今の子どもだからこそ 対話型鑑賞
2007年 05月 09日
栃木の青木さんの管理するハートart夢ひろばで、昨年度 栃木県の研究会で行われた授業の資料等が公開されています。
指導案の他、なんと全員の感想が公開されています。
題材はマグリット「大家族」・ムンク「叫び」・ピカソ「ゲルニカ」です。
(なおマグリット「大家族」は 宇都宮美術館の収蔵作品でもあります。)
さて、この生徒たちの感想を読んで私の授業で出てくる言葉と比較してみました。
その中に出てくる共通な言葉「友達の意見を聞いて」というのがあります。一点の作品を前に仲間の感じ方を知り、自分の感じ方が広がったり、深まったりしているのです。
現代の子ども像は他者とかかわる力が弱いとよく言われています。しかし、この対話型の授業では、仲間の感じ方や考え方に耳を傾け、仲間と学ぶおもしろさを実感しています。感動の共有は優しい人間関係をつくりあげることにつながっていくと思います。そして作品とも深く向き合うことになります。このような授業は他教科にはなかなか実現が難しい面があります。
美術教育の存在価値を感じます。
かつて私が行ってきた作品の価値解説的な授業では、教師が価値を伝えたいという意図が先にありますので(今もそのような鑑賞も実施しています。対話型とは違うねらいで)、対話型のようなよさは出てきにくいのです。そして何より対話型鑑賞の授業をしていると、生徒の言葉に心動きます。おもしろいです。
さて、先の栃木で生徒全員の感想を公開していただいたこと、とっても大事なことだと思います。私もこのブログで全員の言葉を紹介させていただきましたし、こうやって互いに研修しあえるのはありがたいことです。まるで共同研究をしているかのような気分です。
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☆ みんなで鑑賞するからこそ
今回掲載した授業を行った小森教諭が、このブログを見て全員のものをまとめたかどうかは分かりませんが、あの量から考えると、結構前からまとめていたと思われます。彼とは、この時の研究会で始めてお会いしたのですが、その後、何かと交流が続いています。
なんでも美術展にも通知票の合間をぬって、お忙しい中、来てくださいました。
また、余談ですが、先日の地区の教科主任会で、なんでも展覧会について、資料をコピーし紹介してきました。「また、あると思うので、ぜひ、ご参加ください。授業の簡単な記録を取っておけば大丈夫です。」と言ってきてしまいました。
なんでも展覧会のためにだけではなく、授業を記録にし、分析することは大事なことですね。
青木さん、いいお仕事されてますね。刺激になります。
さてマグリットの置き換えについて、斉藤さんのように深く考えてみたことはありませんでした。なるほどなあと思いました。
私のとらえていた置き換えは、遊びや面白さということくらいでしか、とらえていませんでした。「心の操作」かあ。
となると、斉藤さんの授業興味深いなあ。
まあ、どちらにせよ、美術を通しての人間教育はやはりもっとも大事なものだと思っています。
自分って何だ?とか、よりよく生きたいとか、自己肯定できるとか、美術教育にはそんな要素がたくさんありますね。