「美術科教育の基礎知識」
2005年 02月 18日
監修~宮脇 理 編集~福田隆眞・福本謹一・茂木一司(建帛社・2000年)
この本は1985年に刊行されましたが、私は初版と同時に購入し、よく利用させていただいています。そして3訂版というべきものが、本書です。
美術教育を考えていくにあたっての押さえておきたい内容が、ほとんどが網羅されていると言ってもよいでしょう。
全国の教育大学の先生方が中心となって執筆されており、原則として1ページに1項目で構成されています。
したがって入門的な内容となりますが、自分が日頃考えていない分野のことに気がついたり、自分の実践の位置づけが見えたりと、価値ある一冊と言えます。
研究会等で参加者がここに書いているようなこと(否定的であろうと、肯定的であろうと)を押さえた上で討議すれば、より深まるのにと思うこともあります。
本書は4章から成り立ち、162項目についての見解が述べられています。
ちなみに私が美術教育史に関心を持ったのは本書がきっかけでした。若いうちに良い本と出会え、執筆された方々に感謝しています。
大学の先生方の書いた文ですが、平易な記述となっています。ニュートラルな内容でどこからでも読めます。おすすめの一冊です。
また興味を持った項目についてさらに知りたければ、出典一覧を参考に本を探すこともできます。
第1章 美術科教育とはどのようなものか
第2章 美術科教育の領域と内容について
第3章 美術科教育の学習指導について
第4章 美術科教育の運営と学習環境について
例えばこんな項目があります。
8 生涯教育としての美術教育の現状と課題について述べよ
23 戦後の主な民間美術教育運動の展開とその意義について述べよ
37 アルンハイムの発達理論を概説せよ
44 造形遊びの導入の経緯と目的・内容について述べよ
60 絵を見れば、子どもの心がわかるというのは本当ですか?
106 紙の性質と技法を説明せよ
111 低学年における鑑賞指導の考え方と留意点を述べよ
142 教師の言動行動について述べよ
155 イギリスの教育と美術教育について概説せよ
最後に、監修の宮脇先生が「序」の中で、「例えばCD-ROMとの連動、映像などの挿入によって「躍動的なテキストに盛り上げることが出来たら楽しい」という想いにあふれています。」と書かれています。第4訂版はDVD付きかな?
現場も夢を持って頑張りたいですね。
★内容見本の一部が「福本研究室」で「内容見本」が紹介されています。
★全国造形教育連盟のHPで美術教育に関する意見を募集しています。これを機会に「美術科教育の基礎知識」を、もう一度読んでみようかなと思いました。
しっかり勉強していきます!