小学校4年生の美術鑑賞〜アルテピアッツア美唄にて
2016年 03月 21日
室内で「対話による鑑賞」をした後、デジタルカメラを持って、外に鑑賞に行きました。しゃがみこんでローアングルで撮影しています子もいます。
この子は、彫刻の周りを回って、お気に入りの角度を見つけました。さらに下がって撮影しています。見方を工夫することで新たな良さを発見する喜びを味わっています。撮影後、私が近寄っていくと「私って天才かも?」って笑顔で撮影した映像を見せてくれました。創造の喜びから生まれる言葉です。
最後に、安田侃さんの作品が外国に置かれている写真を紹介しました。子供たちの反応は「見たことある」「(作品に)乗ったことある」「イイなあ」「あー、奥にもある」など、美唄の子供ですから、知っている作品が海外に置かれているのはとても、嬉しいことなのでしょう。こうしたことをすることで美唄にも誇りを持つことにつながるでしょう。
これらが終わって、安田侃さんの作品鑑賞を始めました。「作品を撮影しよう」という方法を通して。
彼女は「この作品を置く場所は、ここだ!って決めておいたんですよ」って説明したら、子供が「なんでだろう?」「窓の方において光のこと考えたのかな?」「ここのところ、キラキラ光っている」その後、作品の周囲や、天井やスポットライトの位置や、他の作品の置き方の関係など、様々な視点で見ていきました。作品を見ながら、安田さんがどのようなことを考えたのか想像しているのでした。彼女のナビゲートが作品の見方を広げ、深めたのでした。安田侃さんを直接、知っていてアルテピアッツァ美唄を愛しているからこそのナビゲートでした。最小に絞り込んでの知識のさりげない提供が鑑賞をより豊かにした場面でした。
こうした地域の美術館の常設展示ならでは鑑賞の良さを実感する場面でもありました。
霧が深い中の撮影です。季節が変われば、鑑賞の雰囲気もかなり変わるでしょう。
光の方向と、曲面の感じの良さ、そして穴の向こうに見える面白さについて語ってくれました。この会話は「こんな美しさや面白さを見つけたんだね(実際にはこの言葉は使いませんが)」っていう共感的な会話になります。こういう会話は子供同士でも生まれていました。
こうした鑑賞を通して、何を感じ、何を学んでるのか、鑑賞の方法は果たして良かったのか、それは鑑賞中の子供の発言はもちろん、表情や仕草、視線などからも見とることができます。また「ビデオによる学び分析」も効果的です。
さて、こうして撮影した写真をみんなで見ながら、自分の決めた一枚について語るのは非常に興味深いです。その人の感じかや考え方が伝わってきます。自己理解や他者理解の面白さも感じます。
プリントされた写真を額に入れて渡しました。子供達は早速、額縁に模様や名札をつけはじめました。こうなるは作品が気に入ったからこそです。「将来、一人暮らしをしたら部屋に飾ろう」なんて言っている子もいました。
この笑顔、素敵です。今回は少人数ですが、一回目から優れた鑑賞プログラムができたのは、これまでに多数重ねてきた研修の成果によるものでしょう。今後も教育普及に取り組んでいきますので、楽しみです。
教育普及は私にとってもっとも大切な仕事だと思っています。
こうして道内にファシリテーターが増えることは、子供達にとっても、とても良いことです。
(ブログ掲載については、本人及び保護者の方の了解を得ています)
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