子どもの思いが、何も感じられない絵 (酒井式描画指導法に対する保護者の声)
2009年 08月 13日
はじめまして
小学校1年生の息子をもつ、Aと申します。
貴ブログ「美術と自然と教育と」の、酒井式描画法に関するいくつかの記事を拝見して、メールを送らせていただきました。
6月、図工の時間に「運動会の絵」を描く時間がありました。絵の好きな息子は、週の予定表に「うんどうかいのえ」とあるのを見て、何をかこうかと楽しみにしているようでした。
その日が終わり、帰宅すると、「絵の描き方が決まっていて、下手になっちゃった。」というのです。
はじめは、慣れない道具でも使ったのだろうと思ったのですが、話を聞いてみると、顔のパーツそれぞれについて、向き・形・描き方・描く順序までもが、決められているようでした。
「言われた通りには描けたけど、変な絵になった。」
親としては、「変なことをするんだなぁ」とは思いながらも、『学校教育』の素人である私たちにはわからない意図があるのだろうと…。
数週間後、授業参観で教室を訪れた際、廊下に、「運動会の絵」が貼り出されていました。幼稚園のときにも子どもたちの絵画・工作を見る機会がありましたが、
子どもたちの絵を見て「気持ち悪い」と感じたのは初めてのことでした。
子どもが自ら感じ取った結果として、現実にありえない構図になっているのは絵画ならではと思うのですが、それらの絵からは、「はじめての小学校での運動会」に対する気持ちが、何も感じられなかったのです。
家に戻り、それらが「酒井式描画法」によるものであるとわかるのに、時間はかかりませんでしたが、TOSSランドにおいて、それらが「教師」の成功体験とし嬉々として語られるのを見るにつけ、小学校における美術教育について不安を感じています。
ただ、それを担任や学校に話すことで、私が「やっかいな親」になってしまい、息子にとってマイナスになってしまうのは、いいことではないのだろうと、悶々としているところもあります。
教育界全体で、酒井式が優れたものと捉えられているのだろうかと心配になりましたが、貴ブログ等で、そうではないことを知り安心しています。これからも美術教育への思いをぜひ発信しつづけてください。
よろしくお願いします。
まとまりませんが、応援のメッセージとして、お読みいただければ幸いです。
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息子さんが、何を描こうか楽しみにしていたのに、がっかりした感想。
その時の息子さんの思いを知ると切ないです。
そして、お父さんが絵を見られた時の率直な感想「気持ち悪い」。わかります。
でもそのことより
お父さんが書かれた「はじめての小学校の運動会に対する気もちが、何も感じられなかったのです。」
とうことが、本当に大事なことなのだと思います。
これまで美術教育界は「酒井式」など、無視してきました。
しかし、気がついたら無視できないところまで広がっていました。
担任の先生も善意でやっているのでしょう。
いきなり批判は難しいでしょうから、担任の先生に質問という形もいいかもしれません。
いただいたメールを読ませて頂いて感じた事、それは
子どもの思いを大事にする優しい親御さんです。
自分の感覚とか好き嫌いでなく、子どもに寄り添って教育を考えておられますし、
私はAさんのような感じで担任の先生に話されるのならだいじょうぶなような気もしますが…
さてAさんのメール、実名を伏せて
私のブログで紹介させていただいてよいでしょうか。
今までこのようなメールを何度かいただいていますが、それらの親御さんの気持ちをよく代弁されておられます。
しかも こみ上げる怒りを抑えながら
書かれている文章は きっと 酒井式の描画指導法に疑問を感じておられるかたの共感を得られるでしょう。
多くの人達にもAさんのお子さんの思いも知って欲しいのです。
《関連サイト》
☆ 酒井式描画指導法への疑問
↑ 2005年まで酒井式の描画指導法について批判的な意見を掲載するサイトはありませんでした。一部ブログで疑問の声があがることはありました。あるいは○○式と書いているものはあるにはありましたが…。ならば、自分がやるしかないと思い、当時一大決心をして立ち上げたサイトです。
これまで、絶賛するサイトしかありませんでしたから。
酒井式の授業をやめてほしいと考えている親御さんや教師で同じ学校の人が酒井式をすすめてくるので困っている方には、このサイトを一部プリントアウトするなどさりげなく見せて、質問してみたりをすすめています。
なお一時期 このサイトはTOSS - Wikipediaでもとりあげられていましたが、削除されました。
《関連記事》
☆ 口汚いののしり、全くデタラメな意見
☆「子どもの絵をダメにしていませんか」
☆ 図工の授業で困っているという小学校の先生方へ
☆子どもの絵をどうとらえるか 酒井式をめぐって
(追記)
こんな話題ばかり読んでいては、暗くなります。先が見えません。では、子どもの絵ってどういうものなのか、このブログの左にある「カテゴリ」の中の「子どもの表現」をクリックしてみてください。
酒井式描画指導法は、これをこんなに放置しておいた責任を感じています。
だから、このような声をたくさん拾ってこうして公開していかないといけないと思っています。
東京は専科ですから、酒井式等、入り込む余地はないでしょうが、そうではないところでは、かなり広がっています。
私は高等学校で美術を担当していますが,大いに同感しました。
図画工作,美術はヘリコプターでいっせいに同じ頂上に連れて行くような教科・科目でないはず。
やはり教員になる前にどうにかしたい。なってからでは遅いと痛感しています。
待つこと,気づかせること。そんな学びの生まれる瞬間を大切にできる教員でありたいと思っています。
ないしろ「明治図書」さんが大切にされていますし。信用してしまいますよね。だって「学習指導要要領」の解説まで出していますから。
疑問を感じた教師が頑張っていくしかなさそうです。
KOKUさんの「新規採用教員の人たちの間にじわじわ広がっている」という情報ありがとうございます。今、あるアクションを起こすかどうか迷っているのですが、やはり やらなければならないかなと。
酒井式という方法は「絵が描けない子どもがいる」という子がいるという前提になっていますけど、そうさせている原因を考えようとしていないわけです。
酒井式を反面教師としてとらえることもできますが、やはり被害を受けるこどものことを考えると心が痛みます。














