作品からだけではわからない子どもの学び
2006年 12月 03日
当時あまりなっかたのが、子どもの学びの過程についての話し合いです。どんな作品をつくらせるか、ということより、そこで何を子どもたちに学ばせるのかということこそ大事なのに。
08年に開催する北広島市での全道造形教育研究大会では、そこを大事にしたいと思います。
で、私の授業での、子どもの学びを…
(以前の私は、生徒の表現意図も聞かずに、作品を見て、あーだ、こーだ、と言っていました。)
私は研究授業のとき、このような視点で生徒の活動を見ています。教師と生徒の会話にも注目します。勉強になります。
↑生徒のメモ「今日は頭を使ってできた。集中すると体は疲れたけれど、時間がすごく短く感じた」
「今日はいつもの美術の3倍集中できた。少しゆっくりやりすぎたので、次回は模様をもっとつけたいと思う」
(山崎…「頭を使う」という言葉は山崎がよく言う言葉。この生徒は「離れて見てごらん」で模様を増やすことを思いついた。)
↑「自分が考えているのと同じように進んだ。完成が楽しみ」
「統一と変化に気をつけることもできた。うまくいった。次は、色塗りを頑張る。」
(山崎…「自分の考えているのと同じように進んだ」という言葉にあるように、確かな見通しを持って制作していることがわかります。
アイディアスケッチにかなりの時間を費やしていく中で確かなイメージがわいてきたからでしょう。どの部分をさして「統一と変化」を言っているのかは不明。ここを聞けば、指導改善につながりそう)
↑「わくを描く時、全体のバランスに気をつけてかくのが難しかった。あっというまに授業が終わった」
「したがき完成した!全体のバランスについて考えた描くのが大変だった」
(山崎…この授業ではレタリングで学習した「字配り」の内容をつなげた。どんなに部分が素晴らしくても…。バランスが大事、離れてみるとどうすればよいかがわかってくると指導してきました。枠を決める段階から全体のバランスを考えていたのはうれしい。今回わくの形は自分の描く物にあわせて決めるように指導し、子どもが考える内容を増やしたのです。)
↑「前に友だちの作品を見たのが役に立った」
「前にはまだまだ時間がかかると思ったけれど下がきが完成して良かった」
(山崎…この生徒の描いた最初のしたがきから見るとものすごく形がよくなりました。授業の途中で3分程時間をとり、教室内の級友の作品を見る時間をつくっています。この生徒はその時間が刺激になったようです。
なお、きれいな曲線を引こうと努力していたので(きれいな曲線をかきたいと思ってもらえるような導入をしました)、その方法を教えたら、その高価に驚いていました。下がきが完成してよかったという以外の感想が出てくるような授業にしたいです。)
この分析が全て正しいわけではないでしょうが、子どもの学びを見て取ることは大事なことでしょう。
実は、授業の中で、実物投影機を使って、全体に向かって、作品を参考にしてもらうのではなく、その学びの内容(頭や心をどう使っているか)を紹介するようにしています。時間の関係でそんなに出来ないですが…)
クロッキーの時、一人の生徒を連続して紹介したことがあります。描いている時どんなふうに頭を使ったのかを私がインタビューしながら分析していくというものです、もちろんその生徒が描いている様子(目と手の動きや表情)も紹介します。いわゆる絵が下手であると思われている生徒が変わっていく訳ですから、盛りあがりました。
《参考》
北海道の空知では長い歴史を持った「作品を語る会」というのがありまして、ここではもうずっと以前から一クラス全員の作品を持ってくるのが当たり前になっていました。これでこそ、本質が見えてきます。
数学で80点以上の答案用紙を持ってきて、それを分析してもなあ。そりゃ研究にならないなあ。
以前ある数学の先生が私に0点の答案を2枚見せてくれました。よく見るとその違いがわかりました。一方の答案を見ると間違いのプロセスがわかりました。その先生は消しゴムで消えて見えなくなった部分まで見ていました。結果だけではわからないコトが多いですね。
美術教育のことだけ考えていては駄目でしょう。他教科の先生との交流も非常に大事だと思っています。
これを気にしない親御さんは少ないでしょうね。学力の前に学ぶ喜びを感じさせることこそ、大事なのですが。そんな話はさっぱり出ていません。
教育は愛国心を持つために、国のために奉仕する人間をつくるのではなく、まず子どもが幸せになることが先ですよね。そして国がある。
全作品持ち寄り、というのはいいですね。そういう研究会をやりたいです。
いい加減に描かれた絵があったとしても、その生徒の姿を想像しながら、手立てを考えたり話し合ったりできそうです。いい作品ばかりでは、そういう話になりませんものね。
また、美術教育といっても、大きな教育の一環なので、他教科との交流も大切ですね。私たちは大きな教育的目標を達成するために、「美術」という教科でできることやどううすればよいかを考えているわけですから・・・。
デジカメはいいですね。お金がかからないのが最高。デジカメでプロセスを撮影し、生徒の言葉とともに変容を見ることもできますすしね。私は几帳面にはやりませんけど。先日クラス全員の作品を撮影しました。
ところで、全員の作品と言うのは大事ですよ。はじめてやるときは、うまく指導出来なかった作品をもとに、皆さんに相談する形がいいかもしれません。
そうそう他教科との連携は大事ですよ。例えば、数学の教科書見ると、日常の生活と関連づけようとしているところが見えますし、社会の歴史何て必須でしょうし。
廊下掲示も他教科の進度にあわせて関連しそうなものを掲示したり、他の先生にも喜ばれますし、何より子どもにとっては良いことですよね。
廊下の掲示物ですか・・・うちの学校、実は展示できる壁面が少ないんです。屋内の渡り廊下とかあればいいんですけど・・・。全学年がいっぺんに展示できるスペースが欲しい・・・。
三澤先生のいいですね。途中の記録を残すのは、そこで考えている生徒の姿が見えますし・・・。ただ、それを全員にやるとなると・・・450人・・・ん~、無理そうだぁ・・・。
展示スペースですか。思い切った発想の転換もいいかも。
三澤先生のされている記録化のようなことを日常的はできませんが、あのようなセンスで子どもをとらえていくことは大事でしょうね。学ぶべきはひとり一人の表現を大切に受けとめている姿勢ですね。