社会科(歴史)と美術
2006年 06月 18日
美術科で扱う場合はまた別の視点が大事になってきます。
たとえば彫刻の歴史(内外)では土偶からはじまり、神々や仏を主題とした作品が圧倒的に多いですが、姿は人間です。「美術の歴史年表」をもとに、その時代の彫刻を見ると単独で作品を見た時と印象が違ってきます。広目天像と弥勒菩薩とダビデ像などを比較させて見せたら生徒の反応はよかったです。大きな流れでの鑑賞や比較鑑賞、これもまた大事でしょう。
なんでこんな違いが出てくるのだろう?そこで表現って何だろう?という問いかけができます。
限られた時間数では限界があります。だからこそ社会科とのリンクが大事になってくると思います。美術教師は社会科教師との連携も大事だと思っています。
実は職員室で社会の先生と話をしていて「先生、その作品、歴史でくわしくやりました。」なんて言われた事もあります。もちろん社会の学習内容と違いますが、重なる部分もあり、生徒から見ると美術作品ひとつでも多様な視点で捉えることができるようになります。つまり教科の見方というか考え方、感じ取り方が違ってきます。これは生徒からしたら面白いことでしょう。
そんなこともあって、社会科でやったなら、美術ではそのことを踏まえた上で授業をするようにしました。
《社会科教科書から》
《社会科副読本から》
校内の掲示物でも教科との関連性を意識しています。社会科でシルクロードを扱う頃に「パルテノン神殿」と「法隆寺」を並べて掲示しておくようなことです。社会科教師が喜んでくれました。
生徒が入学した時期は、英語教科を意識して、世界各国の建築写真を掲示したりします。
先日高校2年生の教えていない子が僕のところに質問に来ました。「世界史の授業でアテネの学堂をやったんですが、この資料集のプラトンの上に(ダビンチ)と描いてありますが何ですか?」とな。「へ?何?あー思い出した。つまりこの時代の画家とかが登場人物のモデルになってるわけ、本人も右下の方にいるはずだよ。プラトンが手を上にアリストテレスが下にやってるのは恩寵と自然って哲学のテーマらしいから後は自分でしらべてね」と。
世界史などでこういう教養的な理解ができるけど、例えばこれをミケランジェロの群像の空間と比較したりして造形的に理解するともっとおもしろいのになと思いました。
さて一枚の絵をいろいろな視点からとらえるというのはとってもおもしろいですね。
最近、他の教科の先生と美術の話をするのがとってもおもしろいんです。