映画「クラス・ルーヴル」をご覧いただいた方の声
2008年 12月 26日

先日紹介させていただいた「クラス・ルーヴル」を、ご覧いただいた方のご感想を紹介させていただきます。この感想にも大切なことが書かれています。正直、ますます見たくなりました。

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鈴木 斉さん(東京都 中学校教諭)←私のブログにいただいたコメント
ルーヴルの絵を鑑賞していくことを通して、高校生たちが変化していく様子が、淡々と描かれています。
パンフレットにもあったように、ほんとにどこにでもいるような高校生たちが主人公です。私も最初は、「えっ、こんな生徒たちで、やっていけるの」と映画の先行きを心配したほどです。
しかし、彼らがイタリア旅行を終えた頃から雄弁になり、ルーヴルに通い意見を交わし、口論し、一年間の集大成として、ルーヴルでギャラリートークをする。そこに至るまでのドキュメンタリーです。
とてつもなく、すばらしく、生徒が激変したというものではないのがリアルです。
しかし、真摯に絵画に向き合っていく生徒たちのまなざしの変化は確かなもので、自分の言葉で語り、互いにコミュニケーションをとりながら成長していく姿は、鑑賞による『学び』の可能性を示唆するものでした。
鑑賞を通して、教師やアーティストと生徒のやり取りがあり、生徒同士の討論があり、
あの最初の生徒たちが、ここまで語り合えるようになるんだ、という驚きがありました。
うーん、これは教師にまず見せたい。美術教師だけじゃなく。
鑑賞・みること・見つめることの力を知るために!
何度かリプレーで見たいところです。
教師の言葉にも、生徒の言葉にもひきつけるものがありました。
DVDのことも要望しましたが、版権の関係でそれはできないものの、上映権があるうちは、個別対応で上映会は開けるというようなお話でした。
とにかく、鑑賞による学びの可能性が伝わってくる、『美術教育の今』、にぴったりの映画でした。
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三澤一実さん(武蔵野美術大学)←「美術による学び研究会」のML(転載は了解済)
多くの方が異なる視点で感想を書けば、「クラスルーブル」のイメージが豊かになるかなと思い書かせてもらいます。
私は、ルーブル美術館の絵画作品を研究テーマにした総合的な学習に思えました。総合的な学習というと急に色あせて感じてしまうのですが、例えば、長野県の伊那小学校で山羊を飼いながら、山羊と暮らす中で様々な学習に取り組んでいくような、コアカリキュラムとしての総合的な学習です。
伊那小と同様に、クラスルーブルは、ルーブル美術館の作品を介して、語学、歴史等を学んでいくわけです。
先日、ある先生から、嶋野先生(前教科調査官 生活科総合的な学習の時間)が、総合は討論が基本となるべきだ。討論して見えてきた答えを実施してみてまた討論していく、そのスパイラル構造が総合なんです」と言っていたと聞きました。私も同感です。
クラスルーブルは高校というある意味職業選択のための学校であるから、このような絵画作品を核にしたカリキュラムが実現できるのでしょう。日本でも芸術コースがある高校などは可能です。
小中学校では、美術が核になりながら総合的な学習や他の教科との合科で実現できそうです。
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Hikarikoさん(東京の小学校教諭)←メールから(ブログ公開は了解済)
映画は高校生の美術鑑賞の実践事例のようなものかなと思っていたのですが、予想とは違いました。
本当は何か自分にもできるって実感したいけど、どうしていいかわからない。自分を
認めてもらいたくてたまらないけど、実際はそれと反対の行動ばかりして叱られ、反
抗する。
そんな自分に一番イライラして、よくわからないけどなにか不機嫌で周りに当たる。そんな高校生たちが、学校のプログラムの中でルーブル美術館に一年間通い、作品と向き合うちに確実に何かが変化している自分に気付く。しょうもないケンカしたり、他愛もなくじゃれ合っていたクラスメイトや、なにかしっくりいかなかった家族とつながっていく。
でも、劇的にできるようになったり、よい子(?)になる終わり方ではなくて、一人一人手ごたえを感じながらも、さなぎの中で蝶がモゾモゾ動いているけどまだ出られないようなもどかしさを抱えながら、明日からをまた過ごんだろうなって感じの内容でした。
ルーブル美術館とその収蔵作品は、子ども達の日常の背景というか、環境の一部で、「環境が人をつくる」という話だった気もします。
このクラスのプログラム、そして教師は、生徒をその環境に身を置くよう働きかけるものでありました。本当にルーブル美術館も作品自体も、映画の中では背景にすぎない感じでした。
印象に残っていることの一つは、作品をみること・感じることを通して、自分の思いや考えが、拙いながらも本物の自分の言葉になっていくことでした。
もう一つは、生徒の質問に抽象画家が答えた、「芸術は僕にとって世界の見方を変え
るものだ」といったような言葉です。
それに関連しているかのような、映画の最後に一人の生徒がクラス・ルーブルの一年
について語った「僕にも何かできるってことがわかったことが、一番かな?」の言葉
も印象に残っています。
彼は、自分が何かできるってわかったし、認めてもらいたいと思っていたのにずっと叶わないでいた親にもわかってもらえたことが、嬉しくてたまらないようでした。
作品から想を得た自分たちの作品の展示も含めた発表会のあと、大きな高校生が、お
父さんの腕にぶら下がるかのような姿勢で「ね?すごいでしょ」と誇らしげに称賛の
言葉を待つ彼の表情に切なくなりました。不覚にもこの場面で泣いてしまいました。
きっと、彼は世界の見方が変わったでしょうし、そのことによって彼へまわりのまな
ざしも変わって、彼と周りの人との関係も、彼にとっての世界も変わっていくのでしょう。他の生徒も同様でしょう。芸術作品との出会いが、生き方も変えていくといえましょう。
もう、こんな説明じゃ何言ってるかわからないのですよね。とにかく、見てみてくだ
さい。美術教育関係の方々はもちろん、それ以外の方々にこそ見ていただきたいド
キュメンタリー映画でした。















