児童画への理解が足りない(その4)…こんな本があります

児童画を理解するためのよい本も多数出版されています。

例えば

「子どもの絵をダメにしていませんか〜早くから形を教えないで」鳥居昭美 

児童画への理解が足りない(その4)…こんな本があります_b0068572_23503174.jpg この著作は1986年に初版。絶版となっていましたが、昨年再刊されました。
 さて本の題名が示しているもの、これは「子どもの絵に対する無理解が、多い」という現実を示しているように思えます。
 1歳頃から9歳頃までの子どもの絵について、非常にわかりやすい言葉で説明しています。

「子どもの絵は聞いてはじめてわかるものです。子どもにとっては、聞いてもらう事によって初めて、絵を描くことに意義を持ち得るのです。聞いてもらい、わかってもらうことは表現する喜びになります。ですから聞いてやり、わかってやり、その感動を受けとめてやる、これが、
子どもの絵に対する、最も大切なお母さんの態度といえるのです。」

「子どもの絵は教えるものではなく、育てるものです。絵の技術を系統的に教えるのは、9歳を過ぎてからです。それまでの絵は教えようとすると、かえって子どもをダメにしてしまいます。子どもの育つ力に、先走って無理をさせてしまうからです。その代表的な例が形を教える、形を描かせる、色をあれこれ指摘して使わせる、塗りつぶさせる…などです。」

「お母さんの多くが、子どもの描画活動(試行錯誤・探索活動)に対して、あまりにも過干渉だということです。過干渉とはどういうことか?それは子どもの「自分の力で行動する力、自分の感覚で感じとる力、自分の頭で考える力」の芽を摘み取っていますことになるのです。」

《関連サイト》

☆「高橋幸恵の子育てぷち21」ーお金をかけない早期教育お絵描き編

児童画への理解が足りない(その4)…こんな本があります_b0068572_10244384.jpg↑「子どもの絵をダメにしていませんか」という本の編集にかかわったのが高橋さんだそうです。
 ところでこの「高橋幸恵の子育てぷち21」の「読み徳コーナー」には次のように書いてありました。
「21年間の取材メモや『プチタンファン』のバックナンバーから、私の心に残っている言葉をダイジェスト版風にお届けします。とくに、取材メモは、記事にもしなかった耳寄りなお話が紹介できると思います。」
 高橋さんの他の記事を読んでも、さりげない言葉で「早期教育」の危険性を訴えています。
過度の教育情報に振り回されない自然体の子育てが提唱されていると思います。
「低学力論」に振り回されてしまわないためにも、アクセスしてほしいサイトです。

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 ☆この記事は2005年9月に書いたものです。
Commented by CAMERA at 2005-09-25 20:03 x
どうもお久しぶりです!高知のCAMERAです。いつもblog、見せていただいています。
鳥居先生は大学(高知大学教育学部特美)でお世話になりました。しっかりとしたポリシーを持った方だと思います。
Commented by yumemasa at 2005-09-25 20:09
cameraさんおひさしぶりです。私は大学の先生が研究の成果をこのような形で広める姿に非常に共感しております。すばらしい先生から学んだのですね。いいなあ。
最近何だか批判記事ばかり書いているので、自分でもいやになっちゃう面があるんですが、こうやってコメント入るとうれしいです。
by yumemasa | 2013-01-17 06:37 | 子どもの表現 | Comments(2)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明