一人一人が違う存在、だから表現も違う

 先日、札幌の里塚幼稚園の北村園長先生のところに行ってきました。そこで里塚幼稚園と光真幼稚園の園児の絵を見せていただきました。
 特に印象に残ったのが、「お話をもとに描いた絵」です。下の絵は「一寸法師」です。これは絵本を見せず、先生のお話だけで描きました。きっと、お話だけでこれだけ描いているのですから、お話の仕方も相当よかったのでしょう。さて、この絵を見てすぐわかるのは、描いている場面が違うということです。あたり前のことですけれど。
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ふと、思いました。子どもたちは 自分たちが 同じお話を聴いているのに 心に残った場面が違うし、また同じ場面であっても表現が違うということを感じとったことでしょう。
 幼児期に みんなは 違う存在だということ、だから おもしろいんだということ、それを感じとる体験はとっても大切に思います。
下の絵は「花さかじいさん」です。よくぞ、ここまで描いた場面が違うものです。当たり前のことですが「一人一人が違う存在、だから表現も違う」ということです。けれども、これが幼児教育いや図工美術教育では、まだあたり前になっていないという現実もあります。それは、子どもの持っている力を知らないからでしょう。
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子どもの力を知ってしまえば、あとは、その力をどう十分に発揮させるかということを課題とすればよいわけです。それは、教師としてワクワクする場面でもあります。
 現在、私は中学校で自分という人間の存在証明に取り組んでいます。生徒たちがどんな表現をするか、とっても楽しみです。
Commented by 石垣文子 at 2011-12-18 21:43 x
幼稚園のころからこのように、言葉を頭の中で、画面に構築することをしていたら、きっと素晴らしい想像力の持ち主になりそうです。
ひとつひとつの言葉とその像が頭の中で、つながることは、すべての表現に通じる事ですよね。素晴らしいです。
全国の幼稚園で取り組んでほしいです。
Commented by yumemasa at 2011-12-19 21:07
きっと、こんなことの体験が絵を描く喜び、見る喜び、そして他者理解を深めると思うんです。言葉をもとに映像にしていく…なるほどー。きっと先生の読み方もよいだろうし、先生方も子どもの絵を共感的に見ていますから、こんな絵が生まれるのだと思います。
by yumemasa | 2011-12-18 00:22 | Comments(2)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明