「地域に根ざした教育を」 三澤一実
2005年 03月 28日
「昨日、千葉大学で行われた「美術科教育学会」のコロキウム(パネルディスカッション)で埼玉大の榎原先生が話をしていましたが、地域の中で教育を考える、地域に根 ざした教育が必要であるという話し、まったく同感でした。この考えは、埼玉で行っている「あつまれ・あそび・あーと」という教員有志による展覧会とワークショップなどを通して私も榎原先生もも実感しているのもです。教育を支えている地域の教育力が実は大きいのではないのでしょうか。
日本文化も実は地域文化の総体です。地域の文化がユニークで活力あるものであれば、日本の文化も活力を持つと思います。ところが我々はどうしても地域の文化を見ようとせず、マクロ的に日本の文化を捉えようとしてしまいます。情報化、グローバル社会の中ではどうしてもマクロ的視野になってしまいますが、そのような時代だからこそ、足元を見つめる視野と個性化が必要なのではないのでしょうか。
私は、美術の新しい役割として、(実はすでにそのような役割を十分に持ってるのですが)文化を創出する教科だと思っています。創造的な教科ですから。小学校で行われる造形あそびも、文化創生という視点で考えると非常に価値のある学習となるのです。
つまり、あそびは積極的な外部に対しての働きかけだと思うのです。そのような豊かな体験を楽しめる子どもは大人になったときに積極的に社会に対して働きかけることができるようになるのではないのでしょうか。つまり、文化を創っていく担い手になれるわけです。
美術教育はとかく個人の発達に寄与する教科と捉えられがちですが、(勿論そのような側面は大きいですが、)同時に、社会に働きかける力を持つものだと思うのです。アートはまさにそのような力を持っています。
美術という教科の枠組みを従来の造形に関する学びに止まることなく、その学びを基礎として、社会を美的に文化的に作り直す教科だという本気の理解と、そのような視点から美術の価値を広げる取り組みが必要ではないかと思うのです。そのためには実践にもとづくアピールが必要になりますね。
地域はそのようなアピールを作り出す良いホームグラウンドだと思います。ホームグラウンドに根付いているのはまさに小学校中学校なのです。」
以上が三澤先生の文章です。
美術教科の存在理由の一つにアートは世の中を変えていく力を持つということがありますが、その部分をもっともっと考えていかないとならないだろうと思います。
《関連サイト》
☆「文教大学附属教育研究所」←モノグラフNo.21「関わる事で学ぶーひと・もの・ことー」参照
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