絵で聴く子どもの優しさ
2012年 05月 07日
深川市の渡辺貞行先生が、5年前(2000年)「寺内さんって、すごい人がいるから、山崎くんに会わせたいなあ」と言っくれました。実際にお会いして感激しました。(あーあ、娘が生まれてからすぐだったらもっとよかったのになあ。)寺内先生との出会いから、私の授業も変わってきました。まだまだですが。
この著作は寺内先生のものです。その一部を紹介します。
子どもの心が消えてしまったわけではありませんでした。大人が子どもの心に共感すれば、その優しさと自信がふくらむと確信できたのです。
しかし幼児期の優しさと自信には響き合えたもののそのあとの実践研究はまだ進んでいません。児童期の人間関係と自己表現の関わりは子育てや教育の現代課題としてこれからも取り組みたいと願っています。」(「はじめに」より)
「絵を聴く」というのはおかしな言葉遣いだが、「絵を描いた子どもの心を聴きとり共感する」という気持ちを表した筆者の造語である。芸術鑑賞で音楽は聴く、絵は見ることを通して内なる表現を自由に感じとるのが、受け手の喜びである感性である。しかし子どもは絵で気持ちを訴えるから、おとなが自由気ままに観て楽しむのでは、その心に寄り添えない。子どもの絵は観るより聴くものなのである。」(p.219)
「家族の向き合う生活が減少する情報化時代に、子どもの気持ちが伝わらない悲劇が始まった。絵が描きたいのに描けない子どもたちに、だれでも描けるようになる技法を教えるよりも、だれだって描きたくなるおとなの共感が何よりも望まれる。」(p.220)
☆寺内定夫「絵で聴く子どもの優しさ」萌文社(1890円)より引用
《関連記事》
あの日私も赤ちゃんさわりたかったのだけど、私はバイキンだらけなので(涙)、あきらめました。
このブログでは美術教育を考えていくのですが、子育て真っ最中の方々ともつながっていくことも大事だと思っているんです。美術教育を狭くとらえていては本物にたどりつかないような気がします。ですから。なぐりがきから始まって広く広くとらえていきたい。これまでも児童画の発達ことについては研究がされてきましたが、実際に子育てをしている当事者の声は反映されずらかったような気がします。それがたとえ、一部であっても親の声をまったく聞かないのと、聞くのとでは大きな違いがあります。寺内定夫さんは在野の研究家として、このブログでとりあげている大橋さんや千里敬愛幼稚園さんは実際の授業(保育)実践を通して成果をあげておられますし。最近多くの人がつながっていくことが力を生み出すだろうと感じています。
図工を通して小学校の子どもたちと関わっていたとき、その子に見えている宝物を、絵で、私も分けてもらいました。それが宝物だって気がついたのは、渡辺貞之先生と、寺内定夫さんの伝えてくれたことのおかげです。もちろん3才だった息子の絵に「連作」や物語、生活をかいまみるようになったのも、「絵を聴く」ことからできた楽しみのひとつです。子どもは天才、というか、みんな「天」から「才」を持ってきてるんですよね。忘れちゃう人が多いんでしょうね。私は昨年4月、図工専科だったとき、「星の王子様」の「うわばみ」の話をしました。帽子の中に象が入っているような、あれです。「うわばみが、象を飲み込んだところ、怖いでしょ・・・」って絵を、大人はバカにしたってやつです。そんな大人にならないようにしたいモノです。
ところで、桔梗さん、もし時間があったら、ブログで渡辺先生や寺内先生のこと書いてみませんか。同じ子育てをしている人や図工の先生が読んだらいいと思います。
そうですね、渡辺先生とのことも寺内先生とのことも、一度きちんと文章化しておくといいのかもしれません。大事な言葉、一杯もらって自分の中に蓄積されているのですが、私の主観で表していいのか?と思っているウチに時間が過ぎていきました。表現することは、誰かとつながること、ですから・・・やってみたいとおもいます。広めなければ、といつも言っているのに、ここに気づきませんでした。あとは、表すことにちょっと恐れをなしていたかも。
ところで、久保さんとは何つながりなのでしょう。すごいですねえ。
ところで、久保さんとの付き合いは、彼が何かの掲示板で私のことについて書いたということでメールをくれたのです。そして彼のサイトに行ったら、漂う空気が似ていたのです。音楽の趣味などほとんど同じ。うれしくなって。
つながることは、パワーを生み出します。特にこのブログは、双方向のやりとりを可能にした画期的ツールでしょう。ホームページや掲示板とは明らかに違います。
先日はTB&コメントありがとうございました。
ほんとに美しい自然と、美術のことが、ギュっとつまった素敵なブログですね。。
子供の心を絵で聴くんですね・・・寡黙なタイプのお子様ほど、絵にいっぱいメッセージを込めていそうですね・・うちの娘は、どちらかというと、音楽や踊り?で表現するタイプだな~(^^;)
また、色々と教えて下さいませ~♪
これからも、よろしく、ところで今指導要領改訂前の話し合いがなさえているところですが、芸術系の教科が、この先どうなるかわからなくなってきています。このブログでも話題にしています。