石狩管内教育美術展で、絵の見方を表示

 今年で「石狩管内教育美術展」が第10回目を迎えました。これを機会に子どもの絵のことを親御さんをはじめ一般の方々にも理解していただこうということで、子どもの絵に見方を掲示する事にしました。以前から考えていたのですが、埼玉県での取り組みを知り、それを参考に以下のようなものを、つくりました。
 この文章については、今後も検討しながらよりよいものにしていきたいと思っています。
(文章の量が展示会場向けにしては多すぎるかなあ。要約したものを展示。くわしいものはパンフレットにしようかな。絵も入れて。)

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《子どもの絵の見方》

 絵に表現するということは、本来、自由で楽しいものです。ですから筆や絵の具だけではなく、いろいろなものを用いて、心の中にあることを表したり、伝えたりすることができるようになれば、表現の本当の喜びを味わえることでしょう。
以下に、簡単ではありますが、子供の表現の特徴と絵の見方についてまとめてみましたので、鑑賞の参考にしてください。



〈幼児〉

石狩管内教育美術展で、絵の見方を表示_b0068572_2263843.jpg 1歳から3歳くらいまでは、なぐりがきの時期といわれています。2歳をすぎてからはなぐりがきに あとから意味をつけたり、描く前から意味を持たせたなぐりがきをするようになります。
 4,5歳になると言葉の発達とともに、内容を持った表現としての絵が描けるようになります。幼児の描いた絵は見ただけではわかりません。描いた子どもから聞くことによってわかってきます。ですから絵を通しての子どもとの対話(共感)がとても大切になってきます。それが表現する喜びの基本になっていきます。
 この時期の子どもの絵に大人の価値観を教えてはいけません。作品を描くという意識はないのですから「上手だね」という言葉ではなく、子どもの描いた絵に共感することこそ大事にしたいものです。
この時期は絵を描く環境がとくに大事だといえます。

〈小学校低学年〉

 小学校低学年では、ものの見方・感じ方が、主観的で表現することそのものに喜びを感じているといえます。ですから、この時期の作品は大人から見てうまいとか稚拙だとかでとらえるべきではありません。その子が自分なりに感じたもの、心の中にあるものをストレートに表しながら、描くことそのものに喜びを感じられる活動が大切になってきます。低学年の絵を見る時には、子どもから話を聞きながら見るということが大切です。そうすると、絵の中には、大人が考えもつかないような楽しいお話がたくさんつまっていることが気づくでしょう。

〈小学校中学年〉

 小学校中学年では、自己を主張するようになります。また手の巧緻性も発達します。表現活動においては画面を見つめて自分の思いをふくらませたり、色や形の組み合わせ,画面構成や制作の手順などを考えながら描くようになります。ものの前後の関係に気づいてきたり、形や色などを見えたようにかこうとするような意識が現れてきます。
 絵を見るときは、上手、下手といったことを問題にするのではなく、人と違った感じ方や表し方を見つけ、ほめたり、はげましたりしたいものです。

〈小学校高学年〉

 小学校高学年になると、観察力が高まり、写実的に美しく表したいという傾向が強くなっていきます。自分の絵を客観視するようになることとあいまって思いどおりに表現できないと感じたり、友達の絵と比べて劣っているように感じたりして、自分の表現に自信を失う子も現れてきます。 
 勢い写実的な作品にあこがれますが、それだけではなく今までに獲得してきた自分なりの方法表現方法を生かしたり、工夫しながら自分なりの感じ方やとらえ方などを大事にした表現活動が大切になってきます。
ですから、絵を描く場合は、題材が大切です。対象を見てかく写生ばかりではなく、自分の夢や願いを含めて表現することを通して、自分の個性に気づき、自分に対して自信を持つようになっていきます。また、自信を持って表現に取り組めるようになれば、表現技術は自然と高まってくるものです。

〈中学校〉

中学生になると、自己の存在をより意識するようになり、客観的な表現力の高まりに加え,自分なりの表現意図を明確に持てるようになります。自分の感じ方や考え方をもとに主題を大切にした表現を追求できます。
表現技術も高まり,多様な表現も可能となります。また鑑賞力の高まりから、様々な表現のよさを味わえるようにもなってきます。
表現を通して、自己を深く見つめられるようになります。

 これまで書いてきたように、絵とは子供たちがそれぞれの思いをもとに、自分の表現方法で表すということが基本となります。
 したがって、子供の絵を見るということは、他の子どもとの比較ではなく、子供がその絵を楽しんでかいた様子や、いっしょうけんめい取り組んだ様子などを、それをかいた子供に負けないように真剣に読み取ろうとすることにほかならないのです。
なお、それぞれの年齢での子どもの絵の特性は目安にすぎません。ここは強調させていただきたいと思います。大事な事は子どもの絵から子どもの思いを感じ取ることだと思います。


《関連記事》

他の地域からも学びながら成長したい〜展覧会のこと

作品展はどうあるべきか?

(追記)

 06年からこれを パンフレットにして会場で配布しました。
Commented at 2005-11-25 22:05
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 山崎正明 at 2005-11-25 22:33
心配いただいてありがとうございます。それよりも家族からのひんしゅくが怖い今日このごろです。今はやれることをやらないと後悔することになるでしょうから。先日も娘に私が何をしているかきちんと説明しようとしたら、「とーちゃん、それ3回目」。歳ですかね。
Commented by blog-maszo at 2005-11-26 01:46
こんにちは。京都の築山有城です。
遅くなりましたが、リンクさせて頂きました。
よろしかったでしょうか?
Commented by zoukeidaiji at 2005-11-26 02:12
築山有城さん、あのストーリー面白かったです。よろしければ「図画工作・美術教育の大切さを訴える」http://zoukeidaij.exblog.jp/によろしければご投稿お願いいたします。短文でもけっこうですので。
Commented by blog-maszo at 2005-11-26 20:09
恐縮です!
えっと...私のブログの記事そのまんまを投稿すればいいんですか?
Commented by yumemasa at 2005-11-26 23:02
築山さんがアスリートアーティストに至までに影響を受けたことなど書いてくれたらなあと思っています。そういう視点から美術教育は大事だという感じだとうれしいです。ただし、時間がないのでおまかせします。
Commented by somethingt at 2005-11-26 23:56
この「見方」はとてもシンプルでわかりやすいですね。今まで各方面でいろいろな見解が述べられている「見方」ですが・・・・うん!これはいい!
今後の教研活動などでちょっと活用させてください。それにしても石狩のこういう活動は本当にしっかりというか、すばらしいですよね。
Commented by yumemasa at 2005-11-27 00:21
これは埼玉のものと。これまで石狩の作品集で掲載していたものをもとに再構成。今回は幼児も加えました。まだ不十分ですが、今後いろいろな方の手で改訂をすすめたいと思っています。どんどん使ってください。で、手直ししたら教えてください。
Commented by yumemasa at 2006-10-19 00:49
hakusekeさん、紹介していただいてありがとう。TB先の記事を読んで参考になりました。制作過程の写真いいですね。
by yumemasa | 2005-11-25 22:01 | 美術教育の啓発活動 | Comments(9)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明
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