中学生に見て描くおもしろさも味わってほしい(その3)
2012年 07月 01日
中学生に見て描くおもしろさも味わってほしい(その2)
授業では「子どもの頭や心の中で何が起こっているのか」という視点を持ってとらえている。(その1)(その2)については主として「頭」に関すること。ここ(その3)では「心」に関することを少し書いてみる。
でも、生徒に言われた訳です。「部活動の靴ではダメですか」って…そこから私が変わっていく。生徒が本気で描きたいと思ったら、そりゃもう、すごい力を発揮することがわかったわけです。実感として。
そこからモチーフの選択の範囲をどんどん広げて今に至っているわけです。
そういう意味で私とは少し違う方向ですが「私の大事な靴」ってテーマでやったり「私の宝物」ってテーマでやったりしていいなあと思う授業をしてる方もおられます。そういう実践で大事にされておるのは描く側の「心」です。
↑部活動のものを描く生徒は本当に、多い。だって今頑張っていることですから。それを描いたらやはり自分を表現したことになるのですから。これなんかは新品。値段を聞く事もある。(親もいろいろと出費が大変だ。でも我が子のよさを引き出したいですからね。)
↑使い込んだものならちょっと手入れの話を聞いたりすることもある。部活の様子を聞いたり。
ただし、気をつけることがある。あまりにも自分のモチーフと言いすぎるのもよくないと思う。だってそんなにこだわりのあるものがない生徒もいたり、家から持ち出せないものもあるわけ…で。言っているのは、別に描きたいものがなかったら 上靴でも美術室にあるものでも 徹底してクールにひたすら そっくりに描く、それだけを目標にしても 面白いよって言っています。
この授業、素晴らしい取り組みだと思います。私が中学校で授業をしていた時は、完全に技術力習得のためにクロッキーやデッサンをやらせてしまっていたなぁ・・・と深く反省をしています。「見たまま、じっくり描く」という授業も、生徒の内面に光を当てれば、ただの技術習得では終わらないということがよく伝わってきます。
この限られた時数の中で、生徒達に、造形の楽しさや自信につながる技術を身につけてもらうにはどうすればいいのか?その時にしか作れない(描けない)ものを大切にしながら、その次につながる技術力も育てていく。
とても難しい事だと思っていたのですが、先生の授業のように「生徒の内面を育てる事を一番大切にする」ということをしっかりと持ち続ければ、自然に両立できることなのかもしれません。
ただ、そのあたりまえの事が私にとっては、まだまだ難しい事なのです。
なにしろ、研究会では まあほとんど話題にならないような題材ですから。地味もいいところです(笑)でもこうした当たり前のような授業のことを丁寧に記述することもいいかなと思いまして。
東さんが私の授業に共感してくださった段階で、きっと「私にとっては、まだまだ難しい事なのです。」という最後の一文は不要だと感じています。
東さんの書かれた「その時にしか作れない(描けない)ものを大切にしながら、その次につながる技術力も育てていく。」この言葉、ありがとうございます。
ところで、舘内先生チラシの方、ありがとうございます。よい会にしたいですね。