「やっぱり幼児の絵はいいね。」でもちょっと考えてみませんか。

「やっぱり幼児の絵はいいね。」でもちょっと考えてみませんか。_b0068572_035444.jpgよく小さな子どもの絵を見て「子どもの絵はいいね」とか「元気があってのびのびしている」なんて言い方があります。
 この絵をご覧ください。幼稚園の年中さんが描いたものですが、年中さんがこんな絵を描くのか!と子育てをした方や幼稚園・小学校の先生は驚かれるかもしれません。
先生(保育者)が、かなり口を出しているのではないか?と思われる方もいらしゃるかもしれません。
あるいは特別な才能をもった子が描いているのではと思われるかもしれません。
 この絵に対する 小谷隆真園長の解説を是非ご覧ください。
なお、描かれているのは、大人から見るとミニブタですが、子どもから見ると ルルということが、このような絵を描かせているのだと思いました。

 この絵を掲載している千里敬愛幼稚園のWEBサイトをくわしく見ていただきたいのです。他の園児の作品もご覧頂いたならば、これが特別ということではないということがおわかり頂けるでしょう。
 私ははじめて千里敬愛幼稚園の園児の絵を見た時に、どうしてこのような作品が生まれてくるのか、どうしても知りたくなりました。
 中学校教師の私がここで学んでいることが本当に多いのです。このような豊かな表現を子ども達がするのには、きちんとした理由があります。教育に対する真剣な姿勢があるからこそと思います。
 この園の教育哲学ともいえるべきものが、実は小学校や中学校にも通じるものがあると考えています。もちろん発達特性による違いはあります。
 千里敬愛幼稚園の描画についての監修をされている大橋功さんのKID' S ART LABOもあわせてご覧ください。
(画像の転載については了解をいただいています。)

私は、美術教育の本質を考える時、幼児の絵の理解はどうしても必要なことだと考えています。

なお、
この幼児の作品の解説「園長の日替わり名画コレクション」は1月8日までの予定とのことです。

 今回美術展の作品審査で多数の子どもの絵を見ました。そこで考えさせられることが多かったのです。まるで園長先生がそれに対して答えてくれているかのような気持ちになりました。 

なお、極端な作品主義を紹介しておきます。子どもの絵から、その子らしさは感じません。
指導者の先生は「個性的だ」と言われますが…
このような本を大手出版社が販売していることが脅威です。

これが幼児の絵!? 魔法の酒井式描画指導法

是非見ていただきたい幼稚園児の絵

井式描画指導法はこの絵をどう評価するのでしょう?

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Commented by 森 みのる at 2007-01-05 09:56 x
こんにちは。
この幼稚園、すごいですね!
施設も充実していて、環境がいい!
そして、園長先生のコメントも良いですよね。
ものすごく感動しました。
まるで大地太陽幼稚園みたい!と思いました。
・・・大地太陽幼稚園に行ったことがないんですけどね(汗)
絵の具を使っているから、見る人によっては大人っぽいと感じられてしまうかも知れませんが、
子どもって、何の抵抗もなくぐいぐい描けてしまうのでしょうね。
すごいなぁ。
園長先生のお話をもっと聞きたくなりました。
Commented by yumemasa at 2007-01-05 17:03
森さん、コメントありがとうございます。
子どもだから何の抵抗もなく、ということが、どの園でも実現されればよいのですが…。
現実にはやらせの幼児の絵がたくさんあります。教師は善意でしているけれども。
この絵は自分が描きたいから描いている絵になっているのです。そしてただ放任していてもこのような絵は生まれて来ないでしょう。
本当に。見る人によっては大人っぽく見られてしまうでしょうね。ですが、千里敬愛幼稚園のサイトで園児達の多数の絵を見たらそうではないとわかりますよね。
そして、どうしてこのような作品が生まれてくるのか、多くの人に見ていただきたいと思っています。
子どもの絵をどうとらえるかということにつながっていきますよね。というより子どもをどうとらえるかということでしょうか。
幼児や低学年の子でも、絵がかけない、描こうとしない、という事例がありますが、ややもすると対処療法が多いですが、子どもがどうしてそう思うようになってしまったのかを考えていくことは大事なことでしょうね。
千里敬愛幼稚園で実践されてる「絵の手紙」には注目です。
Commented by 森 みのる at 2007-01-05 18:39 x
園長の「日替わり名画コレクション」と言うネーミングも好きです。
園長さんの温かさが伝わってきました。
山崎先生のおっしゃるとおり、教師は善意で教えているつもりの絵って、たくさんありますよね。
教師だけでなく、保護者もそういう絵を求めてしまっていたりして・・・。
大人と子どもの溝がどんどんできてしまうのは、悲しいです。
でも、この幼稚園は溝なんか生まれないんでしょうね。
子どもの絵の捉え方がここのサイトは温かいですから。
この幼稚園の保護者も、自分の子どもの絵について温かく見ているのではないでしょうか。
いつかこの幼稚園に行ってみたいです。
でも、
大阪なんですよね。遠いなぁ。
Commented by yumemasa at 2007-01-05 23:25
森さん、ここ、学べるサイトでしょ。園長先生は、保護者の方にもご理解いただけるようにしているのです。親への啓発です。
 実は美術教育が教育の中であまり重要視されていないのは、絵は才能であったり、趣味であったり、という浅いとらえになっている面が多いからだと思っています。ましてや今は成果主義です。
 だから美術の教育関係者はこれからは社会への啓発を大事にして行かなければならないでしょう。
 私がブログをやっている一つの理由でもあります。ですから、ブログのカテゴリーに「美術教育の啓発活動」というのを入れているのです。
 そういう視点からも千里敬愛幼稚園から学ぶことは多いのです。
森さんの積極性には負ける!もちろん、私もお会いしたいです。
小学校の先生(特に低学年)から授業の相談を受けたら、このサイトを見るようにすすめています。
日替わりコレクション8日までというのがおしい。
by yumemasa | 2007-01-05 00:45 | 子どもの表現 | Comments(4)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明