ミヒャエル=エンデ
2005年 02月 13日
奥様の生まれ故郷である黒姫を自分の故郷のように愛していたということです。
さて、2月5日の「朝日新聞(北海道版)」にミヒャエル=エンデ氏の「モモ」と「はてしない物語(ネバーエンディングストーリー)」のことが記事になっていました。
この記事はたまたま温泉入浴後ひまだったので新聞を読んでいて見つけたものです。そしてなぜかしらデジタルカメラを持っていたのでカメラで記事を撮影できたのでした。
そのテーマが「感じる心の回復」という見出しだったこともあって印象に残ったのです。
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★ 「感じる心」回復訴え〜ミヒャエル・エンデ「モモ」
絵本・児童文学研究センター(小樽市)
理事長 工藤 左千夫 さん(54)
ファンタジー文学に目覚めたのは大学3年のころ。ミリオンセラーだったドイツの児童文学作家エンデのこの作品に出会ってからだ。同じ作家の『はてしない物語』もすぐに読んだ。
日本では、児童文学の読者対象として子どもと大人の境界線を設けてきたとの思いが強い。「2作を読むとそれが変わる。児童文学の可能性を実感した」
『モモ』は、時間泥棒に時間を奪われた人々を主人公モモが救う物語。
『はてしない物語』は主人公の心の傷の治癒を通して、生きる指針を説く。
2作品とも「心」がテーマだ。工藤さんによると、西洋では「心」を2つに分けて考える。
ドイツ語でいうゼーレは、人間が生まれながらに持つ「感じる心」。
『モモ』はこの心の回復がテーマという。
もう一つの心のガイスト。
感じる心の体験の中から生まれた、生きがいに通じる積極的な心だ。
『はてしない物語』はこの心の領域を扱っているという。
「人間は、大人になればなるほど『心』で観ようとしなくなる。かつてわたしもその一人だった」。子どもにも読めるファンタジーでありながら、「『心』を通して人類のいまに警鐘を鳴らす文学と言える」と工藤さんは評する。
かつて児童文学研究者L・H・スミスは「子どもの文学は、言葉は子どものためにあり、意味は大人のためにある」と述べた。児童文学の原点といわれるアンデルセンは「子どもの世界を通して、大人に訴えかけることが山ほどあった」と語った。工藤さんの思いとつながる。
大学を出て札幌の出版社に就職した。様々な書物の中でも、児童文学作品を読むたびに感動を覚えた。その面白さをさらに深めようと、仕事の傍らに大学のセミナーなどに参加して、心理学や哲学も学んだ。
研究が進むにつれて、日本では子どもに与える児童文学が大人の一方的な押しつけになっているとの疑問を持った。子どもにとっての読みやすさや、時代や生き方に合う本を丁寧に吟味して与えていないのではないか。
いま、そうした絵本を選ぶための生涯学習の講座に情熱を注ぐ。
時間の過ぎ去るテンポが早まった、と工藤さんは感じる。ともすれば自分が進んでいる道を見失う時がある。この2冊は今でも振り返る時間を与えてくれる。
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※最近、総合学習でも、環境教育でも、美術教育でも、知るよりも前に「感じる心」こそ大事にしたいと考えていたので、工藤左千夫さんの考え方が気になっていたのでした。
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先日シュタイナーを検索して知りました。
エンデ本人はシュタイナーの影響を否定していたようです。そればかりか、シュタイナーの教えを絶対視し柔軟性を欠いた信望者たちを批判していました。比較するのは変化もしれませんが、影響力のあるリーダーの存在する集団はTOSSと似た体質になりやすいのかなと思いました。
河合隼雄が奨めていた本のなかで特に気に入ったのはル・グウィンの「ゲド戦記 影との戦い」です。「イシ」の作者シオドーラ・グローバーの娘であるル・グウィンの人類学を踏まえた物語世界は読み応えがあります。是非読んでみてください。