(寄稿)「アートの現場から」鈴木斉 Vol.18

  ー 復興へのプロジェクト ー   しろひげNature Art.W.S 鈴木 斉

 先日「田野畑村を応援する会」の義援金と物資を携えて、岩手・三陸の被災地に入りました。
 そこにはTVの画面では伝わりにくい、三次元の悲惨な状況が広がり、見回してはただただ言葉を飲み込むばかりでした。
 その帰途のこと。盛岡駅の通路に貼られた何枚ものポスターに足が止まりました。
 写真の画面から主張してくる力強いエネルギー。

 よく見ると「復興の狼煙のろしポスタープロジェクト」とあります。
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「3月11日。地球が小さく呼吸しました。」と始まるメッセージに、20種類もの写真ポスターが続きます。被災地で戦う住民の姿が、力のこもる言葉とともにB3の画面いっぱいにアピールされています。
 



「自分に何が出来るだろう?」と考えた盛岡に住むデザイナーと東京のカメラマンが、津波で被災した沿岸の釜石市に足を運び、撮影して立ち上げた復興プロジェクトです。
 写真ポスターという媒体を通して、被災地の方が自らを奮い立たせることを願うとともに、そのエネルギーを多くの人に伝える涙もののポスターです。

 ぜひ、多くの方に見てほしいと思います。

 復興の狼煙ポスタープロジェクトよりhttp://fukkou-noroshi.jp/ 復興に向かう今、様々な視点の創造力が求められ、いよいよアートの力が必要とされる場と時が訪れています。

 その中で「建築」というアートの分野で今、仮設住宅についての新たなアイデアが話題を呼んでいます。

 津波の被災地に隣接する「森林・林業日本一」を自称する岩手県住田町は、地元のスギ材を使った「木のぬくもり」あふれる木造仮設住宅の建設を始めました。
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それをサポートするのは「プロジェクトLIFE311」を立ち上げた、音楽家の坂本龍一さんです。

資材やエネルギーの地産地消という環境問題や、地元の雇用創出も考慮に入れながら、地域の力で復興を促すという、プロジェクトです。

 木の柔らかさと香りがきっと被災者の心を和らげ、癒してくれるに違いありません。
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LIFE311より

 次々に創造されている復興に向けての様々なアートプロジェクトを、応援していきたいものです。

 復興応援絆プロジェクトhttp://www.kizuna-japan.com/index.html

(山崎感想)今回の記事で鈴木斉さんが書かれたこと。実際に義援金を集め、被災地を訪れる応援活動をしているからこそ、のものだと思います。
 木の仮説住宅は、プロジェクトLIFE311のもと、被災した側の立ち場で取り組まれています。そして、この地だから、この状況だから生まれたものです。木造仮設住宅をつくることを通してつくりあげようとするものが実はものすごく大切なのだと思います。その考え方から教えられました。
 それから、この「ポスター」惹き付けられます。そう、被災した側の視点から、これからを未来をつくりあげるためのポスターになっているからでしょう。力強いです。写真家と地元の人との対話があるからこそ生まれてきたものだと思います。
 今回の記事を提供していただいた鈴木さんに大切な視点を教えられた気がします。支援と称して、支援される側の視点を欠いたもの、想像力を働かせていないもの、自分のしたことが、どんなことを生み出すのかあまり考えていないというか…そんなものも見受けられますから。
 さて、私もできることがまた一つ見つかりました。ここで紹介された「life311」には義援金を、それから「復興の狼煙のろしポスタープロジェクト」では組ポスターを注文しました。
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by yumemasa | 2011-05-29 02:33 | Comments(0)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明