森で遊ぶ子どもの姿から見えたこと

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森で小瀧さんが、たき火をして、コーヒーを湧かしていました。そこに親子がやってきます。 Aくんは「これ、やりたい」と呟きます。
お母さんは「気をつけてね」。そのやりとりを見ていて、小瀧さんがタイミングよく「はい、子ども用の軍手。」そして火の遊びが始まります。遊びの様子を見ていたお母さんは、火傷などは大丈夫と判断したのでしょう、その場からいなくなります(下のお子さんの遊びについていきます)。
小瀧さんは別の場に移動します。
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Aくんは、一人での火で遊びが始まりました。いつの間にか、火はこんなに大きくなりました。でも、この火を大きくするのは簡単ではないのです。なぜならコーヒを沸かしているポットが釣り上げられていますから、焚き木はそっと、置かないといけないのです。枯葉や木を乱暴に放り込む事はできません。
火が大きくなるにつれて、火に近づくのが熱くて大変になるわけです。風下は、特に。そこで考え付いたのが、この写真に見えるブロックを使った「耐熱壁」です。
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 彼は、この楽しい火の遊びを継続するために、大きくなった火に近づくのが困難になってきたという「問題」を見つけます。その「問題」を解決するために「火の熱さを防ぐにはどうしたら良いか?」という「課題」を見つけます。この課題を解決するために、これまで自分が身につけてきた知識や経験を元に、課題解決のために使える物を探し出しました。見つけたのは、コンクリートブロックで熱を防ぐという解決方法でした。実は、このブロックを倒れないように円柱のコンクリーの上に載せるのは難しいのです。ですから慎重に、慎重にやっていました。何も知らないで見ていたら「危ないから、やめなさい」って事で遊びをやめさせていたらAくん自らの力で課題を解決をするという学びは生まれなかったでしょう。
 さて、こうして子どもは遊びの中で様々なことを学んでいます。このような遊びや環境を通した「学び」を大切だと確信しているからこそ提供しているのがこの「森での活動」です。
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 そして、ここではさらに大事なことがあります。それはここで育まれる「感性」です。この森の中で感じられる豊かな時間。ゆっくりと時間が流れて行きます。子どこの声が聞こえてきます。鳥もさえずっています。周りにいる大人は、優しく見守っています。こうした場だから育ちやすい「豊かな感性」。奥平さんに、女の子が白い綺麗な花が咲いていることを教えてくれたそうです。その花が誰かに踏まれないかなと心配していたとも。枯葉の中で見つけた、美しいちいさな命。そこに思いを馳せる心優しさ。森は豊かな感性を育ててもくれます。

 私も、森の中で超ゆっくり、ゆったりとした素敵な時間を過ごしました。大人だって感性は磨かれます。そして、森の中で見つける子供の豊かさに触れることの喜び。このことを分かち合いたくて、この記事を書きました。そして子どもの姿から、その「よさや可能性」を感じ取る「受信力」を高めていくことの面白さも一緒に味わいたいと思っています。同じ時間帯に、ほかの子ども達も、いろいろなことを感じたり考えたりしているはずです。

「やっぱり、自然っていいよね。」 AIの時代に、懐古的に考えるのではなく、AIの時代だからこそ、もっと必要になってくる課題解決力、想像力、創造力、感性、そういった視点でも考えています。 STEAM教育や多重知能との関わりも。



Commented by やまちゃん at 2019-04-29 21:11 x
森の中…といえば、その昔、今のレラがあった辺りはドングリの森でありました。

四季折々の野草、夏の虫(クワガタ)、秋のドングリ採り…

それこそ足で探して楽しんだものでした。

青葉中学校と日の出小学校の間…今のパセオがある辺りも森でありまして、先生はご存知ないかと思いますが、実はその森が秘密の近道だったりもします(爆)

私は行ったことがないですが、道が付いているのは知っていたので、誰かが何年も森の中を通っていたんでしょう(苦笑)

昭和どころか平成も遠くなってゆくこの時代。

四半世紀前には想像もできなかったようなハイテクが幅を利かせる現代にあってもなお、昔ながらの『自然の中の遊び』がなるべく残しておきたいものです。
Commented by 江原 正 at 2019-04-30 19:25 x
山際寿一京都大学総長は、ゴリラの研究者。1年の内10ヶ月、他に人間がいない環境でゴリラと暮らしてきた。森から出てきたゴリラが人間だと想うのですが。
酒井敏、小木曽晢、山内裕、那須耕介、川上浩司、神川龍馬、山極寿一 2019 京大変人講座 株式会社三笠書房
by yumemasa | 2019-04-29 08:04 | Comments(2)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明