作品展はどうあるべきか?
2005年 01月 24日
文教大学三澤一実先生の美術科教育演習法をとっている学生さんが中心となり「パートナーシップ展覧会」というものを開催しています。(先週末〜今週木)
興味深い展覧会ですので紹介したいと思います。(メールからの引用なので、正式な文章ではありません。もちろん、ご本人の了解を得て掲載しています。)
「内容は、パートナーシップ(大学がある越谷市と提携して、補助教員として週に1日小中学校に出向き実地研修を行うプログラム)の受け入れ校から児童生徒の作品を借用してきて、学内に展示するものです。今年は11校1000点を越す作品が集まりました。
以下のような特徴があります。
出品される作品は基本的に選抜を行わず、出したい作品を全て展示します。ただし、点数が多くなってしまうので、こちらで学年だけは指定させてもらっています。
作品一つ一つに学生がコメントを付けて展示します。よい点を具体的に書いてもらっています。展覧会に出品してくれた子どもたちには、作品の写真と展示に使ったコメント貼ったお礼状をプレゼントします。
このような事業を組んでいる意図は、従来の展覧会が作品主義を生み出すことに対し、選抜を行わないことで展覧会という発表の機会を子どもたちにとって社会的評価を得られる場にしたいと考えたからです。
親でもない、先生でもない、子どもたちにとって見ず知らずの第三者が評価をしてくれる機会は、学校教育の中でそう沢山はないと思うのです。
同時に、美術教育のありのままの現状を多くの人に見てもらえる機会にもなります。このような機会を通して地域の図画工作を少しでも活性化したいなあと考えています。(出品作品は全て保護者の展示許可を得ています)
そして何より、学生に子どもたちの絵を見せ、コメントを書かせることで、一人一人の作品(行為)を大切に認めていくことを教えていきたいと考えています。また、この展覧会で、出品者の親や家族また地域の人が大学に足を運び、少しでも大学自体が地域に対して開かれていけばよいと考えています。
美術(芸術)作品は校種を越え、年齢や言葉を壁とせず、だれでも理解できるものです。人と人とをつなぐ働きを持っています。」
「パートナーシップ展覧会に来る子どもたち相手にワークショップを開きました。内容は、「変身、ゆめ色自転車」と「光のTシャツ」です。ゆめ色自転車は廃棄自転車のデコレーションです。
子どもにとって、自転車は新しい世界を見させてくれる乗り物です。ちょっと遠出してみたり、風を切るスピ−ド感を感じてみたり、そのような乗り物だからきっと夢の世界にもつれていてくれるはず。というコンセプトで取り組みました。光のTシャツ」はステンドグラスもどきです。
展覧会もやり方次第で意味を持ちます。展覧会にも目的があるはずです。」
実は三澤先生はこれまで中学校の教員だったそうですが、その時の展覧会では「題材を通して付けたい力を一般市民に伝えるため、「子どもの感想」と教師の「題材のねらい」を併記していたとのことでした。非常に大事な取り組みだと思いました。
三澤先生の取り組みには様々な提案が含まれていると思います。
★「子どもの絵のよさに触れていただく」
★「美術展やコンクールについて考えてみました」
★「作品展の賞状」