中学校の美術の授業ではどのような絵の具を使っているでしょうか?ポスターカラーを使われている方は思ったより多いなと感じています。ポスターカラーは色面を分割しながら塗るという方法が代表的な方法でしょうか、あるいは厚塗りでの重ね塗りもできます。何より色も強く出ますし、水彩絵具とまた違う魅力があります。
しかし、重ね塗りをしていくと、下の色が滲んできたり、あるいは滲ませたりとそれなりの使い方の難しさがあります。
私は初任者の頃はポスターカラーを使っていましたが、その後はアクリルガッシュを使ってきました。
それは乾くと耐水性になるため、重ね塗りが非常にやりやすいからです。
ただし、デメリットは2つ。
(1)服についたら厄介(ついた直後は爪ブラシ、洗剤で対応)
(2)後片付け(流しにスポンジとたわし)。でも、慣れます。
以下に写真をもとにアクリルガッシュの良さを改めて考えてみます。
アクリルガッシュは個人持ちのものと共同のもの(大型チューブ)を併用しています。この大型チューブとの併用が大事なポイントです。それから、同時に「
透明水彩絵の具」も使っています。
アクリルガッシュと透明水彩絵の具の両方を使うということが表現の幅を広げてくれます。さらに小学校の時に使っていたものも使えます。
(追記)2022.1.5
(1)導入に向けて
アクリル絵の具のよさは、わかっていても、なかなか導入に踏み切れないという話を聞きます。いま、ポスターカラー(個人持ち)をすでに使っている場合は、ここで紹介している大型のチューブ絵の具を共同で使用することを前提に導入してはいかがでしょう?まずは、絵の下地(地塗り・下塗り)用に用意することからはじめます。
(サクラクレパス 絵の具 アクリルポスターカラー 420ml・一本1000円前後。この絵の具をお薦めするのは容器が非常に扱いやすくデザインされているからです。12色セットもあります。)
(2)共同使用のアクリル絵の具のよさ
大量のアクリル絵の具の使用は、生徒の学びの豊かさにもつながります。生徒たちは立って描いていたり、
さまざまな道具を使いながらさまざまな描き方を試しています。また、大きな作品も描いています。何より、手先だけではなく、体全体を使って描いている生徒が増えます。描き直しの自由度からダイナミックな表現も生まれます。大量のアクリル絵の具を使ってよいという環境にいるとこのような探求的な態度も生まれてきます。そうした環境をつくることを通した指導は主体的な学びを生み出します。
(3)絵の具の使用とその先
タブレット端末が普及していくなかで、こうした体全体を使っての表現も将来遠のいていくでしょう。やがて、絵の具を使うことの意味自体、変わっていくかもしれません。レコードがCDに、そしてデータ配信になりました。フィルムもアナログからデジタルへ。絵の具も…。そんなことも考えながら、義務教育の中で、絵の具を使う意味と、そしてこれからのことを考えたいものです。
(追記)2022.1.9
◯アクリル絵の具を個人で大量に使うことができるのは、中2「自分にとって価値あること」の時です。大量に必要なのは地塗りをすることを私が提案するからです。この時に、油彩用の硬い筆(豚毛)とペイティングナイフやペーパーパレットも準備しておきます(これは個人持ちにはしません)。これは、技術だけではなく、絵の具や筆の違いを通して味わえる感覚的なものです。この違いを感じ取って、生徒は、驚きます。違う世界を知るわけです。なおキャンバスを紹介しますが、これは鑑賞の視点を広げる意図もあります。
AIの時代だからこそ、体を通してこそ味わえたり、理解できたりすることの大切さを確認しておきたいです。


↑いつでも大量の絵の具を使ってよい、必要があれば教室の外で描いてもいいと知っている。このようなことが大きな作品を描くという発想につながっています。しかも、これは学校だからこそやれる美術です。
(追記)2022.8.8
千歳市内の中学校の渡辺麻子先生は、アクリルガッシュのセットを共同で使用できる環境を用意していました。セットから絵の具がなくなったら、いつでも補充できるようになっています。限られた予算をどう使うか慎重に考えての結果です。

以下の作品は渡辺先生の指導による3年生ものです。アクリルのほか、様々な画材を使っていますが、教育課程を工夫しながら材料の選択の幅が広がるように丁寧に構成されています。
そのような積み重ねがあるため、材料の選択も使い方も効果的です。
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