絵を描く授業。ごく普通の鉛筆デッサンの授業。デッサンが絵画表現の基本というよりも、じっくっり、追求しながら絵を描くことの面白さを味わうという考え方の授業です。
中1ではスケッチの楽しみを味わってきていますので、中2ではその経験を発展させてこのデッサンの授業にしているわけです。生徒には「絵を描く新しい世界を体験しよう」という言い方をしています。
この授業では動機付けとしてモチーフの選定が重要です。部活動の道具なども、中2では、相当気合いが入って描く生徒も多いです。「描きたい」気持ちでやれば、それは、それは違いますから。
授業中は
相互評価を取り入れています。互いの絵を見あい、形の狂いを指摘するというものです。ただし、条件があります。たくさん指摘するところがある場合もあるのけれども、指摘するのは一カ所だけが基本。しかも最も効果的な一カ所にしてくださいという条件を出しています。ただし、相手からもっと教えてほしいと言われた時だけ、複数指摘よいことにしています。「誰だって嫌になってしまうようねー、課題ばっかり指摘されたら…」
絵を描いていて、
間違いを見つけたら、直せばいい。それだけ。だから、「あ、変になった。」「うまく描けないなあ」「才能がないのかな」なんて思う必要は全くないです。それよりも「間違いを見つけたら、ラッキーと思えばよい。直した分だけよくなるわけだから。」
線はうすく描くと直しやすいですよ。2Bくらいで、弱い線で描くと、どんどん上から書き直していけますよ。いちいち、消しゴムで消していたら、面倒ですよね。
とにかく、
形をとらえていく時に使う脳みそは「比べる」ということ。長さを「比べる」角度を「比べる」大きさを「比べる」明るさを「比べる」。結局のこのくり返しが、描く力、見る力を高めていきます。比べて、違いを見つけてなおしていけばよいわけです。
授業中は
生徒の手と目の動きに注目しています。作品を見るよりも、その
仕草から生徒の「学び」が見えてきます。困っているときなんかもわかりますし、ただ何となく描いているのもわかります、そんなのが見えたら、そっと声をかけて、作品ではなく、今の気持ちや考えていたことを聞きます。そこからです。
いま、このデッサンの授業がおもしろくてたまりません。生徒がどんどん描いていますので。手を休めて しばし、モチーフと絵を見比べていたり、鉛筆を使って長さを測ったり、角度を確かめたり、形をとらえるために補助線を描いてみたり。
画家の描いたデッサンを見せます。実物投影機を使って。「ほら、この線、ここは、間違ったから上からかきなおしていますね。」「ここは、何本もの線になっているけれど、線を描きながら形をさぐっているんでしょうね」「(補助線とか中心線とかある絵を見せながら)この線、何故、描いたと思います?実際にはないはずですね。」
「画家もこうして線を間違えているのだから、みんなが間違って当たり前。とにかく違ったら直せばいいんだよ。」《関連記事》