子どものイメージと表現(その3)

子どものイメージと表現(その1)

子どものイメージと表現(その2)の続き

第3次 簡単な文章で活動を振り返る。

文章に書くことによって子どもたちは、混色の不思議、思い浮かんだイメージ、そのときの感動など、様々な心の動きを思い起こす。ここでは、子どもたちの描いた作品と簡単な文章によって子どもたちの表現を紹介する。
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ビンとかランプをかくとき、じっくり見ながら描きました。そのあとの風景とかは、どう描こうか迷いました。でも、だんだん音楽の世界がうかんできて、本当は動くはずのないビンとかが歌ってる世界を楽しそうに表現することができました。またその音楽を聞いている人もかいてみました。色のぬり方も、色々と工夫しました。似た色をまぜたり、力の入れぐあいを考えたりして、この世に1枚の作品ができたとおもいます。舞台で歌っているような絵がかけました。

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絵をかいていると春だからやっぱりサクラをかこうと思って3本もかきました。そしたら、チョウとかバッタとかもかきたいなと思って、どんどんかいていきました。どんどんあかるくなったので虹もかきました。工夫したことは、ビンのうしろにサクラがあるように見せたかったので、線のまわりに木のつづきをかいたら、立体的になってよかったと思っています。

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ただビンをかいていったら、かいているあいだに「次はどんなものをかこうかな」という発想がでてきて、ここはゆかいな国だよ、ここは不思議な国だよと思わせるような、不思議な色の変え方や、ふしぎなビンのたてものの使い方をしてみました。小人などを入れてもっと楽しそうにしてみました。色のかえ方はすごく気をつかって見た目はちょっと変に見えるけれど、じっくり見るときれい、そういう絵にしてみました。



子どもの表現を保障すること 
この時期の子どもたちは、対象を見つめることにより、自分の興味のある形や、色の変化、ものの重なりの面白さを見つけ出すこともできるようになる。しかし、子どもにとって見ることは単に正確に形を写し取ることではない。自らの感覚や行為によって形や色をとらえた子どもたちは自分自身の豊かなイメージを呼びおこす。実際に存在するものも空想も画面の中で違和感なく構成されている。自分の描きたい材料だからこそ、豊かな空想の世界が生み出されている。
 子どもたちの表現は冒険心にとんでいる。教師と子どもの間に流れる自由な雰囲気が、自らの行為や感覚で形や色にかかわり、様々なイメージを生み出す原動力になっている。自分の表現をつくりだそうとする意欲、自由にためすことのできる安心感。そのような環境を日常的に保障することが大切である。

(山崎感想)
子どもが豊かに想像力を働かせて楽しく活動しながら表現の幅を広げていく、そんな授業の背景には子どもの学びの広がり、深まるように様々な環境が構成されているこがわかります。
 子どもが絵を描く事の意味を、こうして授業者が克明に記録分析している報告はとても貴重です。子どもの絵を表面的に、あるいはムードで見ていても見えない事も、こうした学びの分析によって見えてきます。このような記録をこのブログで紹介させていただいた事に感謝します。

「中学校美術Q&A in 金沢」で木村早苗さんに実践発表をお願いしました。

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by yumemasa | 2013-03-26 21:40 | Comments(0)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明