上野行一著「私の中の自由な美術」鑑賞教育で育む力
2011年 03月 06日
このブログをはじめた2004年は、私自身も含め「鑑賞教育」の大切さを感じていながらも、先が見えない感じでいました。私などはかつては作品解説的な鑑賞(私が作品について知っていること、感じていることの生徒への押し売り?)、つまり作品解説をして生徒に「なるほど」「へェー」と思わせるような、あるいは「美術展」にある「作品解説」をわかりやすく伝えるような、そんな感じの授業をしていました。生徒への感想や意見を求めますが、それはあくまでも教師が用意した答えに導いていくためのものでした。「対話による鑑賞」を知り、実践をはじめてから「鑑賞」で、子どもがこんなに美的な感覚を働かせるのか!ということにも気がつきました。また、子どもが自分の感じた事や考えたことを発表しあいながら仲間とともに見方を広げたり、深めたりしている様子を見ていて、積極的に鑑賞していく姿を見ながら、あ。これ、すべての国民に身につけさせたい事だと思いました。
その後、「対話による鑑賞教育」に関する発表は多数出てきていました。さてその中で「決定版」とも言える本が出ました。上野行一先生が書かれた「私の中の自由な美術」(光村図書)|です。私は思わず2度続けて読みました。
「対話による鑑賞」は、まだまだ理解をされていないことが多いと思っています。「言語活動のために」とか「作品についての正しい知識を教えなくていいのか?」とか「教師は子どものいうことをただうなずいてるだけでよいのか」とか…でも、そんな疑問や誤解を払拭するのがこの「私の中の自由な美術」です。
ここには「対話による鑑賞をどう進めるか?」ということよりももっと根本的で本質的なことが書かれています。しかも、文章がとてもわかりやすい。
「鑑賞教育」いや大人も含めて「美術鑑賞」について考えるとき、ぜひとも読んでおきたい一冊だと思います。
これ、一般の方も読めば「美術」ってこんなにおもしろいのかって思うことでしょう。
☆上野行一著「私の中の自由な美術」(amazon)
《関連記事》
☆「モナリザは怒っている」
☆中学校教師のための対話による鑑賞教育ガイドブック
☆鑑賞を楽しむために
☆「鑑賞と対話」について考える(2006年)
「美術作品」と「学校」と「美術作品の鑑賞」さらに「美術館」や「生涯学習」などの関係が見事に繋がった1冊だと思いました。一般の方々にもホントにオススメです。
内容もさることながら印刷,製本の良いこと!!! 特に図版のクオリティや小口の手触りなど惚れ惚れ。
授業も何とかしていかないといけないし,テレビの美術系番組も何とか考えていだけないかなぁと思っています。
クイズ形式の答えや著名な方の発言で美術作品が語られていく,そこにも鑑賞における諸問題が解決していかない原因があるように思います。
ともあれ美術作品の鑑賞が、メディア・リテラシー、言語力、コミュニケーション力、イマジネーション力を育成することを説明(立証)した1冊と感じました。
この本を元に数人が集まって勉強会や研修会などもいいですね。














