小学校1年生の絵
2007年 11月 20日
この絵は、これだけ見ていてもわかりません。生田さんのお話によると運動会の絵だそうです。
こどもに運動会で頑張ったことや楽しかった気持ちを絵に描いてみようと投げかけたということでした。
玉入れをしていて、そのとき頑張って汗をかいて体が熱くなったのだそうです。そのことを表したくて赤を使ったそうです。だからこの絵の赤は大人がぱっと見ただけではわからない子どもの「思い」と赤を使うという「ひらめき」がつまっています。大事な大事な赤です。
この絵は生田先生の「気持ちを描いてみよう」という(小1には高度な課題かもしれませんが…きっとやさしい言葉で言ったのでしょう)課題を小学校1年生なりに工夫したからこそ生まれてきた絵です。色をこんなにも意図的に使えるのだなあと感心してしまいました。生田さんの難しい課題に精いっぱい答えています。そして、それをしっかり受け止めてもらえた喜び。
親御さんにも説明をしたら「なるほど」ということだったそうです。
こうしたことは指導者が子どもの側に立って子どもの声(思い、今回の授業では気持ち)を聞こうとしない限り決してわからないことです。親御さんに説明をしたのもとてもとても大事なことだと思います。(それから絵の中に子ども自身が書いたコメントを入れさせています。これはとても大事ですね。子どもが家に作品を持ち帰ったときに大人の受け止め方が変わってくるはずです。)
さて下の絵を見てみましょう。
さて。それより注目したのは横線です。これは60m走の線なのだそうです。絵をよく見ると描いた順序がわかります。最初にこの子は頑張った60メートルラインを描いたことがわかります。そのあと人は肌色で描かれていて、その上から赤で塗り直しています。指導者が上の絵をほめたため、それを自分の表現にも取り入れたのでしょう。子どもの絵を単に発達特性で見たり、「元気でのびのびしているとか大きくかけていていいね」なんて受け止め方をしている限りこの絵の価値はわからないままです。それに子どもがこんな見当外れの評価をされたら、がっかりすることでしょう。実はこれがいまだに多い気がしています。「上手だね、きれいだね」だけでは…
どちらにも、子どもの「あのね…」が聞こえてきます。
絵を通して共感される喜び、こんな体験の積み重ねが、子どもの表現をより豊かにしていくに違いありません。