『美術館活用術~鑑賞教育の手引き~』ロンドンテートギャラリー
2012年 07月 02日
『美術館活用術~鑑賞教育の手引き~』(美術出版社)について紹介させていただきます。これ、美術館や教育を考えるのに本当にいい本なんです。これまで本は米を食べるように読みましたが、その中でもベストの本なのです。
テート美術館の鑑賞教育をまとめたこの本に出会ったのが4年前。これは日本の鑑賞教育に役立つと思い、すぐに翻訳権をおさえました。テート美術館の「デザインや体裁をいっさい変えない」という高い要求を日本語版でクリアするために徹底して翻訳やデザイン、印刷仕上がりにこだわったため時間がかかりましたが原書以上の美しさになったと思います。
内容は、第一部「美術館を学ぶ」で簡単な美術史、美術館史などから、美術と美術館を問い直し、その社会的なシステムをおさえます。その上で第二部「美術館で学ぶ」では、鑑賞活動の理論「アートへの扉」をもとに、教育課程全体での活用、美術館での様々な活動例など具体的な方法が示されます。
ビジュアルで簡単にまとめられているのに、読後は見方が変わる、広がる本です。
「どんな鑑賞をしようか」なと悩んでおられる方々のアイデアブックにもなります。また、「目の前の子どもが何を考え、何を感じているのか」「行った鑑賞活動にどのような特徴があるか」など、自分たちの実践を理論的に具体的に位置づけることもできます。言い過ぎかもしれませんが、今の日本の鑑賞教育の混沌を整頓してくれて、様々な鑑賞実践をつなぎ合わせてくれる本だと思っています。
全国の美術館や学校に、学芸員、美術教師、美術ボランティアなどに、手引きとして手元に置いていただきたい本です。
監訳:奥村高明(聖徳大学)・長田謙一(首都大学東京)、訳:酒井敦子・品川知子(森美術館)
定価3500円+税。
なお、帯には二つ返事で快諾いただきいた写真家の浅井慎平さんとスカイツリー設計監修者の澄川喜一先生の推薦文が掲載されています。
☆Amazon美術館活用術 鑑賞教育の手引き ロンドン・テートギャラリー編
明日帰宅をさっさとしたいなぁ・・・。私も読み終えたら書評を記したいとおもいます。
そうそう。宮城造形教育連盟HPに中学校美術NETの情報とパンフレットで掲載して頂きました。