北広島市にある大地太陽幼稚園では、今週末に「生活イメージ展」を開催するのですが、その準備中にお伺いしました。ちょっとだけのつもりが、園児の描いたものや先生のお話を伺っているうちに、あっという間に時間が過ぎさりました。展示されている今年の園児の絵を見て、受ける印象が以前とは違っていたので、指導の仕方を変えたと思ったので、いろいろお話を聞いたのでした。
アートディレクターの中山さんに伺うと、今年の絵は、子どもが外でのたっぷり遊んできたことが絵に表れるようにしたかったとのことでした。そして、その雪の中での遊びはまさにファンタジーそのもでした。
その雪の中での遊びも、実は想像力を働かせて遊んでいることが、わかりました。雪の中が砂漠になったり、タイムトラベルをしたり、雪が森の中になって、いろいろな動物と出会ったり、人魚がいたり、UFOが出てきたり、子どもたちは毎日毎日、雪の中で遊びながら想像の世界を楽しみ、外から戻っては小さな紙に絵お話するかのように描いているのです。
それが、下の小さな絵です。実は、その絵一枚一枚について、先生にお話を伺ったのですが、うれしそうに子どもの描いたものについて説明してくれます。(展示準備の仕事中に迷惑おかけしました)もう、子どもの想像したこと、見つけたこと、感じていること、それらを先生方は心の底から愛おしいと思っていることが伝わってきます。
↑雪遊びのときに現れたチンパンジー。遊びながら想像を広げ、楽しんでいることがわかります。その想像の楽しさを友達と共有するだけでなく、園舎に戻って絵を描きながら先生と共有しています。楽しかったから、絵の世界でもさらにつなげていきたいし、共有したいから生まれた絵でもあるのでしょう。
↑左上の山は砂漠の中の山だそうです。実際には雪山ですが、砂漠の中の山に見たてているのだそうです。吹雪になると、子どもたちは砂嵐と言っていたそうです。
想像の世界をたっぷり楽しんで、それを絵に描く。まるでお話するように。
↑大地太陽幼稚園では、クロスカントリースキーをするのですが、右の子は、ストックを持っています。スキーをしながら、お姫様になっているのでした。
↑不思議な円形の模様は、みんなで雪の上のすわってつくった模様だそうです。子どもの絵は、大人の見方だけで見ていてもわかりません。
でも、クラスの仲間と先生はこの絵の意味をしっています。いっしょに模様をつくった子どもの名前が書かれています。
友達と一緒に遊んでたまたまできた、おもしろい形。そのことを絵に描いているときの子どもの思いを想像すると子どもって素敵だなって思えます。
↑タイムトラベルをするときの絨毯だそうです。大人から見ると外で雪遊びをしているのですが、この子達はタイムトラベルをしているのでした。
↑UFOや宇宙人、雪の中にも現れたのです。描いた絵は先生に頼んで一番高いところに飾ってほしいとリクエストされたそう。ちなみに幼稚園には妖精もいるとのこと。
このような遊びを1週間ほど続けて、下のような絵が生まれてきたのです。アートディレクターの中山さんは、保護者の方々に、このような絵が生まれてきた背景としての子どもの遊びの姿を紹介したいということでした。聞いていた山崎は、絵ではなく、そのことを通して子どもの中に生まれたものを見てほしいのだと思いました。
大地太陽幼稚園に来ると全身が笑顔になってしまいます。
先生方の笑顔が、もう素敵で、素敵で、思わず写真とらせてもらいました。先生もまた子どもたちにとって大事な環境ですから。
そして、こうしたものが生まれてくるのは、教育の確かなビジョンがあってのことです。
この大事な大事な幼児期を、子どもを小さな大人としてとらえ、大人の尺度ばかりで見て、到達度で子どもをとらえている限り、ここで紹介させていただいたような子どもの素敵は見えてきにくいでしょう。
幼児教育の中に心配事もあります。小学校の予備校のようなとらえ方や早期教育的なものの中に潜む、基礎学力向上のために幼児期の過ごし方。書き出したら、キリがないほどです。
ルソーが言っています。子どもは小さな大人ではない、と。
それにしても、大地太陽幼稚園に行くと、ずっと笑っています。それは多分、子どもが感じたり、考えたりした、そのことが伝わってくるからでしょう。
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