中学生に見て描くおもしろさも味わってほしい(その1)の続き
↑この絵の手前の絵はラフッスケッチ。本当はこの4分の1のサイズにラフスケッチをしながら、構図を検討。しかし、この生徒はもう一枚描いてみて感じをつかんでいる。しっかり描こうとする意志が伝わってくる。
↑画面からはみ出した大胆な構図。このようなこともラフスケッチをしながら構図の検討をするから、生まれてくる。
↑こうして鉛筆で計ったり、角度を確かめたりしている姿から「比べる」ことがたくさん行われてることがわかります。本当に慎重にやっている。
↑描いた結果を見て「比べている」。この授業の中でも最も出てきてほしい姿。この姿の出現率や生徒の目と手の動きを見ながら、授業の途中で、手を置かせ、補足や全体指導を行う事もある。かっての私は描き方のポイントをしめしていた。今は頭をどのように使うかを大事にしている。このように教師の出番が多い授業はこの題材で終わり。
ところで、左に見えるスケッチブック。これは、うれしい。「どのように描いたらいいかなあ」って考えている証拠。実は最近は出来るだけワークシートを使わないようにしている。だって実際に絵を描く人たちはワークシートに取り組んでから描いたりしないから。これはワークシートを使わなくなった成果かもしれない。
↑やられた!って感じです。面白い。それを真剣に描いている。「遊び心」も大事にしたい。
↑この前のラフスケッチの時間は意欲が弱かった。さすがに私もとまどったほど。
そして、今日わかったこと。彼にはラフスケッチなんていいから早く描きたいという気持ちが強かったのだ。いくらこちらで「ラフスケッチ」が大切であることを伝えても、それを本人が自分のものとして意義を感じない限り、力を発揮させることにはならないと言うことだ。
それから机を縦において使用しているが体の大きな生徒にはモチーフとの距離を十分にとれていない。これは、よろしくない。そこで机を二つ使うように提案した。その結果、形が捉えやすくなったのか、ものすごく集中して描いていた。「振り返り」の紙には。前回のラフスケッチでは、「ひまだった」そして本時は「くそおもしろかった。」。授業終了後「もっと描きたい」とつぶやいていた。
↑ウサギの体や頭を長方形で囲っている。彼女が形を正確にとらえようとして考えた方法だ。こうした、形を正確に描こうとする工夫、自ら見方や考え方の工夫をしている。指導で使った言葉を「比べる」と言うシンプルな言葉で説明しているからだ。対象と描いたものとの「比べ方」は様々だ。
↑デッサンは全体から部分へと描き進めていくのが一般的であるということは説明しています。しかし、次のような補足をしています。
「一般的な手順とは違って実は部分から描いていく人も中にはいます。絵には絶対にこうでなければならないという決まった描き方というのはありません。いろいろな描き進め方があっていいです。」って言ってあるからで、この絵のような部分から描き進める方法もよいことになる。こういう描き進め方の個性はわかっていたけれど、かつては余計なお世話のように、大まかに形をとらえてから細部を描くように矯正するかのような指導をしていた。彼にとっての美術の授業は人生の中で、あと残り50時間と少ししかないわけで、… 彼にあった指導の仕方を工夫すればよいわけです。彼に届く言葉で。例えばラフスケッチのときに、ビー玉を持ってきたので、いくらなんでも小さすぎて難しいけど…って話しておいた。このときは彼にとってラフスケッチよりも、ビー玉をとりあえず描いてみることを認めた。そうしたら小さく感じたのだろう、犬を持ってきて絵に入れたわけである。この絵は増殖するかのように進んでいくのだろう。夢中で描いている。
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