中学生の絵をどうとらえるか?

 下の画像は、今年3年生が夏休みの課題で描いてきた作品です。一クラスのぶんです。各学年で課題を出しています。絵画です。基本は見て描いたもの。でも3年生は冬休みは課題を出しませんから、これが最後ということで、想像の絵でもよしとしました。これまでの流れからか、見て描いてきたものが多かったです。
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さて、休み明けは、全員の絵に私がコメントをしていく授業です。こんなことを かれこれ25年ほどやっています。
 そして、そのコメントの内容もその考え方がかなり変わってきました。
 生徒の絵を見るとき(休み明けの鑑賞会)、かつては「どれだけ描けているか」風景画や静物画として、どうか、絵画としての今後の課題は?その絵のよさは?などと言った視点が主でした。つまり、専門家による助言と言ったらよいでしょうか。表現力向上のためのコメントです。

 しかし、今は 「一人一人は何を感じ、何をどう、表そうとしているのだろう?」ということを主に見とり、その結果としての「表現を受けとめる」という基本姿勢です。ときには描いた絵のテーマ(モチーフ)が話題の中心になったりします。だって何を描いたかは、とても大切なことですから。



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絵を見る前から私がわくわくしています。さっとまず見ておくと安心です。どんな絵もとまどうことなく、さっとコメントできるようになりました。
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目の前の本人に意図などを聞いたりします。こうしてより適切なコメントが可能になるわけです。絵の裏にも生徒の感想が書いてあります。この絵は部活動で頑張ってきたことが、絵として表現されています。彼女がここまで描いてくるとは!
 教師のコメントを通して、他者の表現を認めていく文化をつくっていくことにつなげていくわけです。ですから1年生ではじめのこうした鑑賞会は一部の生徒はいやがります。しかし、それはなくなります。自分の表現したことが共感的に見てもらえるし、人と違うということが認められることを知りますから。
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このような授業が充実してきたのは、テレビモニターに絵を映し出すようになってからです。子どもの思いや意図が、具体的にどう色や形に反映しているのかを見て行くときに、作品が細部まで見れるからです。
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拡大して 鉛筆や絵の具の痕跡を見ていきます。書き直した跡、描いた順序、筆のスピード、水加減などを 見るところはたくさんあります。ですから、話は具体的です。実際にそのことは描いた本人に確かめることが出来ます。私のコメントで、生徒がうなずきながら聞いているときは、非常にうれしいです。そうでないときは、生徒に聞きます。これが、またとても参考になります。

 最近は生徒が絵を描いているときの状況を聞いたりします。出来上がった結果としての作品だけではなく、描くという行為そのもの、あるいはいかに描いているかという状況もまた大切なのだということを感じとってほしいからです。

 この授業は生徒から評判がよいです。絵のおもしろさや級友の意外な一面を知れますし、互いに学び合う関係になれますら。

 3年生の冬休みの課題が出ない事やこの鑑賞会が終わりになることに対して、残念がる生徒が出てきました。手応えを感じます。

 このようなことをしながら、絵を描くのが好き、絵を見るのが好き、いろんな感じ方や考え方があるから世界はおもしろいなんて感覚を子どもの中に育んでいきたいと思っています。

(追記)かつては、この授業を2時間続きでやっていました。だから、かつてと比べると浅いのです。授業時間数の少なさは、こうした学びの豊かさを奪っています。必死で工夫はしていますが。

《関連記事》

 ☆中学校1年生が冬休みの描いてきた絵です。

 ☆作品からだけではわからない子どもの学び

 ☆生徒作品の鑑賞の授業
Commented by 山田晋治 at 2011-08-30 15:44
私もかつて夏休み明けに同じような鑑賞の授業をしていました。当日までに誰が描いた作品かを頭に入れておいて、でも授業では初めて見たふりをしながらコメントしていきました。「この作品は誰が描いたか知らないけど、きっと作者は心の優しい子だと思うよ。しかも、意外と男子だったりして…」なんて指摘したものです。なかなか上手い芝居をしていたと思っています。でも、山崎先生も仰っているように、結局は「専門家による助言」にとどまっていた気がします。反省。。。
Commented by yumemasa at 2011-08-30 19:25
山田先生、このような日常的な授業に共感していただき、うれしいです。たぶん、山田先生と同じ地域にいたら盛り上がっているような気がします。でも、すでにコメントで盛り上がっていますね。山田先生自身のことも語っていただき、ありがとうございます。
Commented by 井上哲義 at 2011-09-02 10:45
山崎さんの夏休みの課題の取り組み、とても充実感があつていいですね。鑑賞会は生徒もとても楽しみにしています。ワクワク感があり、共感が在るんです。私も、山田先生のように、作品は事前に見ておいて1人ひとりに発するコメントを考えておいて、進めています。鑑賞は作者の思いも直接聞きますが、仲間の感想も聞いていきます。すると、新たな発見があつたり、共感や共鳴の雰囲気が生まれ、暖かいまなざしの時間となります。夏休み開けは教師が一番ワクワクする時の様です。生徒の作品を通して、創作の秘密を解き明かし、生徒の内面にピッタリタッチすることが出来るからです。自分の作品も、他者の感想やつぶやきで膨らみを持ちます。この時間は、大切な教師と生徒、生徒と生徒のコミュニケーション活動だと思います。山崎さんの暖かいまなざしがいいですね。二中作品も補強をし、ラベル作りに入ります。
Commented by 山崎正明 at 2011-09-02 21:02
井上さんの授業も見てみたいですね。実は、私も、この授業ははじめてビデオで撮ったのです。たぶん対話による鑑賞や子どもの絵のギャラリートークをしていないころとではその内容は違っていたでしょうね。井上さん、固定ビデオでいいから撮ってみませんか?そういう授業研究もありですね。そうそう、授業中に、適切な評価が出来れば、それは子どもの中にストンと落ちて行くんですね。評価って本来とってもあったかいものなのに、評価をいつも数値のイメージでとらえると、ちょいと悲しいですね。実は教師の授業ビデオを使った研究科をやりたいと思っています。
by yumemasa | 2011-08-28 11:46 | 子どもの表現 | Comments(4)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明
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