絵を通して子どもを知る

 4月、1年生を担任する小学校の先生から、絵の題材についての相談を受けました。
まだ形にならない子やキャラクターを描いてしまうのではないかと心配とのことでした。

入学してはじめての絵だから、教師は絵を通して子どもを知るつもりで、子どもは絵を通して人(先生)に伝える、そんな授業を提案してみました。
そして大事にしてほしいことは、子どもの描いた絵をもとに子どもの話を聴いてほしいと伝えました。聴いてはじめてわかることが多いですから。
 子どもにしても絵は何かを再現するものではなく、何かを伝えるためのものというように感じてくれれば今後絵をかくことが楽しくなっていくはずです。

それから、4つ切画用紙は入学したばかりのちいさな子どもにとって大きすぎるから、紙は小さなものでよいと加えました。

 絵のテーマについては、その子の興味や関心などが表れる題材がよいのでは?「好きなものは何?」あるいは「先生に教えて」なんて感じもいいでしょうと提案しました。

なお子どもの表現力や表現意欲には、大きな差があるのでそれは今は気にせず、子どもからのメッセージを受け取ることを大事にして下さいと付け加えました。

 先日この授業の報告がありました。描いた絵をもとに全ての子どもと話したそうです。時間がかかったそうですが、「やはり絵は聴いてみないとわかりませんね、」ということでした。
 絵をもとに子どものいろいろな面を知れた事は大きな収穫だったと教えてくれました。

このことで、この先生の子どもの絵に対するとらえ方はかなり広がったと思います。

 「子どもは描けない」から「描けるようにさせる」ということで、指示をしながら「描かせる」ばかりでは子どもの感じた事や考えた事は受けとめられないでしょう。表現って何でしょう?
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この絵は娘が5歳の頃に描いた絵です。中1になる娘が「もう、こんな絵は描けないなあ。」と言っていました。その時期だから、その子だからこそ描けるという絵を大事にしたい。その子の今があらわれている。

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Commented by きたのつづみ at 2005-05-23 08:16
こんにちは。わたしの娘も小学校1年生です。もしかして、同じ題材の授業だったのかしら・・と思いました。学校で描けなかったので家で描いたのですが、大きな白い画用紙(4つ切りでした)は圧迫感がありますね。白いというのも、間違ったらどうしよう、失敗したらどうしようと不安にさせる原因かも、と思いました。家で描いた時の様子はわたしのブログに記事にしてありますので、よろしかったら見てください。じょうず?と聞かれたのでじょうずだよと答えましたが、やっぱりまずかったでしょうかね?
Commented by dreaming777 at 2005-05-23 20:01
「絵を聴く」っていい表現ですね。
私は子供の頃、小学校で最初に絵の授業を受けたとき、全く絵がかけなくて泣いて母に訴えたそうです。何を描いていいかわからない、、、と。
もともと絵を描いたりするよりは、本を読んだりするのが好きで、突然描いて!と言われて、全く何を描いたらいいか分からず途方にくれたのです。
そんな時、絵を「聴いて」もらえていたら、その後の人生での表現方法も変ったかも知れません。
Commented by yumemasa at 2005-05-25 22:21
きたのつづみさん、記事読みました。お子さんとの対話の中で出来映えが話題の中心になっていますよね。でも「好きなものをかく」という授業なら普通に考えれば大好きなキャラクターを描くのも自然なことだと思います。だって好きなんですから。お母さんであるきたのつづみさんが、こどもの絵を大事にされているのはとてもよいと思うのです。子どもの絵をどうとらえるかで、お母さんのかかわりも違ってきますよ。娘さんは絵の中でウサギさんと遊んでいたのではないかなあ。きたのつづみさん、私は実は小さなお子さんをお持ちの方へ、子どもの絵のとらえ方についての情報を提供していきたいと思っています。私のブログの検索欄に「寺内定夫」「大橋功」と入れてみてください。きっと目からウロコですよ。
Commented by yumemasa at 2005-05-26 07:23
dreamingさん、「絵を聴く」って言葉はおもちゃ作家である寺内定夫さんの言葉です。親や幼稚園・小学校の先生とともに、絵をもとに表現した子どもの心を聴きとるというもので、会の中でその聴き方について、研修(ちょっと言葉が硬いです)をすすめています。また大橋功さんは子どもの絵を「絵は心の窓」と言っています。子どもの絵を、どう受けとめるかで周囲の大人の言葉がけも受け取り方も子どもとの関わりもまったく違ってくるんですね。dreamingさんが、小学生のときの話、わかります。どう描くかで困ったのではなく、何を描くかで困ったのですよね。描く動機がないから描けないんですね。
このことを例えば先生が絵を描けない子どもなんてとらえかたをしてしまうと大変です。キミ子方式や酒井方式などという描かせ方のマニュアル指導では描けない子は出てきません。だって言われた通りに描くだけで、上手な絵が描けるんですから。ただし、絵は心の窓ではないので絵を聴くなんてこともありませんが…。
Commented by きたのつづみ at 2005-05-28 11:22
記事を読んでくださりありがとうございます。実はわたしの子供がウサギが好きになったのは、きっかけがあります。それは「お父さんが東京のお土産に買ってきてくれたうさぎのぬいぐるみ」なのです。ニキティキで買ったジルケうさぎです。3,4歳のときは夜一緒のお布団で寝ていました。今でも特別に寂しい気持ちの時には一緒に寝たりしています。わたしはいわゆるキャラクターものが嫌いで、できるだけ生活の中から排除したいのですが、子供たちは病気のため生活上の規制が多く、あまり我慢させるのもかわいそうでつい買ってしまったりしています。キャラクターは好きなのか、それとも好きにさせられているのかという辺りがとても微妙ですね。
あとから考えたら、出来上がった絵を上手と褒めるのではなくて、好きと答えればよかったですね。子供は自分の描いた絵も自分と同じように好きであって欲しいと思って「上手?」と聞いてくるような気がしますから。
Commented by jugogon at 2005-05-29 11:14
ごぶさたしています。
私も絵を聴くという表現がとっても気に入りました。
ただ、全員の絵を聴くってとてもむずかしいなあとも思いました。
私が実践してよかったなと思ったことがひとつあります。
それは、国語力(書く力)にもなってしまうのかな~と疑問を持ったことなのですが、
絵を描かせた後、その説明をつけさせてみました。
どんな絵かというと、本当にただの絵の具遊びの絵なので、
説明をつけるのはとてもむずかしいかな?と思われたのですが・・・。
子どもたちのパワーってすごい!と思った説明が出てきて、
びっくりしました。
絵を聴くとまではいかないのですが、それぞれの子どもたちが、
その絵をどんなふうに描いたのか、わかってよかったと思っています。
Commented by 山崎正明 at 2005-05-29 19:40
きたのつづみさん、ウサギはそういうわけだったのですね。それなら、好きなものそのものですね。これを大人からあれこれ言われて他のもの描いたらうそになってしまいますね。
だから、教師が何をなげかけるかは、とても大事なんだと思います。きたのつづきさんの最後のとらえ方あたっているかもしれませんね。
絵を通してこどもと会話が生まれたら楽しいですよ。大人から見た出来映えは忘れてしまった方がいいかもしれません。好きでたくさん描くようになれば、こどもも工夫するものです。ところで描画材料ですが、水性ペンによいものはないですかね。染料に植物系のものを使ったものもありますよね。クレヨンでなければならないということはありませんから。
Commented by 山崎正明 at 2005-05-29 19:48
jugogonさん、大橋さんの
「絵は心の窓」も寺内定夫さんの「絵を聴く」もこどもの絵をどうとらえるかを非常にわかりやすく示していると思うのです。絵についていろんな方法でこどもから聴くと教師の絵を見る力もつきます。
私も生徒の絵に感想を求めます.そこでわかることの何と多い事か。画家と違って作品だけで言い切れないですからね。
ただ、よく作品が完成して「うまくいったところとかうまくいかなかったところ」を質問する先生もいますが、これでは、こどもの表現意図はわかりませんね。それをきいてどうするの?という感じです。実は私も昔昔やっていましたけど。反省が多いなあ、過去を振り返ると。
by yumemasa | 2005-05-21 18:08 | 子どもの表現 | Comments(8)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明
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