今年、4月から、山崎は9年ぶりに中学生の美術の授業を担当しています。画材の話をします。現実的な話になりますが、勤務先の中学校は教材費が低く、アクリルガッシュセットを個人持ちにはできませんでした。そこで、アクリル絵の具は共同で使うことにしました。逆に山崎がこれまで共同使用としていた透明水彩絵の具の方を個人持ちにしました。そして今のところ、これがベストな形かもしれないと考えるようになりました。
それが写真のセットです。透明水彩絵の具は
マッチブライトカラー(1セットから4〜5人分を作れます。チューブ一本が12ml。)、筆はサクラセブロンR12(写真は16号です16号がベストですが、予算内に抑えるため12号)、パレットはぺんてる。雑巾とケースはダイソー。

パレットに絵の具を出すのは、授業中に生徒にしてもらいまいしたが、その時に画材について説明します。また、このような市販品があることを紹介し、このようなものを手作りすることを伝えます。(このようなものがあることを知識として知っておいて欲しかったのです。)
選定についてまっち絵の具は、発色がとてもよく、価格も良心的です。透明水彩にしたのは、小学校の学童用(半透明絵の具)と違う性質のものとしたためです。透明水彩絵の具では、学童用の絵の具のように水分を少なめにした時の不透明な感じが出せません。生徒は必要に応じて、使い分ければいいのです。さて何より、このセットでは蓋を開けて、筆に水をつけたら、すぐに描くことができるというのが、最大の利点です。いつでもパレットに全色出ているので、気軽に混色するようになります。パレットも水道で洗うこともしませんので、片付けも楽です。セットに組んだ筆雑巾はパレット管理というより、筆の水分調整のためです。(生徒には第二の筆と言っています)サクラのセブロンRは、私が教員になった頃からありました。絵の具をたっぷり含む、穂先がまとまる、腰がある、これらの条件が揃っています。そのため、気持ちよく描けます。透明水彩絵の具のように水が多めの使い方では、その相性が抜群です。なお、他社のものや、サクラのネオセブロンでは、ここまでの性能は出ません。他のものが悪いのではなく、これがずば抜けて良いということです。パレットは、マッチブライトカラーが固まった時に、剥がれ落ちにくいぺんてるのものを選びました。それでも剥がれ落ちますから、その時は水や水のりで再度つけます。他社のものでは、絵の具がパレットに固着しないこともあります。ですからパレットの選択は非常に重要です。ケースは良いものが見つかりました。チャック付きのケースですが、濡れたものを入れておくのに都合が良いのです。(ちょっとチャックを開けておくと湿気がこもらない。)
さて、生徒に早速、使ってもらいました。まずは、小さな画用紙を渡して「試しがき」。「気持ちがいい」「なめらか」「ながくかける(筆にたっぷりと絵の具を含むので)」「3倍かける」などの声が。嬉しそうです。小学校の頃から、水彩絵の具を使っているのに、この反応の良さ。試しがきの段階では、今回は白は使わないようにしました(後で、使い方を説明することを約束)。実は、白を使わないで描く体験をすることで、透明水彩絵の具の特性を理解しやしやすくなることが、分かったからです。試しの段階で、生徒の描いたものから、にじみや重色の効果があらわれているものをモニターで拡大して紹介。さらに、試しがきが終わるころ、この筆で1ミリの太さの線も描けると伝えました。実際に描けるので驚いていました。こうして試しを通して筆と絵の具の特性を実感的に理解していきます。残りの20分で、外に出て絵を描きました。今回は、これまで組んできたスケッチの考え方を捨てて、対象をそんなに詳しく見ないでもいいし、気分やイメージで描いてみるのもいいとしました。とにかく楽しそうでした。鉛筆で描いてから着彩するより、筆だけで描く生徒が多いのも特徴的でした。筆の性能がいいからできることが多くなります。
タブレットで絵を描くことがあたり前になったこんな時だからこそ、水や絵の具の感触の良さや面白さを十分に味わわせたいです。仲間と一緒にいろいろ試しながら、学び合いながら、自らの手で工夫しながら、さまざまな表現方法を自ら獲得していく過程に重きを置きたいです。それは、先生が丁寧に教えて身につけさせるということとは違います。YouTubeでは、それが定番です。それに慣れると、描き方、作り方(方法)の説明を受けてから表現(制作)という思考パターンなるように思えます。
生徒は、筆で描く面白さ、絵の具と水で描く面白さを再発見したようです。そして絵の具が、準備や後片付けが楽な、気軽に使える画材になりました。
生涯教育の視点からも気軽に使える水彩絵の具を持っていることと、絵を気持ちよく、楽しく描く体験をしていることは、大切だと考えます。
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