「木に学べ」西岡常一
2019年 02月 10日
はじめて読んだとき、こんなにも深いものだったのかと感動しました。飛鳥時代の人々の持つ哲学に感動しました。法隆寺の棟梁がずっと受け継いできたという「口伝」には重さがあります。
西岡氏は亡くなられましたが小川三夫氏が受け継いでいます。
以下に授業で子ども達にも伝えている西岡常一氏の言葉を紹介します。
「いろんな人が、ぎょうさん法隆寺を見にきますが、世界で一番古い木造建築だからって見にくるんじゃ、意味がありませんで。
古いだけがいいんやったら、そこに落ちている石の方が古いんや。法隆寺は千三百五十年、石ころは何億年や。
だから、古いからここを見にくるんじゃなくて、我々の祖先である飛鳥時代の人達が、建築物にどう取り組んだか、人間の魂と自然を見事に合作させたものが、法隆寺ということを知って見にきてもらいたいんや。
「建造物というのは重いもんでっせ、その荷重を、いかにうまく分散して太い柱で支えるかが構造ちゅうもんです。それぞれの部材が充分役目を果たして、余分というもんがないというのは美しいもんです。
飛鳥の工人の作ったものは、その代表ですな。「人は仕事をしているときが美しい。」いいますな。それは、人の動きや心に無駄がないからです。建造物も同じですな。機能美というんでしょうな、こういう美しさを。飛鳥の建造物にはこうした機能を第一とした美しさがありますな。」
「大工が千年の木を使えば、千年もたせなならんちゅうことも自然な考えですし、千年たったときには千年の木が育ってんといかんというのも自然な道理ですわ。」
鑑賞の授業で様々な取り組み方がありますが、この法隆寺の鑑賞では知識が大事になってくると思います。実際にこのことを知っていると見方が変わってくるのです。
単に世界遺産だから大事だというのではなく、西岡氏や小川氏の言葉と共に後世に伝えていくべきものでしょう。
ましてや今後国際理解教育が益々重要にしていくならば、英語を話せることもありますが、自国の文化を誇りを持って語れることもますます重要になっていくでしょう。
今度の光村図書の教科書「美術2・3下」では「伝統を受け継ぐ宮大工」として小川三夫氏のお話が2ページにわったて紹介されています。
美術の授業がまだ2時間だった頃はこのビデオを見て木材工芸に進んでいました。今はそんな時間もありませんが。
庄子でした。こんど、西岡さんの本も読んでみようと思います。
最近、授業ではビデオではなくて、やっぱり多少下手でも私の生のプレゼンがいいんだなあと思う事がありました。写真見ながら西岡氏の話は、生徒が興味を持ってくれます。1300年以上も前の木が今もしっかりしいるということに驚きます。そりゃそうですね。
やっと「木に学べ」を読みました。読み終わって、一つのことに一生を捧げた宮大工の生き様に感動しました。家のビデオテープを探して何とか薬師寺再興の番組を見つけ出し、西岡常一棟梁の声を聞くこともできてその感動をかみしめてます。
話はそれてしまいましたが、ブログでこのような形のTBは非常に有効ですね。互いに高め合うことができますから。
ところで、ビデオ私も観たいなあ。
ビデオですが、1本目は1997年で旧講堂の解体まで、2本目は2003年の大講堂落慶までの様子です。2本目はともかく、1本目はかなり画質が荒くなっています。