中学生に見て描くおもしろさも味わってほしい(その1)
2012年 06月 30日
かつては、デッサンが基礎・基本だから(最近はこの言葉は使っていません)とにかく、とことん追求させました。(この頃は「〜させる」という表現を使っています)もうそれはもう驚くようなものも描いていました(描かせていました)。まだ1年生も2年生も美術の授業2時間のころです。(なお、写真は2クラス分の中からセレクトしています)
「面白さを実感する」ことへシフトしたのは、面白いという実感や自分が伸びていくことを実感することこそ、学び続ける姿勢を生み出すと考えたからです。だから授業中に評価するのは作品よりも「学び」。ここでは2年生の「学び」の評価を一部紹介させてただきます。

授業での私の主な指導の言葉。(実は1年生の時から似たような話をしています。)
「脳みそに「比べる」ということをさせてください。」(長さ、面積、角度など、鉛筆を使ったりして比べる。片目つぶってやってみるとわかりやすいですよ。補助線を使うと便利ですよ。)
「離れて見てください。作品手に持って。(一段落してから)細かいところばかりではなく、全体のバランスを見てください。モチーフの周りの形も見てください。」(←本当は「離れてみる」ことなど中2段階なら言わなくてもやるような感じに育てておきたいのですが…。まだ言ってます。)
「描くのだったらそっくりに描こうと決意すると面白いです。ま、こんなもんでいいかと思うとそれないりの満足で終わりますから」


「このように描くときは、描く線はうすい線が便利ですよ。だって修正を加えるとき楽ですから。」
「うすい線を描きたいのにうまく、描けないという人は、テレビモニターで例を見せますから、見てください。他の人は私の話は無視して描いていてください」(そう言って、鉛筆の持ち方を見せ、実際に薄い線を描いて見せます。)→こうしてモニターで示さず、直接生徒のところに行ってやって見せる時もあります。教えて欲しい人いますか?って言ってから、行くわけです。学びたい気持ちが強いですから一気に身につきます。)
「みなさん、間違いを見つければ見つけるほど、ラッキーですからね。だってそこ直せばよくなりますから。」(この言葉は最近考えついた言葉です。本当にそんな感じになっていきます。)
「画家はね、間違った線を描いても気にしないで描いてくんですよ、それが当たり前ですから。」
「ほら、これがデッサンの進め方の例ね。(美術の副読本に掲載されている制作過程の写真)こんな感じですすめていくことが一般的なんです。じっくり見てイメージしてください。」
「今見せたようなデッサンの進め方とは違って、実は、部分から描いていく人も中にはいるんです。絵には決まった描き方というのはありませんから、どんな描き進め方をしてもいいんです。ただ、今回は大まかに描いてから細かく描いていく一般的な方法をおすすめします。でも違う方法でもいいですよ。相談もしてください」

↑靴の裏を描くのに補助線を描いています。こうしなさいと言っていません。資料集にある制作過程の写真から学んだのか、彼の発明なのか。このような工夫などをテレビモニターで見せることで「学び合う」雰囲気をつくっていく。




↑(上の写真)まじめに取り組んでいるが、なかなか形がとれないでいる。実はこの前の段階ではラグビーのボールのようだった。形がとれない理由はたくさんある。彼には全体のバランスを見ながら部分に修正を加えて直しながら描き進めることを提案した。実際の彼の目の前で私が描いてみせた。そのときの私の頭の中で起きていることも補足しながら説明した。(下の写真)この円(球)の形を正確にとらえることが、彼に自信をつけると考えた。「円を正確に描くことは難しいけれど、これをやるとバランスをとる力とか、修正しながら力がついて、絵を描くのがおもしおくなるよ」って話した。ここでは円はほぼ描けたので他の部分の修正もはじめた。私も本人も周囲も驚いた。すごい。


↑私がモデルガンに、興味を示すと、このデザインのどこが気に入っているのかを教えてくれた。こうした会話にから、本人のモチーフへのこだわりが見えたりする。さて手元を見てほしい。実は指で大きさを測っているところ。「比べる」という脳みそ使っています。こういうこともあとで、まとめてクラスの中でシェア。





よく、絵を描くのが苦手な子がいるから「写真」や「モダンテクニック」などの表現方法は有効だという考え方も聞きます。それで、はじめから限界を決めてしまうかのような考え方なのではないでしょうか。少なくと見て描くというごく普通の面白さに気がつかないで終わってほしくないんです。
さてここに紹介させていただいた方法に自分なりにたどりつくのに20年以上かかってしまいました。でもこの指導方法を取り入れたら、すぐにできるでしょう。
ところで、この題材は小学校低学年などではやってはいけないと思います。私の授業では中2。生徒にも「この描き方は小さな小学生の兄弟には教えないでね。だって絵を描くのがそれだけで楽しいと思っているのに絵に描き方があるって思ったら、それに縛られるでしょ。」て言っているほどです。「高学年で絵が好きな子がいたら、教えてもいいかもしれないけど」と話してします。だって小学校低学年のときには、「その時にしか描けない絵」があるのですから、その時代を大切にすべきだと思うのです。高学年ならやりますね。共同研究の授業でそう実感しました。
→中学生に見て描くおもしろさは味わってほしい(その2)














