審議経過報告を読む(その12・最後)

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以下の茶色い文字は「審議経過報告」から転載したものです。黒い文字は山崎のコメント。

エ 教育成果の適切な評価

(学習評価)

審議経過報告を読む(その12・最後)_b0068572_13352074.jpg○ 各学校における教育の質の保証のためには、その成果の適切な評価が重要である。

○ 子どもの学習の評価については、到達目標に照らしてより確実な習得に資するようにすること、学習発表会や各種検定など学習の進捗状況や知識・技能等の獲得が目に見えて実感できるような評価の工夫など、具体的な評価の在り方について今後検討が必要である。また、子どもの学習機会をより豊富なものとする観点から、家庭での学習課題(宿題)や学校外の学習活動の評価の在り方についても検討することが必要である。

(全国的な学力調査)

○ 全国的な学力調査については、義務教育答申において次のように提言している。

・ 各教科の到達目標を明確にし、その確実な習得のための指導を充実していく上で、子どもたちの学習の到達度・理解度を把握し検証することは極めて重要である。客観的なデータを得ることにより、指導方法の改善に向けた手掛かりを得ることが可能となり、子どもたちの学習に還元できることとなる。このような観点から、子どもたちの学習到達度・理解度についての全国的な学力調査を実施することが適当である。

・ なお、実施に当たっては、子どもたちに学習意欲の向上に向けた動機付けを与える観点も考慮しながら、学校間の序列化や過度な競争等につながらないよう十分な配慮が必要である。

・ 具体的な実施の方法、実施体制、結果の扱い等について更に検討する必要がある。その際には、自治体や学校が全国的な学力状況との関係でそれぞれの学力状況を把握することにより、教育の充実への取組の動機付けとなることが重要な視点であると考えられる。

・ また、あわせて、収集・把握する調査データの取扱いに慎重な配慮をしつつ、地域性、指導方法・指導形態などによる学力状況との関係が分析可能となる方法を検討する必要がある。なお、学力調査の調査内容に関しては、知識・技能を実生活の様々な場面などに活用するために必要な思考力・判断力・表現力などを含めた幅広い学力を対象とすることが重要である。

○ 全国的な学力調査については、こうした考え方を踏まえて、小学校第6学年、中学校第3学年の国語、算数・数学について、全児童生徒が参加できる規模で平成19年度に調査を実施することとし、文部科学省において準備を進めている。その際、ここで指摘されているような調査の具体的実施方法、実施体制、結果の扱いなどについては、既に文部科学省に専門家会議が設置され、具体的な検討が進められているところである。


 2005年東京都教育委員会主催の一斉学力テストが開催されましたが、その結果があえて公表されました。子どもが通う学校も選択できることから、当然のことながら、保護者としてはその結果を参考にするでしょう。
 経済的に裕福な家が益々有利に働くということもあり得るのではないでしょうか。日本の首都東京の教育委員会のこの「学力テスト」の結果公開は、学校や教師あるいは各地の教育委員会、そして子どもに相当なプレシャーをかけることになるでしょう。小学校も受験学力という一つの物差しで測定し、序列化されていきます。
 公表することで、どのような問題が生じるか当然予測可能の範囲であったでしょう。学力テストの結果公開はシンプルに考えるならば「競争させる」という非常に効率的なシステムであるわけです。一般の方のブログに「ワースト部門の23区内の足立区・葛飾区は問題がありそうである。」と書かれていました。これが東京都の成果でしょう。足立区と葛飾区の教師は学力テストの点数をとるために躍起にならなければなりません。しかし、次の学力テストでまた下位の地区・学校が生まれるわけです。
 現行学習指導要領の理念は単なる理想なのでしょうか。タテマエ論で、公表しないと言っても実質公表では意味がありません。

(学校評価)

○ なお、学校や地方自治体の裁量を拡大し主体性を高めていく場合、それぞれの学校や地方自治体の取組の成果を評価していくことが、教育の質を保証する上で重要となる。また、近年の学校教育の質に対する保護者・国民の関心の高まりにこたえるためにも、学校評価を充実することが必要になっている。

○ さらに、先述した到達目標の設定や子どもの学習評価においては、例えば、情意面などについては具体性や明確性を持たせにくい。こうした点については学校教育のプログラムもあわせて評価するという考え方もあり得る。また、全体として、「確かな学力」、「豊かな心」、「健やかな体」を調和の取れた形で育成する、定量的な評価と定性的な評価のバランスを確保するという意味からも、学校評価の一層の推進が必要である。


オ 評価を踏まえた教育活動の改善

○ このような教育成果の様々な評価は、教育活動にフィードバックされ、教育の質の向上が図られることに重要な意味がある。例えば、学校評価については自己評価を基本としつつ、その客観性を高めるための外部評価を充実することにより、評価が教師の資質・能力の向上や学校運営の改善に活用されることが重要である。

○ 特に、学習評価や全国的な学力調査、学校評価などを通してとらえられる教育の成果や課題については、これを学校や一人一人の教師がしっかりと受け止め、教育の改善へとつなげていくことが何よりも重要である。義務教育の構造改革全体の中で、教育課程の改善の趣旨の実現という観点から、教育課程部会においてもさらに具体的な検討をする必要がある。


(3) 教育行政の在り方の改善

○ 教育行政については、1(4)で指摘したとおり、学校教育の現場をどの程度把握しているか、地域や保護者をはじめ国民や住民に対して十分な説明責任を果たしているか、学校を支えるための条件整備を十分に行っているかなどの課題を抱えており、その改善が必要である。

○ 教職員配置、設備・教材、学校の施設など教育を支える条件整備については、国と都道府県、市区町村がそれぞれの役割と責任を果たしながら連携・協力し、学校教育の目的や目標を実現することができるようその充実を図ることが必要である。

○ 特に、学校教育の現場の把握や国民や住民に対する説明責任は極めて重要である。文部科学省が行ったスクールミーティングは、例えば、教育課程の在り方についても、子ども、保護者、教職員などの率直な意見を直接聞き、意見交換を重ねるなど、教育の現状把握という観点から一定の成果を上げたものと考えられる。 

○ 今後は、教育課程の検討・実施に当たって、学校や地方教育行政における優れた実践を共有化し、そのために支援すること、また、課題がある場合には適切な修正を行うことが必要である。実証的な現状把握に基づく教育課程行政が求められる。その際、大学の研究者のみでなく、NPOや民間の力を活用することが重要である。

○ 教育課程の在り方は国民の大きな関心事項でもあることから、文部科学省においては、本報告を活用して、より積極的に子ども、保護者、教職員など多くの国民の意見を聞き、学習指導要領の見直しなどに反映することに努めるべきである。

○ なお、学校の事務負担の軽減などについては、速やかに対応することが求められる。

終わりに

○ 以上、教育課程部会におけるこれまでの審議を整理した。審議を通じ、教育課程部会においては、前述のとおり、今、子どもたちに必要なものは、学習や生活の「基盤」であると考えた。また、その際「言葉」と「体験」を重視する必要がある。

○ 教育課程部会では、今後引き続き、例えば、幼児教育と小学校教育や小学校教育と中学校教育といった学校種間の接続・連携や高等学校における教育の在り方など意見の集約に至っていない事項の議論を深めるとともに、各教科等ごとの専門部会とも連携してそれぞれの教科等の改善について各学校種ごとに具体的な検討を行った上で、「言葉」や「体験」の重視や教育課程の構造の明確化といった観点から各教科等を見渡した総括的な審議を行うこととしている。

○ また、幼稚園教育や特別支援教育の在り方については、これまでの幼児教育部会及び特別支援教育特別委員会の議論などを踏まえ、検討を行うこととしている。

○ 今後の検討に当たっても、「義務教育に関する意識調査」の結果、スクールミーティングにおける教職員や保護者の意見、教育関係団体などからの意見その他の各種資料に基づき、検討を進めることとしている。

○ 本部会の審議に対して、教育関係者、自治体関係者、現に学校教育段階の子どもをお持ちの保護者の皆様をはじめ広く国民の皆様の忌憚のない御意見をお寄せいただけることを期待している。

by yumemasa | 2006-03-21 08:02 | 新学習指導要領 | Comments(0)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明
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