酒井式をこれ以上広げないために専用サイトをつくりました
2005年 10月 08日
酒井式が2歳児までを対象としていることを知り、もういくらなんでも黙っていられなくなりました。今、自分の子どもは中学校1年生ですが、幼児期のあの頃を思い出します。もし、あの頃に酒井式で指導されたらと思うとぞっとします。
教育のプロが子どもの発達の特性を(くわしくまでとはいかないにしても)まったく理解もせず、いくら善意とはいえ、やはり許される事ではないでしょう。
幼児の絵を指導するなどは、その子が感じとったその感じ方まで指導することになってしまいます。
もはや、これは図工美術教育だけの問題ではありません。幼児期の大事な時期に「幼児の絵を指導する」ということがどんな弊害をもたらすか…幼児教育に携わる方、子育て真っ最中の親御さん、カウンセラー、教員養成課程の大学の先生(特に発達心理学)、後援している教育委員会の方々にこの事実を知っていただき、判断してほしいのです。
酒井式については検索したらいくらでも情報が出てきます。明治図書からも大量の本が出版されています。
せめて批判するサイトがないとバランスがとれません。
「教育テレビ」が酒井式という特定の団体を推奨したのも大きな問題ですが、酒井式の研究会に対して後援をしている教育委員会もあります。この教育委員会では2歳児に絵を指導する団体を本当にこれからもまだ後援し続けるのでしょうか。
(これまで公的機関で酒井式のホームページをリンクしているところについては、気がついた範囲でですが、簡単に内容を説明し、地元の図工美術の先生方に相談して判断されるようお願いいたしました。その結果リンクをはずしたところもあります。)
「三、当面検討すべき諸問題
1,酒井式に対するいわれない中傷、攻撃、妨害への対処の仕方
酒井式が広がるにつれて、このような現象が顕著になった県もみられるようになった。これはむしろいい傾向であり、それだけメジャーになった証拠でもある。この問題への対処については検討するまでもないが、組織的攻撃や妨害については当然防衛策を講じなければならない。事実を出し合い多くの知恵を集結して対処していく必要がある。
ただひとつだけ言い得ることは、本当に価値ある事実を持つことの強さということであろう。酒井式で子どもにすばらしい絵を描かせた事実、子どもが自信を持った事実、親が喜んだ事実を積み重ねている人は強い。決してナーバスにならない。事実がなくて、理屈で相手を言い負かしても絶対によいことは何もない。
事実を多く持つことは土台である。この土台があるならば、どのような中傷や攻撃にも対処し得る手は考え出せる。」
正直な気持ちを言わせていただくと「とうとうやってしまった」という感じがします。相手が巨大なだけに怖い気もします。こんなこと書いていいのかとも思ったり。
でも、ひとつ、これだけは言えます。酒井式を批判しながら、みなさん「次にどうあるべきか」とか「図工美術教育の本来のあり方は?」とか自分の実践を見直し「酒井式だけが悪いわけではない、他にも問題はある」というニュアンスが出てきています。逆に前向きな話題も出てきてきています。
《関連記事》
☆2歳児に対する絵の指導は本当だったんだ!…NHKへの疑問
(追記)
各学校に酒井式酒井式描画指導法研究会札幌支部から学校長宛に案内文書が届いています。
(1) 日時 平成18(2006)年2月4日(土)9:30〜16:30
(2) 会場 札幌ホテルユニオン(北海道教育会館)札幌市中央区南3条西12丁目
(3) 日程 9:30〜10:00 受付/10:00〜11:00 佐藤昌彦氏(北海道教育大学教授)『佐藤式工作実技講座』/11:00〜12:00 酒井式描画・佐藤式工作模擬 授業/ 12:00〜13:00 昼食・休憩/13:00〜16:30 酒井臣吾氏(前北海道教育大学教授)『酒井式描画実技講座』/17:00〜 懇親会
*それにして5000円の参加費は高い。全国・全道の研究会でとてつもなく大掛かりなもので5000円。肩書きのところは「北海道教育大学」を使っているけれども、せめて「北海道教育大学函館校」とすべきではないかな。他の「北海道教育大学」の先生にご迷惑がかかると思いますが…。
どちらにせよ「造形力を高め、多様性を引き出す指導を提案する」ために「工作の作り方」?
ただしこの「造形力」というものが、きわめて狭い意味で使うならば、佐藤式も成り立つのかもしれません。
時には、佐藤式工作などもおもしろいかもしれません。これを美術教育の研究者が「酒井式を推奨し、広める活動をしています。」その部分が問題であると言いたいのです。
酒井氏と行動をともにする佐藤氏は子どもの発達特性をどうとらえているのか、すくなくとリードやローウェンフェルドやピアジェ、それから幼稚園教育要領・学習指導要領などとは対立することになるでしょう。
これに対して、まずは自分たちでできることからと思って、山崎先生がされているように、私も微力ながら、ブログにおいての美術教育の交流に取り組んでいますが、さらにがんばらねばと思いを強くしました。
そして『「図工・美術教育」 子育て・授業のヒント集』において各ブログ間の情報の集約がなされるような働きが酒井式の広まりを食い止める突破口になるのではと思っています。
例の案内状のことコメントしてくれてありがとう。あれが、来ると本当にすごいと思います。正直。しかし、酒井式に反対の立場の人は不可ということもどこかのサイトに書いてありました。これも記事にしてしまいました。
ところで佐藤式も酒井式と同じ論法です。たとえば記事にリンクしている日文の資料に佐藤氏が「すべて子どもの自由にまかせることが豊かな発想につながる」というような発言があたりまえのごとく書いている。非常にずるいやり方です。この表現を見るとまるで佐藤式以外は好き勝手にやらせているように思える。いったいどこの授業を見て自由にやりなさいというものを見たのかお伺いしたいものだ。佐藤式を子どもの楽しみの中でたまにやるのもありかもしれないが、少なくとも図画工作に基礎基本と豪語すべきことではないでしょう。彼の論からいくならばキット教材は推奨する事になりますね。
ただ,その過程で酒井式の批判が酒井式の否定になり,酒井式で育った子どもたちの否定になってはいけないと思います。その反面,早く手を打たなければ取り返しがつかなくなるとも思っています。
山崎先生に説法をしようというのではありません。わたしの感想です。
酒井式の批判ですが、私はこと幼児教育への介入ははっきりと否定です。ただこのサイトは酒井式で育った子への批判ではないですし、逆に酒井式で育った方に今からでも「もっと違う感じ方や描き方でよいのですよ」と言ってあげたいです。
事実このブログを読んだ方が小学生の頃酒井式の指導(指示)を受けていて、それがずっと疑問に思っていたそうで、それがわかってほっとしたというようなことを語ってくださいました。
私が酒井式で指導されてきた生徒を持った時は気を使います。小学校の担任の先生を子どもの前で批判することになりますから、それはもちろんできません。酒井式で学んだきた子は絵画に対する固定観念を持っていて、それを取りさってあげることから始めます。いろんな水彩画を見せたりすると安心します。
さて、酒井式のこのようなサイトをたちあげることは遅かったくらいです。
ネット上で多くの方々が声をあげているから、できることです。
サイト立ち上げが遅くなったのは誰かが批判してくれるだろうという依存心があったからです。覚悟してはじめました。
しかし、小さな子ども達のことを考えるとやるしかないと思っています。
>酒井式で指導されてきた生徒を持った時は気を使います。小学校の担任の先生を子どもの前で批判することになりますから、それはもちろんできません。
山崎先生はやはり配慮されているのですね。
私の身近に教育大学函館校出身の先生がいるのですが,私は以前その先生の前で酒井式を批判してしまいました。彼は私の考えにも理解を示してくれましたが,心中は穏やかではなかったはずです。彼とはいずれまた酒井式についての話をしてみたいと思っています。
Vol,1
ああんもぅっ!!
って言うのが正直な感想です。
>子どもにすばらしい絵を描かせた事実、子どもが自信を持った事実、親が喜んだ事実を積み重ねている人は強い。
こういった事実はあると思いますが、最後の“強い”は何が強いのか疑問です。民主主義的に賛成多数で強いと言う事でしょうか・・・。
それに、
1:「すばらしい絵」なんて視点の変え方や感じ方で腐るほどあります。
2:「子どもが自信を持った」って言うのは、ある一定の法則に沿った絵でなければ指導者も親も褒めてあげないからでしょう。1を大人が実行すれば一生懸命取り組んでる子どもは自身を持てるはずです。と僕は信じます。
3:「親が喜んだ事実」これは残念ながら日本の大衆芸術は印象派を引きずり、“リアルである。事細密描写が行われている。”ことを良しとしてますから、親は子どもがそういう絵を描けば喜び褒めます。
“偏見は無知なり”というと下品ですが、教育現場の指導者は偏見があってはならないのではないでしょうか。
受験戦争が過熱化すれば詰め込み教育が流行るのは当たり前で、商売する人なんかはそこに目を付けるんでしょうけど、その影響で出てきた副作用も問題になって「ゆとり」なんていい始めたわけで(そのゆとり教育も見直されるようですが・・個人的にはもう少し続けないと結果は見えないかと・・・)美術教育も、求める技術や作品に大きな偏りがある以上、そういう作品を描かせればトレンドになるでしょう。
しかし、ほんとに表現や美術を愛していたらそのような偏ったものは、導入として取り入れても、破壊して欲しいものです。
少々小生意気なことを書きましたが、直感で思った事です。酒井先生は僕なんか比較しようも無い努力と考察を繰り返した来た方で、酒井式に対する十分な知識を得る以前にこのような発言は控えるべきなのかも知れませんが。
美術活動を行う一人の人間として感じてしまった事です・・・。
子どもの前での批判はやめるべきでしょうが、教師同士の間ではOKでしょうね。でも年齢とか人間関係とか言い方とかあるでしょうけど。
そりゃ、心中穏やかでないとは思いますが、じっくり話せばわかるかもしれませね。私何ぞは大きい声では言えませんが、若い頃はけんかしましたもん(汗、時効?)今も気持ちは若いつもりです。というわけで時々失敗をやらかすこともあります。
チャーリーさんのコメントうれしいですよ。私にしてみれば、これでもこのサイト立ち上げには勇気が必要でしたから、反応があると励みになります。疑問なんかも気を使いながら書いてくれていることが伝わってきますもん。
ところで「強い」というのはおそらく批判があることを前提としての言葉でしょう。多分。つまり批判されても頑固に貫くということですね。私を信じれば「強くなれます」と言っているようなものでしょう。酒井氏はすでに70歳を越えています。基本的に同じ事を40年も繰り返せばねえ。
和やかで優しそうな感じの方ですが…。
ダイスケさん、今度本屋さんで立ち読みすればいいかも。酒井式は大人も対象にしていますから。
酒井式の方法でダイスケさんが教えなければならないとしたら…。
きっと驚かれることでしょう。
このブログを通して美術教育についていろいろな方からコメントをいただいてこそ、生きてくると思っています。
そして指導すると子どもは教師の思うままに動いていく、目に見える効果が出てしまうのです。しかし、それがどんな大きな過ちを犯しているかに気がつかないでいるのです。
この新たなサイトを宣伝してください。そうしてこれ以上酒井式に手を出す人を増やさないようにしないと。
「酒井式」と検索してこのサイトが上位に表示されるようになれば、と思っています。応援よろしくお願いします。よろしければサイトを広めてください。
できるだけこのサイトを広める様、努めたいです。
しかし、その結果子どもの多様な目をつぶしていいということにはならないでしょうね。幼児に対してこんなことをするのは絶対にあってはならないことです。子どもが絵を描くことを通して発信することの自由を奪いとりことですから。もう美術教育がどうだこうだというレベルではありません。やはりこれを機会に多くの方があちらこちらで、いろいろと考えを表明し、論議していくことが大事だと思っています。酒井式をやる人は悪意を持っている訳ではありませんし、とにかく、自分なりに子どものためにやっているわけで、頭ごなしに言われたら腹が立つかもしれません。ゆっくり話あえるのがよいのですが、現実的には多数いますので不可能です。私はインターネットでやりますから、うまく利用してください。酒井式を過去にやっていたという人でも尊敬すべきひと、信頼できるひとはけっこういます。