この作品は北海道空知の土橋直美先生の授業の中から生まれてきた作品です。時期は小学校3年生の3学期。ぱっと見た感じはしっかり描けているなあと形や色のことに目がいきます。しかし、この子どもの作文を読んでみると、自己の内面を表現したいという要求があって描かれているものだということがわかります。
そして、この絵を描いた子どもの様子を語る土橋先生の笑顔も印象に残りました。学級担任だからこそという作品になっています。
色や形がどうだという前に、子どもの表現で大事なことは何かを考えさてくれます。下の絵は「おなかがいたいとき」の自分を表していますが、これにあう背景の色も相当悩んで決めたのだそうです。さて、教室の作品展示ではこのように子どもの感想をあわせて掲示しているそうですが、このようなことを通して子ども達同士が互いの理解を深めることにもつながっています。さりげない日常の「しぐさ」にも目を向けるデリケートな心情が育って行くことでしょう。現代の子ども達が人間関係をうまくつくれないという実態も出てきていますが、絵を通したコミュニケーションの力もついていくと思います。
もうすぐ小学校4年生。そんな彼は小3でありながら、よい自分と悪い心を持った自分を表しています。このように深く自分を見つめて描いた作品。いったい、どんな表情で、どんな言葉を投げかけたのでしょう。もちろん、この表現は日頃の学級経営があってのものです。
実は彼女も以前は私同様表現力(技術)を向上させることに主眼がいっていたということです。
美術教育はどうあるべきかをさぐるために子どもひとり一人の表現について深く考えてみるのもまた大事なことだと思います。
この絵には「事柄」ではなく「人柄」が表れているようです。
土橋さんがニコニコして子どもの姿を語る様子、もう本当に素敵でした。あんな姿を親御さんや一般の方が見てくださったなら、図工の素晴らしさがもっともっと理解されていくと思いました。おおげさではなく。
そんな素晴らしさを私たち教師や学校や一部の親だけしか知らないというのはもったいないのでこうして記事にしました。