高校生と「対話による鑑賞」

先日、札幌平岸高校の生徒作品展会場で、高校生と「対話による鑑賞」を行いました。
高校生同士が互いの作品を鑑賞するときの見方を広げ、深め、表現に活かせるようにと願ってのものです。高校生がこれまでやっているのは、自分の作品の解説、それから教師による作品の講評です。
今回、実施したのは「対話による鑑賞」です。最初に名作を使いました。対話による鑑賞では、どの作品で行うかは非常に重要です、今回は最初にスーラの作品を鑑賞しました。高校生から出てきた言葉に驚きました。まるで作品について調べているのだろうか、と思うほどです。名作と言われるだけあります。高校生の発言は主題に関わること、表現技法に関わることなど、対話も様々ですが、展覧会に作品を出品しているような高校生ですから表現技法についても探究的な態度で行われます。

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日曜日・上流階級・影の色・展による表現・光・時代・遠近感・コントラスト… さすが、高校生! 
対話の途中、作品に関する知識も手渡すことで、見方、考え方が広がり、深まると判断したら さらっと対話の中に知識を投入。
ただし、最後にまとめで「実は、この作品は…」という解説ではありません。
 「対話型鑑賞」と呼ばれるものの中には、鑑賞の最後に教師が、正解を語るかのように作品解説をする例もありますが、これは生徒たちが発言した内容にブルトーザーをかけて、なかったことにするようなものです。これは、鑑賞の中で「発言させることが目的化」しているためです。「対話による(意味生成的な)美術鑑賞」とは似て非なるものです。
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なるほどー。近くで見ると。  
このくらいの人数でのトークは非常に面白いです。理想的です。
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シャガールのこの作品は時間の関係もあって短時間で終了。こうしたサラッとした鑑賞もあることを高校生に伝えたかったというのもあります。ただし、これはスーラでじっくりやったからです。

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今度は高校生どうしの作品鑑賞。仲間の作品の鑑賞ですが、名画の鑑賞と同じようなスタンスで行われます。私の出番は減っていきます。
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私は、やがてファシリテーターというより聞き役になっていきます。
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最後はほとんど聞いています。90分の中でこんな風にかわっていきました。
すごくうれしいです。

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最後に「やってみて、どうでした?」と山崎の問いかけ。この「ふりかえり」があるとことで、今日の90分を俯瞰することができます。
この「ふりかえり」は日常の授業でも大切です。
先日、藻岩幼稚園で見た年長さんたちの活動のふりかえりと共有の時間が実に豊かものでした。この時間があるか、ないか、これは大きな違いでしょう。
充実した「ふりかえり」や「共有」は、学びを意識化するうえで効果的です。さらに互いを尊重しあえるようになります。

高校生との対話による鑑賞は、ここ数年、結構やっています。今回も、おもしろかった!

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by yumemasa | 2019-09-06 21:20 | Comments(0)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明