Webサイト『酒井式描画指導法への疑問』閉鎖
2012年 07月 07日
内容はメイン記事と酒井式描画指導法を批判されている方のリンク集でした。
さて、ここにWebサイト『酒井式描画指導法への疑問』に掲載していた文章を記録として再掲載しておきます。
美術教育の研究団体や研究者・多くの教師の間では深く論じられたことはありませんでした。しかし、2005年秋ふたつの事件が起きました。
ひとつは教育テレビが「わくわく授業」という番組の中で酒井式を素晴らしい授業のひとつとして広めた事。
もう一つは明治図書から、「これが幼児の絵!?魔法の酒井式描画指導法」が出版された事。
酒井式描画指導法をついに2歳児までに浸透させようというものです。
酒井式は明治図書から多数の本を出版している他、全国各地で研究会を開き、広がりを見せつつあります。また全国各地に支部があります。NHK教育テレビで放映もされました(当然のことながら放送に対し批判もあがりました。私もしました。)
これまで酒井式について批判本した本はなく、インターネット上でも批判もほとんどありませんでした。
図工がよくわからないからと言ってそれに手を出してしまう良心的な教師も、いつのまにか信じきってしまうということがあります。教育委員会がよくわからないで後援したりしているところもあります。
子どもは教師に言われるがままに絵を描きます。(特に小さい子どもほど)
このような状況をとらえ、酒井式について様々な角度から検討できるようにという願いからこのサイトをたちあげました。
このようなサイトをつくりましたが、自分の考え方にあわないから批判するというわけではありません。目的はひとつです。子どもにごく普通の図工教育をということです。
学習指導要領に沿ってつくられた教科書はいわばこれまでの美術教育の英知の結集です。ただし、いつもそれが正しいとは限りませんし,批判的な見方も必要でしょう。
ただ「酒井式」という一つの指導方法が学習指導要領や教科書を超えて優れているのでしょうか。
《追記2006/07/20》
明治図書刊行の「教室ツーウェイ 2006年8月号」の「編集前記」に以下のように書かれていました。以下に転記します。
「酒井式描画法を批判した教師達がいる。いや、批判ならいい。それは、いかなることにもありうる。
酒井式で描かれた子どもの絵を口汚くののしった教師達がいる。
一部の美術教師だ。
子どもの創造性を殺している。
何の価値もない。子どもがかわいそうだ。
どの絵も同じで、芸術性がない。
こんな描き方をさせてはいけない。
この口汚いののしりの言葉は正しかったのだろうか。
この口汚いののしりは、全くデタラメの意見だったことを、今回のニュースは物語る。」
(山崎注→このニュースとは、酒井式描画法で描かれた絵を、ハプスブルク家が買いあげ、画集に納められたというニュースをさします。結局、酒井式描画指導法が優れた指導であるためにはこのような「権威」が必要ということなのでしょう。)
以上一部抜粋です。「口ぎたないののしり」ととらえられてしまいました。
どの部分が「子どもの絵」を「口汚くののしった」のか、また「全くデタラメの意見」はどの部分を示すのか不明です。批判対象を明示してほしいものです。
なお、批判しているのは教師だけではなく、保護者もアーチストも美術教育関係者以外の方も含まれていることも加えておきます。
なお、「口汚くののしる」という言われ方をされたのはじめてで、悲しくなってきました。このホームページでリンクされている方々でも、またそのような「口汚くののしる」方はいらっしゃいません。
私は酒井式描画指導法という「方法論を批判」しているだけです。特に幼児・低学年にこの指導方法を用いた場合、子どもの想像の芽を奪い取ることになるでしょう。
《なぜ酒井式がいけないかと思っておられる方へ》
是非、指導書や教科書題材の方もご検討ください。
可能であるならば「NHK教育テレビのわくわく授業(酒井式)」のビデオと「トントンギコギコ図工の時間(野中真理子監督)DVDに出てくる子どもの姿や表情からその学びの内容を分析的にご検討ください。
小学校6年生が描いた絵で育った子ども達が中学校でどうなるのかを考えてください。こんな素晴らしい指導方法なら、中学校でも広まってもいいはずですが…。
《追記》
なお、私は子どもの作品が芸術性で評価されることが、すなわち美術教育として素晴らしいという考え方はしていません、それは酒井式がどうこうではありません。
また「コンクールの功罪」についても私のブログ「美術と自然と教育と」で書いています。
《酒井式を推進されている方へ》
このホームページでの反論が、あれば、このHPやブログ「美術と自然と教育」とのどちらでも掲載したいと思います。お好きな方をお選びください。ただし、反論の数が多い場合は本業がありますので、月に数件ということでご了承ください。
反論については下の「感想を送る」をクリックし、まずはご連絡ください。そのうえでメールにて連絡を取り合いたいと思います。ただし、氏名や連絡先を明かしたうえでの、投稿をお願いします。(WEB上では氏名は明かさなくても結構です)
《子どもの絵について考えてみませんか?》
2006年9月図工美術の授業ではどのようなことが大切なのか、それを明らかにするために小冊子をつくりました。
その小冊子には酒井式が言われる「のっぺらぼう」の絵があります。これを「のっぺらぼう」として未熟なものとしてとらえることが違っています。
《子どもの絵を考えるために》
2006年あたりから、子どもの絵をどうとらえるか、子どもの絵を前にしたギャラリートークが各地で行われるようになってきました。
なお、酒井式からの反論は現在ゼロです。酒井式を思い切ってやめてよかったという方からはメールを何件かいただいています。
美術教育の危機を感じる今だからこそ、さらにこのような指導法が蔓延することには危惧を感じます。
眼を覚ましてほしいと感じます。
酒井式のような効率主義的な方法が、学校教育の場で広まるのは、なにか大人の大切な役割を放棄しているような、見て見ぬふりをしているような心地悪さを強く感じてしまいます。が、それらに対しても、ボクらは学校外部外者として意見は届かない。
結果、山崎さん方の勇気ある発信を支持・応援するくらいしか出来ません。まったく力不足ですが、とにかく意識だけはそらさないで注目していきます。
あとは 酒井式を強く推進する側にとっては このブログは 無視できない存在になってきています。ですから、こういったコメント欄で ミノオカさんのような対場の方がコメントしているということの意味は大きいです。
相手は大きいです。 すすめているのはもと教育大学の教授と現役の教授ですから。
ミノオカさんは親としての発言ということもできますしね。でも強烈な言葉ですね「子どもを守る」って。本当にそうだと思います。このコメントうれしかったです。FACEBOOKは限られた方のアクセスですし。このようなコメントがあるかないか、私にとってもとても大きいのです。だって誰もがアクセスできる場ではっきりと意思表示しているわけですから。
http://www.kawachi.zaq.ne.jp/dpcfh104/webten/onigiriwotaberu.htm
http://ww7.enjoy.ne.jp/~ishikoyo1454/topppeiji.htm
小学校図画工作の目標「表現及び鑑賞の活動を通して,感性を働かせながら,つくりだす喜びを味わうようにするとともに,造形的な創造活動の基礎的な能力を培い,豊かな情操を養う。」
酒井式では 特に「感性を働かせながら」が大問題ですね。「先生の指示に従って、言われた通りに作り、褒めてもらえることを目指し」なんてことになるのでしょう。
ただ、指導された先生は、良かれと思ってやっています。そこが問題ですね。教科書も使って欲しいですね。
http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-69699-7
子どもによると、これを見ながら担任が指導していたようです。
あくまでも推測ですが、線をゆっくり描く指導はなかった様子で、酒井式を徹底的になぞっておらず要素を頂戴したよう(徹底する技術がないのやもしれないし、子どもの側に指示通り描く技術がないのかもしれない)でもあります。画面に入れる手は「腕まで描かない大きさで」と子どもが指示されたと言ってましたから、山崎さんに提示いただいたHPの絵と同じ構図で描かせようとしている様子もありました。担任が描かせたい絵が明確なようですね。「しばり」がきつすぎますね。
その「しばり」のきつさは、該当学年の指導要領解説を読めば読むほど、学習指導要領に沿っていないと考えられるのですが如何でしょうか?今回の指導が絵画の構図を知る方法の一つであり、「創造活動の基礎的な能力を培」う目標を達成したことになるのでしょうか?
先生の指示にしたがわなかった児童の方が感性を働かせて挑んでいるやも知れませんね。
我が子は「めっちゃ気持ち悪い絵やねん」と。ある意味感性が働いています。
小学校で教師をしていますが高学年で「僕下手だから図工嫌い」という台詞を聞く度に彼に対する同じ教師集団として「本当にごめんなさい」と謝りたくなります。これを崩して表現をいきいきと楽しむようになるまでに1年近く掛かる場合もあります。
全てではないにしても酒井式の弊害だと感じることが多々あります。
子ども主体の表現を考えていきたいです。
現場では年明けに作品展として各学年の作品を一堂に展示することがよくあります。その時にまだまだ酒井式の学年の絵を見ることは多いです。
その際のクラスの子の言葉「なんでみんな同じ絵を描いてるの?」が全てを物語っていると感じました。