小学校4年生「絵をつくる」(寄稿)田尾明敏さん 埼玉
2012年 01月 18日
4年生で木の絵をかきました。
最初にどんなシーンの絵にするか、絵の雰囲気をつくる色画用紙づくりをします。
雨の日、夜、夕方、冬、雪の日、宇宙、などなど思い思いのシーンを色でぬります。
思いつかななったら好きな色をぬっていい。四切の画用紙に色が広がると、あれこれ工夫して色だけで表情があらわれてきます。その日は色をぬって終わり。乾燥させなければなりません。
次の週は、校庭に出て、じっと見ながら自作の色画用紙に木をかきます。「よおーく見て、そっくりにくんだよ。クレパスでしっかりかいてね」そっくりにかけなくても一向に構いません。クレパスでぐいぐいかいていたら、もうそれでいい。一言「ステキな絵だね」。絵をかくのに外に出る、対象を見て描く、これは子どもが喜びます。その楽しさが絵にあればいい。
クレパスでかけたら図工室で木に色をつけます。ここからは、もう眼前の「木の色」は気にしません。はじめはコワゴワ「赤い木にしてもいいの?」「色を混ぜてもいいの?」と聞いていきます。「いいんです、ぬってみたい色、やってみたいことをどんどんしてください」。筆の絵の具を振っている子どもに、「それ、いい感じになってきたね。もっとやってごらん」というと、近くの子が「おれもやろう」。黙々と自分で考えかき込んでいる子に「このあとどうなるの?」「山にするの」「校庭の木が山の絵になるんだ、スゴイ!」。
校庭の木から、みんな自分の絵をつくります。
指導らしきことはわずか。①下地の色ぬり、②校庭での写生、③室内での着色という絵づくりの手順だけです。あとは絵のよさを見つけほめること、子どもが自己規制している部分を解いてやること。そして「もっとやってごらん」と気持ちを押すこと。思いもよらない作品がたくさんできてくると、もううれしいかぎりです。
十人十色とよく言いますが,これが素晴らしく実現されていると思います。