「子どもの絵にコメント」の効果

(2011年6月に公開した記事ですが、再度公開しました。)

先日、私の学校でおこなった「見に来て北斗中!」の「校内探査ツアー」が終わりました。ツーアガイドは教頭先生、私はアシスタントという形なので、学校としての取り組みになっています。
さて、その中で地域の方が言ってくださった言葉がありがたいです。「こうして子どもの言葉が添えてあると、どんな気持ちで描いたのか、わかっていいですね!」今回のツーアの中では 中学生の絵を見て素晴らしいとか、ではなく、作品を通してを中学生を感じとっていただけたようです。絵を見る表情が笑顔になるんです。そして、さらに絵を深く見るようになります。
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 私は、かつて、子どもの作品展示でいつも迷っていました。教師になった頃は、教師から見て優秀な作品ということが主でした。
 しかし、これは、展示されない生徒の視点から考えるとマイナス効果もあります。では、とにかく全員の掲示をすればよいのかということに対しての疑問もありました。そこで思いついたのが 学年末の全員参加による「自選作品展 アンデパンダン展」でした。これは盛り上がりました。ただし、他の時期が…さびしい。そして明快な答えを出せずにこの件はあまり考えないでいました。そして自分なりにたどりついた方法が、「原則全員展示で、本人の意志で展示しない権利もある」という方法です。(実際は展示しないでほしいという生徒は、ほとんどいませんでした。)
 そして、いまは生徒の作品解説つきでの展示です。(展示拒否権もありますが、拒否する生徒がいません。1年生の頃はいますが)。そしてその効果を感じています。
 解説を書くときに「ふりかえり」をすることにもなります。生徒同士の鑑賞のヒントにもなります。絵だけではなかなか伝えられないとき、言語による補足が意味を持ってきます。

 そして 何より、地域の方や保護者の子どもの見方を変えていきます。そこに生まれるのは「共感」の感覚です。

 これは作品展などを通して、美術教育の価値を伝える効果も生んでいます。

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Commented by kfujita11 at 2011-06-04 21:06
[生徒の作品解説つきでの展示です。(展示拒否権もありますが、拒否する生徒がいません)。そしてその効果を感じています。」という山崎先生の細やかな配慮に感銘を受けました。

出来上がった作品と、解説から、その生徒さんの思いを読み取っていく。子ども理解そのものなのでしょう。そこからきっと対話も生まれてきますね。

今年も、図工を受け持つことができないのですが、担当の先生にもこの山崎先生のお話を伝えたいなって思います。いつもありがとうございます。
Commented by yumemasa at 2011-06-04 22:19
fujitaさん、ありがとうございます。本当に、これ、子ども理解に通じます。昨日の参観日、保護者の方が作品を何気なく見ていたので、子どもの描いた痕跡に目を向ける見方と解説もいっしょにどうぞ、って話しました。
お二人で、しばらく絵を見ていてくれました。
まさに、子ども理解なんですよ、ホント。
だって、絵は「表現」ですもんね。

この「解説」のことを広めていただけるのは、とってもうれしいです。
Commented by 井上哲義 at 2011-06-05 13:31 x
 校内探査ツワーいいですね。親が学校に来て、子どもの作品を鑑賞することが、どんなに大切なことかが見えてきますね。作品の見方が変わっていくこと、子ども達を見る目が変わっていくこと、これはとても意義のあることだと思います。学校で、生徒で、教師全員で、地域で「学びの共同体」になっていまます。これが今大切な動きだと思います。生徒は作品を作り、完成した作品をもう一度、ラベル作りで見直します。もう一度自分の作品に戻ったり、発見したりします。友達の作品の解説も、生徒同士の共通理解やつながりを作ります。うちの学校でも、全員の作品を展示します。山崎さんとも、展示についてはいろいろ話しましたね。山崎さんのブログは、全国の美術教師の共同研究のばになっていて、素晴らしい。僕の学校でも、実習生が来てて、ステンドグラスをやらせています。完成が楽しみです。
Commented by 石垣 at 2011-06-05 21:45 x
山崎先生の展示に関しての御話しは、大きく分けて三つの要点があると思います。一つは、作品展示の際に、作品解説を自分で書いて添えて展示するということ。これは、井上先生がおっしゃっているように[もう一度自分の作品に戻ったり、発見したり]出来ます。二つは、全員の作品を展示するか?チョイスするか?はたまた、山崎先生のように、展示拒否権をもたせるという選択・・・これは、生徒全員の心情や生活状況など、生徒の置かれている状況をつかめていて出来ることだと思います。(女子は、誘いあってマイナスの行動をすることなどがあるからです。)三つ目は、展示の鑑賞方法です。校内探検ツアーと銘打っての鑑賞は、保護者や地域の方々を巻き込んで、絵を媒体に学校の外にいる大人と子供たちがコミュニケーショがとれることにもなりますね。素敵です。
本当に展示スタイルは大事ですよね・・・・
私も特別支援学級の展示方法をいろいろ模索しています。
少しでも、大人に解ってもらえるように・・・・・・
いい機会をいただきました。
また、展覧会にはじっくり考えていきたいです。
Commented by yumemasa at 2011-06-05 23:52
井上さん、石垣さんのコメントをいただき視点が整理されてきました。ブログって、いいですね。
(1)解説について
井上さんの言う通り、解説を書く事は学びの振り返りや再発見です。それからコミュニケーションも深まります。
これは、もう全国的に広まればいいですね!
(2)展示スタイルについて
石垣さん、女子の件はわかるような気がします。都会でバリバリ育っている子と、地方都市の子では感覚も違うでしょうし。
ところで展示の拒否する生徒がいたときは、じっくり理由を聞きます。これが、またとても勉強になります。これは、大事な場面のような気がします。題材によっても違うかも知れませんね。
(3)
鑑賞方法は、ブログには描いていませんが、授業の中で廊下に飾った作品を鑑賞の行く場をつくっています。そういう場も有効だと考えています。ネックはやはり、すくない授業時間数です。
地域や保護者にご覧いただく時は、手応えを得ています。
石垣さん、特別支援の展示の時は、制作中の写真と教師のコメント添えるなんて、どうなんでしょうね。
井上さんが言ってくれた通り、ブログで共同研究になってきましたね。
Commented by 石垣文子 at 2011-06-06 10:06 x
そうなんです。制作中の写真、良いですよね。
これがまた、親の了解をとるのが、たいへんなんです。
東京だけですかね・・・・
Commented by yumemasa at 2011-06-07 00:39
石垣さん、そういう問題もありますね。確かに。保護者とギャラリートークできたらいいですね。
展示の話、工夫したいですね。都図研の「図工大好き」とか札幌の中文連などから、学ぶ事はたくさんある気がします。
Commented by adansonian at 2011-07-13 05:40 x
はじめまして。子どもたちのアート、すばらしいですね。こういう絵を描いてるときってどんな世界にいるんでしょうね。

ところでご存知かもしれませんが、子供の絵からぬいぐるみを作る、というサービスがありました。あまりに欲しくなって子どものアートでいろいろ検索していてこちらにたどり着きました。

ブログ記事も書いてみましたのでよろしかったらいらしてくださいね。

http://adansonian.blogspot.com/2011/07/blog-post_12.html
Commented by yumemasa at 2011-07-13 23:09
adansonianさん、こんにちは。
こうして小さなこどもたちが描いた絵はの、意味を考えることは大事なことですよね。
by yumemasa | 2020-08-17 18:38 | 美術教育の啓発活動 | Comments(9)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明