子どもの表現を受けとめる

子どもの表現を受けとめる_b0068572_1703627.jpg先日、札幌の里塚幼稚園に行って表現活動を見せていただきました。その中で印象的だったこと、それは先生の姿です。どの先生も子どもの表現をしっかりと受けていました。一部の先生ではありません。
 それは単にほめて伸ばすなどというレベルのものではなく、一人一人の活動の様子や表現の意図に応じたあたたかい言葉でした。
「上手だね」「頑張ったね」「素敵だね」などという言葉ではなく、その子が描いた絵の意図に応じた言葉です。

子どもの表現を受けとめる_b0068572_17211176.jpg笑顔で子どもといっしょに絵を見る。わずかな時間です。そこには共感が生まれていました。
子どもが先生の言葉がけで笑顔になったり、目と目があったり、うなづいたり…。
「表現」(結果としての作品だけではありません)をしっかり「受信」してくれる人がいるからこその美術教育です。
 
美術教育でなくても、大人だってそうです。自分の意図した事に共感してくれる人がいたら、すごく、うれしいし、安心しますものね。

 このような教師の受信力の高まりは「絵の手紙」に取り組んでいることにもよります。

 さて、そんな保育が行われているのですから、私のところに、以前に描いた絵をどんどん見せにきてくれました。




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とにかく見てほしい。共感してほしい。
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次から次へと持ってくるので撮影どころではなくなりました。
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絵を見せながらたくさん、たくさん説明をしてくれました。

(追記)先生が笑顔になっているのは、子どもを「発見」するからじゃないかなあ、などと思いました。

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 ☆どんな作品ができたか、よりも、何を学んでいるか←ここで述べている事は、実は本質的にこの記事と同じです。

 ☆幼稚園・保育園の教育について

 ☆「いつも見かける中学生の印象と違います」
Commented by すずきひとし at 2011-05-30 09:29 x
うんうん、そうそう。
子どもたちのすごいところ、うれしそうなところに気づけたり、つきあえた時って、私たちの顔もほころんでますよね。それがまた子どもに伝わって、とっても大切な雰囲気が生まれる。「先生見て、見て!」っていうせりふ、いいよなあ。
Commented by yumemasa at 2011-05-30 21:04
ひとし先生、そうなんです。
私たちがどれだけ「気づくことができるか」「つきあえるか」なんですね。本当に。
幼稚園を見ていると本質的に大事なことが見えてくることってけっこうありますよね。
Commented by 石垣文子 at 2011-05-30 22:07 x
[絵手紙]いいですね。私が、関わってる保育園にお話を広げたいけれど、私自身が、見せていただいたり、保育者の方に御話しをお聞きしないと、確かな学びに結びつけない気がします。
近いうちに、山崎先生にしっかりお聞きして導入していきたいと思っています。
親子のコミュニケーションの材料としての、制作はとても重要だと常々考えていました。だって、子たちは、一番初めに、家族に自分の思いを分ってほしいし、共感してほしいですものね。
ぜひ、東京の保育園でもやってみたいです。
Commented by yumemasa at 2011-05-30 23:26
石垣さん、さりげなく、書かれていること とっても大切なことだと思っています。文字を知らない幼児によっての絵は最高のコミュニケーションツールですからね。
東京でも広がれば、子どもの幸せが増える事になります。
Commented by 井上 哲義 at 2011-05-31 23:20 x
 幼児教育に対する熱意が感じられる素晴らしい場面ですね。子どもはやはり、環境が整うだけ生き生きと成長しますね。山崎さんの幼児教育に対する熱い思いに、いつもながらに感謝する所です。子どもは、やはり三歳児で決まりますね。親の頑張りにも期待する所です。大橋さんの取り組みも素晴らしく、實時かな雑誌や講演のなかで、大切さを訴えています。この二人は、まさにずっと前から、幼児教育の大切さを訴えています。このことは、昨年、空飛ぶムサピでも体感しました。中学生でも、自分を分かってくれることに喜びを感じています。自分のテーマに、教師が的確な答えを出したとき、子どもはうなづきます。しかも、明るい笑顔を見せます。これには、私も驚きました。子どもの動きを見極め正しい答えを返してやることが大切だと感じました。それは、子どもを見取るということです。子どもは安心し、楽な気持ちになります。子ども、この限りなき探究心。
Commented by yumemasa at 2011-06-01 06:09
井上さん、3歳児で決まるかどうかは別としても、幼児教育は大切です。そしてここからも表現の意味を考えて行かない、私は適切な美術教育は難しいように思えます。
 私も、さまざまな幼稚園とのかかわりから多くを学んでいます。
さて井上さんの子どもの思いや意図に応じた評価の言葉は、「環外を得たり!」って感じなのでしょうか、本当に笑顔を生み出しますね。
「子どもを見とる」授業研などでももっと大事なことですよね。
全国大会での井上岩崎組の提言、楽しみしています!
 
by yumemasa | 2011-05-29 17:02 | Comments(6)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明