川越市でのアメリア=アレナスの対話型鑑賞授業の報告
2006年 06月 07日
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アメリア=アレナス氏が取り上げた作品は5点、相原求一郎氏から1点、浅見君の作品から1
点、斉藤研氏から2点、常設から1点で、2日前に本人が下見に来て気に入った作品をチョイスしたそうです。
個々について書くと長くなるので要点のみ、簡単に流れとしては以下です。
まず子どもたち20人を集めて自己紹介。そして・・・
『今日は「見て」「考えて」「話す」のよ!』と繰り返しインプットする。
作品の前に移動。まず2〜3分じっくり見させる。
考えたことを話すように指示。
(挙手が多いと1,2,3・・・と順番を指定する。が途中でわからなくなるのでご破算になる(笑)、でも一応そこで自分が認められたと意識する(?)ので良い方法!とは後の皆さんの声)
個人個人の考えに「OK!」「GOOD!」「VERY GOOD!」を返す。
(時にはリピートしたり噛み砕いて「こういうことね!」と確認する。しかし、子どもの「作者はこう考えたのでは・・・」的な発言には「あなたは何を考えたの?」と自分の考えを話すように返す。
また発言のキャッチの仕方にポイントはあるのかと質問したが、単に自分の感想だけだとのこと。しかし、これは経験による振りが多々あるのだろうと思った。ここが重要。)
場合によってはモチーフの情報を話す。
(これは通常ほとんど行わないようだが、今回は相原求一郎の作品のコロッセオについて、2000年くらい前の建物で競技場という情報を与えた。)
子どもたちの言葉を使って簡単に振り返り、まとめ。次に移動。
このような調子で1作品20分程度でした。
いつもと違う環境と先生で子どもたちも約2時間があっという間だったようですが、子どもなりに見て感じた世界を自分の言葉で話す様子は一人ひとりが詩人であり、物語を作る力を持っているんだなと実感できました。
しかし、他の人の発言を聞き自分と比較したり、奥深く入ることは発達段階としてもう少し上のクラスになるのかと思いますが、これを繰り返していったら集中力、観察力、洞察力、創造力などいろいろな力がつくような気がしました。
例えば授業の初めに一口鑑賞なんてトレーニングもいいですね。
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《関連記事》
☆これは、おもしろそう。美術鑑賞ワークシート←田中晃さんのお仕事。
☆図画美術教育に関するアンケート(2002埼玉)その1
これにどう意味づけをしていくかがそれぞれだと思いますが、そのひとつが三澤さんの考察ですね。スタイルだけではなかなか成り立たないわけです。ご参考まで。
P・S 山崎さん、また上京されるのですか。楽しみです。またお会いしましょう。
でも確かにスタイルだけでは成り立たないです。そのあたりのニュアンスがtanakaさんの報告から伝わって来ます。私がなるほどと思ったのは「「こういうことね!」と確認する。しかし、子どもの「作者はこう考えたのでは・・・」的な発言には「あなたは何を考えたの?」と自分の考えを話すように返す。」という部分です。
私も対話型をやってみて本当におもしろかった。子どもがこんなにも深く感じ取ることができるんだなと思いました。ただ人数が多すぎるなと思っていたのです。20人という数字、なるほど、アメリア=アレナスさんの経験によるものだなと思いました。
経験で言えば、中学生が大幅脱線しようとした時の対応なんかもわたしもつかめてきました。やはりこのあたりは経験によるのでしょうね。tanakaさんの感じられた「子どもなりに見て感じた世界を自分の言葉で話す様子は一人ひとりが詩人であり、物語を作る力を持っているんだなと実感できました。」という言葉から、どれだけ充実していたかが伝わって来ました。
ご協力いただきありがとうございました。
鑑賞教育は対話型がいま注目を浴びていますが、他にもいろいろ考えていきたいですね。tanakaさんのあのワークシートいいですよ。ベンシャーンは特に、コンセプトがいいですよね。あ、描いてみようかな、と思ってしまいます。著作権のことさえクリアーできたら、多くの人に見せたいくらいです。
それから美術教師のつくる印刷物はやっぱりかっこよくなちゃ!と思わせてくれますから。山田さんの授業も見たかったなあ。
ところで東京には8月1日をメインとしていきます。前後数日滞在しようと思っています。相手をしてくださるようよろしくお願いします。