描いたらおしまいでなくてよかった(その1)
2005年 01月 22日
中学校生活の総決算として行った3年生(1学期)の授業「今ここにいる自分」です。
作品の横に、この絵の作者である生徒の言葉をはっています。
(感想でうまくいったところとうまくいかなかったところを求めるものもあります。私もそのような感想を求めていた頃が、ありました。その頃は見かけ上の表現力の向上に目が向いていたのでした。Uさんは描いた「心」を感想として求めています。感想一つにも教師の指導観があらわれてきます。)
指導されたUさんは作品完成後、授業の中で作品鑑賞会を行っています。また学校祭でも展示しているので全校生徒や親、教師などいろいろな人の目に触れる訳です。ここで作品横に貼られている感想の果たす役割は非常に大きいと言えるでしょう。
この授業を通して、子ども達はお互いのことへの理解が深まったとのことです。また絵では表しきれなかったことをUさんのところまで言いにきた生徒もいたということでした。
この授業は、自己表現ですが、自己と向き合うことにとどまらず、作品を通して仲間と互いに心の交流しているともいえるわけです。これは、学校だからこそ出来る美術と言えるでしょう。正直、この作品の鑑賞会みたかったなあ。
この記事のことで指導された先生と電話で話していたら、最後にUさんが言いました。「描いておしまいにしなくて本当によかったです」と。
今、子どもは他者と関わる力が弱まっています。絵は「心の窓」(「KIDS ART LABO」大橋功さんの言葉)として作品を受け止めていくということの大切さを実感させてくれる授業です。
大人も子どももそのような作品鑑賞の視点も必要でしょう。感想をそえた作品展示も非常に大事なことと思います。
(作者の感想の他に、級友の感想も添えるという方法もあります。よくある級友の作品に対する感想を付箋に書いて貼るというものを、発展させたものです。)
自分の夢について先が見えないのがとても不安なのです。
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