに救出されたと報道された宮城の阿部 任(じん)君は私たちの岩手県美術部会で度々ご指導頂いて来たアトリエ・コパンの新妻先生の生徒だっていう話がサンケイスポーツ紙に載っていました。
その記事をどうぞ。
20日に東日本大震災で崩壊した石巻市の民家のがれきの中から9日ぶりに救出された高校生阿部任さん(16)が描いた絵画も大津波の被害をのがれていた。任さんが通っている同市内のアトリエ-コパンの新妻健悦代表(63)が22日明らかにした。
同アトリエも被害を受けたが、幸い任さんが手掛けた絵画や紙で作った船など、一部の作品は水につからず残っていた。また同代表は、任さんが10時間かけて黙々と作品を作るなど、強い忍耐力を持っていたことが生存につながった要因と指摘した。
自らの命を救ったのは、趣味の芸術で培った忍耐強さだった。任さんがコパンに通い始めたのは小1の時。その後、親が送り迎え出来なくなり、小4で一度アトリエから足が遠ざかったが、中2で再び再開。毎週のように絵画や工作などを手掛けて来た(略)。宮城教育大で非常勤講師も務めているコパンの新妻代表によると約180人いる生徒の中でも、任さんは特に独創的な作品を作るといい「枠にとらわれず、他の人が理解出来ないような自分の内面を表す作品を作るには、強い忍耐力が必要。それを任くんは根気よくやったら、その先に成果が待っているのを知っていた」と明かした。
性格もプラスに働いた。任さんは「日頃から無口なほう」だという。だが新妻代表は「慎重な性格だったから今回もエネルギーを消費せず体力を温存して行き長らえたのでは」と振り返った。
今回の震災ではアトリエも津波で約1メートルの高さまで浸水し、新妻代表らスタッフは二階に避難して水だけで三日間救助を待った。新妻代表は「救出された映像をテレビで見てホッとしたけど作品も残っていて本当に良かったよ」と胸をなでおろした。
任さんの夢は家具職人。中学卒業時には、就職か高校進学するかで迷い、コパンにも親とともに相談に来ていたが、現在通う東北生活文化大高美術コースに合格すると笑顔で報告に来たという。
高校に入ってからは(略)家具の中でも芸術性の高い飾り金具が特徴の仙台だんすを作りたいという。「任くんが行けなかった家具の展覧会のパンフレットをあげたら喜んでいたなぁ」と新妻代表。そんな芸術を愛する任さんの強い思いが生命力の糧となり、自らと祖母、二つの命をしっかりとつなぎ留めた。
●最後まで読んでくれてありがとうございます。思わず新妻先生の笑顔が浮かんで来て、皆さんに読んで欲しかったのです。そして美術の果たす役割も考えさせられました(佐々木)。
《関連サイト》
☆「アトリエ・コパン美術教育研究所」主宰新妻健悦氏における造形言語論とその実践に関 する考察
☆アトリエコパンの思い出。
さてcumosから生まれる美しさは、サイトを見せていただきましたが、格別ですね。やっぱり。
こうして、コメントをいただけて感謝です。