2018年11月 奈良で造形表現・図画工作・美術教育研究全国大会


今年、岡山で開催された全国大会、その次は奈良です。
2018年11月 奈良で造形表現・図画工作・美術教育研究全国大会_b0068572_08140695.jpg
 山崎はここで指導助言の仕事をさせていただきますが、事前に共同研究的にできたらいいなと思っています。指導助言の立場になったときは、できる限り授業者や提言者と共同研究になるようにしてきました。今年、釧路で開催された全道造形教育研究大会では事前に研究の内容をとらえながら、幼稚園と連絡をとったり、直接、園にうかがったり、(同じ道内だからできたことなのですが)そうすることで、研究や実践に広がりや深まりも出てきます。また昨年は東京の区の研究会で授業者と共同研究して参加させていただきました。やはり、プロセスの中でのやりとりは、私もとても勉強になります。






〔大会テーマ〕

豊かな感性・新たな創造 ‐古都奈良でつくりだす造形教育‐

【幼稚園・保育所(園)・こども園】 心が動く豊かな表現

【小学校(部)】学び合う 子どもの夢中が輝く造形活動

【中学校(部)】 学び合い 未来へつなぐ美術教育

【高等学校】繋げる 奈良 拡がる

【特別支援学校】わくわくと心に響き、伸びやかに表現がはじける造形活動




 今日、学校教育において子どもたちがこれからの時代を、自立した人間として多様な他者と協働し ながら創造的に生きていくために必要な資質・能力を育成することが求められています。

 その中で、図画工作・美術教育で子どもたちに豊かな感性をどのように育むか。また、身に付 けた感性を働かせ、周りの人や環境とどのようにかかわり自分なりの主体的な創造活動をどのよ うに広げていくかということは、子どもたちにとって欠かすことのできない学びであるといえま す。私たちはそのような造形教育を奈良の特色を生かして展開することで、造形教育で身に付け るべき資質・能力を育成することはもちろん、子どもたちが郷土を愛し、そのよさを自分の言葉 で語ることのできる子どもを育てていきたいと思います。

 誰もが知るように、古都奈良には寺社や仏像など、世界遺産や国宝・重要文化財をはじめ多く の文化遺産や伝統文化等が溢れています。また、正倉院展で有名な奈良国立博物館をはじめ、県 立美術館、大和文華館など多くの美術関係施設があり、子どもを対象に独自の鑑賞ガイドを作成 するなど、学校教育との連携が進められています。それらを生かし、例えば、仏像や寺社などの歴史的建造物に向き合い、対話を通してそのもののもつよさや美しさ、そこに表現された作者の 思いやその時代背景をも感じ取る鑑賞学習を展開することができます。社会見学と組み合わせた 美術館におけるギャラリートークの実施や、遠方で現地に行けない場合には、ICTを活用した 授業も検討するなど幅広い学習方法を研究していくこともできます。また、墨や筆、赤膚焼など の伝統産業と連携した造形活動も行われていて、子どもたちが郷土の美術文化に愛着をもち理解 を深めることにつながる重要な学習となっています。

 また、本県では、こども園や小中一貫教育校など幼保連携や小中連携の取組が年々広がりを見 せ、校種間を一貫した教育課程による学習が進められています。県立高等学校には、美術科、デ ザイン科を設置し、中学校までに身に付けた資質・能力をさらに育てる学校もあります。幼児教 育の取組を小・中学校の教員が知ることや、中学校の美術教員が小学生に授業を行うことの有効 性や9年間一貫した教育課程でできる造形教育の効果や課題を検証することが各校種をつなぐ教 育の充実を図ることにもつながります。

 大会テーマを基に、校種別テーマを上記のように定めました。

幼稚園・保育所(園)・こども園のテーマ「心が動く豊かな表現」は、幼児期には十分に心を耕 し、感性を豊かにすることを目指します。

小学校(部)では、「学び合う、子どもの夢中が輝く造形活動」とし、児童は将来に対する夢を 描き表現活動に取り組みます。

中学校(部)の「学び合い、未来につなぐ美術教育」は、小学校を引き継ぎ、未来を志向する 活動へ、将来の豊かな生き方へとつないでいきます。

そして、小・中学校では、主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆるアクティブラーニング)を通 してコミュニケーション能力の育成にも力を入れて、目標の実現にせまります。

高等学校のテーマ「繋げる 奈良 拡がる」では、地域に生きる人として、夢を実現するには何 をするべきなのかを具体的に考え自ら行動することとし、中学校でのテーマをさらに高めたもの としています。

特別支援学校では、子どもたちがどう「感動」するか(イン)、子どもたちがそれをいかに自己 から発信(アウト)するか、心を大きく動かして表現活動をダイナミックに展開していきます。

 子どもたちは“未来の創始者”と言えます。未来を創るには、過去と現在を知る必要がありま す。

“古都奈良”をキーワードに、また基盤とし、そこでつくりだす新たな創造活動が未来へとつな がっていきます。

奈良のもつ古きよき文化財や伝統技術、自然環境や地域素材のよさを生かし、そこに暮らす人々 の古くから受け継がれてきた生活習慣等に深く関連した題材の開発を目指します。また、新しい ICT技術の活用やアクティブラーニングの考え方に基づく学習・指導方法の研究など、保•幼• 小•中•高・特で実践した成果を全国に発信することに取り組みます。これらにより、本県ならび に全国の造形教育の充実と発展に寄与できるものと考えます。


by yumemasa | 2017-11-23 08:22 | 研究会情報 | Comments(0)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明