《美術教育の価値をご理解いただく》高校生の授業作品展
2015年 10月 08日
この「授業作品展」を企画された滝田知佳さんに、その意図をお聞きしました。以下滝田さんの文章です。
10月2日(金)~ 4(日)
第2回授業作品展を通して学んだもの
わたしの高校には、通常の選択芸術の美術授業に加え、美術専攻(現在全学年で26名)という専門授業が設けられています。
約30年の間、たくさんの卒業生が美術関係の進路に進んだこの美術専攻ですが、実は今、厳しい学校経営と美術が重要視されていなかった校風の流れを受け、もしかすると数年後には専攻自体が撤廃されるのではないかという状況に立っています。
「このまま趣味のように絵描いてるだけの専攻だと思われていたらアカン!」と、昨年着任したと同時に立ち上げたこの授業作品展では、今回3つのことを目標に取り組みました。
① 美術を学ぶ高校生を応援してくれる人をひとりでも多くつくること。
② 生徒たちによる展示会であること。
③ 1人ひとりが〈わたしと美術〉〈美術と社会〉〈わたしと社会〉の関係を考えるきっかけをつくること。
①に関しては、以前より4倍の来場数をカウントしました!(3日で150人弱)
校内ポスターを貼るだけだった前回とは違い、生徒たちが直接案内を手渡しして回ったり、保護者向けのチラシを作ったりしたことが、今まで無関心だった教職員や保護者の心を動かしたようです。
出身中学校への宣伝は、校長先生へ直々に挨拶しに伺いました。
今後の課題は、どうしたら地域の一般の方まで浸透していけるか。この点は次回工夫していきたいポイントです。
②は、前回と比べ生徒たちの出番を多くつくりました。ただ今回の運営については、わたしから生徒たちへの移行期間という感覚だったので、次回からは初めの段階でもっと任せる部分があっても大丈夫だなと感じました。(わたしは見えない所で汗を流します!)
③今回一番おさえたかったところ。
美術専攻Action宣言と題し、今回のテーマにした「社会のことを自分×ARTで考えてみる」を全員でやってみました。
この取り組みはみなさんからの反響が予想以上に良かったです。
「○○先輩ってこんなことおもってたんやあ」「先生、これ展示終わった後も教室貼っていいですか?」うれしそうに言ってくれる高校生たち。「うちの子こんなすてきなとこあったんですね」と微笑むお母さん。
中には、今まではなんとなくだったり、自己中心で考えていた将来のビジョンが、「自分の力で社会をこうしていきたい=仕事」に変化した子も。これは嬉しかった!
次期開催へ新たな課題は山積みですが、確かな手応えを感じる授業作品展になりました。
「失敗しても、成功しても、どんなかたちでもやったらやっただけのことは残る。
そしてそれは、どこかで何かと必ずつながるってことが分かった。挑戦することが好きになりました。」
事後反省会の中で出てきた生徒のこの言葉に、胸が高ぶりました。
この高校生たちの夢は、わたしの夢です。
これからどんな成長を見せてくれるのか。
そして、もっと沢山の人にこの高校生たちの明るい未来を応援してほしい!心から思います。
わたしも、またここからがんばっていきます
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