佐藤忠良「美術を学ぶ人へ」

 佐藤忠良「美術を学ぶ人へ」_b0068572_22463675.jpg1984年 現代美術社(現在はありません)から「少年の美術」という美術の教科書が出されました。これまでのカタログ的な印象のあった教科書とは違い、美術とは何かという本質を問う、語りかけがされていました。著作者は無償でこの教科書の原稿を書いたといいます。
 中でも彫刻家佐藤忠良氏の言葉は心に響いてきました。その一文「美術を学ぶ人へ」を、ここに紹介をします。この教科書の編集に携わった三嶋真人先生に公開について確認したところ問題無いという事でしたので、ここに公開させていただきます。
 指導要領改定前の今、また読んでいろいろと考えるきっかきになると思います。

↓文章はクリックしていただけると拡大表示されます。
佐藤忠良「美術を学ぶ人へ」_b0068572_22373632.jpg


(追記)

読者のきたのつづみさんが、コメントで、今度は小学生に向けて書いた言葉を紹介してくださいました。感謝!

しんけんに、絵をかき、ものを作り続けていると、じょうずになるだけでなく、人としての感じ方も、育ちます。このくり返しのなかで、自然の大きさがわかり、どんな人にならなければならないかが、わかってきます。

きたのつづみさんからのコメント→「専門に美術を行ってきたのではない、小学校の先生方に、ぜひ一度は読んでもらいたい教科書と思います。」その通りですね。いやいや専門の教師も!だと思います。

(追記 2015年4月)

「美術を学ぶ人へ」も素晴らしいのですが、谷川俊太郎さんの「うつくしい!」これも、素晴らしいです。光村図書の「中学校美術」の中で取り上げています。世代を超えてつきあえる文章です。

(追記 2020年4月)




Commented at 2006-08-23 22:55
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 山崎正明 at 2006-08-23 23:15 x
ありがとうございます。こういう形で応援していただけるのは何よりです。まさにネットでの共同作業ですね。これ、一人でやろうとしたら、大変なことでした。本気で本気で助かります!!
Commented at 2006-08-23 23:39
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by yumemasa at 2006-08-23 23:52
助かりました!これ、ひとりでやっているとかなり時間がかかったでしょう。
Commented by hakusuke at 2006-08-24 00:13
現代美術社の教科書。高校時に使ってました。教科書と言った雰囲気ですよね。今だに,私はB6版ぐらいの教科書今ももっています。監修者,佐藤忠良さんでしたね。本年度,高校の戸棚整理していたら,現代美術者の教科書が,随分と出てきて嬉しくなってしまいました。忘れ物?
Commented by yumemasa at 2006-08-24 00:19
現代美術社の教科書の指導書(中学も高校も)よかったです。今は入手できないのが惜しいです。
でも最近は教科書も当時と比べるととっても充実していますが、授業時間数が問題ですね。
Commented by Bambook at 2006-08-24 02:13 x
何時も読むばかりで申し訳ございません。
久しぶりにコメントをさせていただきます。
東京造形大学で佐藤忠良先生に彫刻家としての生き方を教わった者です。
私の現在の活動自体も佐藤忠良先生から教えを受けたものの影響がとても大きいです。
現代美術社は1970年代〜1980年代まで佐藤忠良先生の著作を発行していた出版社です。

品切れの状態になっている書籍ですが、下記もご参考にしてしていただけると幸いです。
185ページから211ページまで「教科書のこと」として現代美術社の教科書について記されております。

触ることから始めよう 彫刻家の教育論 
著者名: 佐藤 忠良 著  
出版社名: 講談社
出版年月: 1997年 01月 出版
ISBNコード: 4062068397

Bambookこと竹本勝彦
Commented by きたのつづみ at 2006-08-24 12:26 x
お久しぶりです。わが家には、同じく現代美術社の「子どもの美術」上・下があります。最近になって手に入れたもので、京都の古書店から仕入れました。
一般の教科書とは違って、長年、物をつくる(生み出す)ことに携わってきたからこそ出てくる言葉というものが、この教科書には随所に書かれていると思います。「子どもの美術」では、この本を読む人へということで、以下のような言葉が書かれています。(以下、引用)「しんけんに、絵をかき、ものを作り続けていると、じょうずになるだけでなく、人としての感じ方も、育ちます。このくり返しのなかで、自然の大きさがわかり、どんな人にならなければならないかが、わかってきます。」
専門に美術を行ってきたのではない、小学校の先生方に、ぜひ一度は読んでもらいたい教科書と思います。

Commented by yumemasa at 2006-08-24 18:25
竹本さん、そうだったのですかあ。佐藤忠良先生から教えを受けたなんてすごいですね。尊敬しています。現代美術社の教科書は衝撃でしたし。岩波の「子どもたちが危ない」を読んでまた感銘を受けたのを覚えています。竹本さんに紹介していただいた本、すぐに検索したらAmazonにありました。ラッキーです、もちろん注文しました。ありがたき情報でした。
読んで来てくださるとはうれしいです。
Commented by yumemasa at 2006-08-24 18:30
きたのつづみさん、ご協力ありがとうございました。「子どもの美術」上・下があるんですか!佐藤忠良さんのその言葉、ブログでも紹介させていただきます。子どもへのこのメッセージわかりやすいなあ。
すごく助かります。化学物質のことも気に留めています。研究会などでは今後も話題にしていきたいと思います。
Commented by 青木孝浩 at 2006-08-24 21:48 x
これ,読んだことあります!大学の時に,教授が持っていて,
研究室に他の教科書と一緒にありました。
先輩と見つけて,なんかこの教科書いいですね~,と話していた覚えがあります。
あの本全体からかもし出すオーラのようなものがありましたよね~。
もらっておけばよかったです。
Commented by yumemasa at 2006-08-24 23:20
青木さん、オーラねえ。確かにそうですね。でも現代美術社の教科書が出てから、私は他社の教科書も違ってきたように思います。語りかける文章が増えてきました。「なぜ美術を学ぶのか」そんな問いかけが常に必要な気がしています。それはなぜその題材(授業)が必要なのか?ということでもあると思っています。
Commented by yumemasa at 2007-03-06 22:48
斉藤さん、この教科書が出た時は驚きでした。なんか、こうハートに迫ってくるような…そのころの教科書はカタログ的でしたからね。この仕事を佐藤忠良氏が無償でやっていたというその志にも感動しました。
斉藤さんとはゆっくりお話がしてみたいです。08年は石狩管内北広島で全道造形教育研究大会を開催します。
Commented by yumemasa at 2007-03-07 22:52
斉藤さん、やってきたんですね!ハードな日々。恋もしないというのが、なんだかリアルです。私も学校によく泊まっていました。もう、おもしろくて、おもしろくて、やってもやってもきりがない。確か斉藤さんの資料に角力山先生のお名前、見かけたような気がします。違ったかなあ?角力山先生には教育実習でお世話になりました。
さてさて、もう私たちは勉強はもちろんですが、恩返しもしないといけないなあと思っています。斉藤さんの資料読み応えがありました。
Commented by yumemasa at 2007-03-10 20:29
斉藤さん、実習期間中は角力山先生から本当の多くを学びました。手を抜いても美術の授業、真剣に教材研究してやっても美術の授業。そんな話が印象に残っています。その題材を通して子どもにどんな力を育むのか、その大切さを、そして本質を学びました。もちろん、その後も交流はさせていただいています。いつも研究会でよくお会いしました。
恩返しはしなくてはね。学んだことをかえさなくては、といつも思っています。そうそう、今手元にあるのが斉藤さんの平成17年度教職員研修講座資料というものです。いい仕事です。これを見て斉藤さんはすごいなあと思っているのです。石狩は自分たちが学んできたことを広げるための研究会です。免許ナシで指導している先生や小学校の先生の役に立ちたい。それは間接的に多くの子ども達のためになります。あー、角力山先生にお会いしたくなりました。
Commented by 山崎正明 at 2007-03-11 21:45 x
斉藤さん、村瀬先生も来ていただいているのですか。それは素晴らしいですね。もともと石狩管内の中学校の先生だったのです。
免許外の先生へのサポートは北海道全体を考えると、とてもとても大事なことだと思っています。こんなことを考え出してからもうかれこれ10年以上になります。いしかり北広島大会はそういう意味で私にとって本気で取り組み研究会になります。
村瀬教授、角力山先生にもお力をお借りしたいと考えています。
Commented by みゆ at 2010-05-04 23:51 x
本日、佐川美術館に足を運び、佐藤忠良さんの言葉と作品に触れ感動しました。もっとこの方について知りたいと検索したところ、このブログに行き着きました。美術館でも取り上げられていた少年の美術の文章がそのまま載っていてとても嬉しくなりました。私は、踊りを子どもたちに伝えたいと思っていますが、美術にも共通したことが言え、この教科書を是非手に入れたいと思いました。掲載してくださってありがとうございます。
Commented by yumemasa at 2010-05-05 11:57
佐藤忠良さんのこの言葉、これは、子どもに向かって本気で、きちんと本質を伝えようとして生まれてきた言葉なんだと思います。
私は、中学生とつくあっていて、やはり子どもは「ホンモノ」を求めているなと実感します。
みゆさんに、こうしてコメントをいただくと、ブログにしてよかったなと思います。
Commented by yumemasa at 2010-05-05 12:00
佐藤忠良さんのこの現代美術社の教科書は、「札幌芸術の森」の中にある「佐藤忠良記念子どもアトリエ」で見ることができます。
Commented by ume at 2010-05-09 16:44 x
「少年の美術」を手にした年から、佐藤忠良さんの「美術を学ぶ人へ」は、中学新1年生最初の美術の時間にプリントにして読み聞かせています。今も手元に持っています。

「知る心」と「感じる心」は、車の両輪みたいにどちらもとても大切だとの感想をしっかりと書いてくれます。
その気持ちを裏切らない美術の授業をしたいと切望しつづけていますが、今年こそは!と思いつつ、はや30年・・・・。

昨年の旭川大会に奈良から参加しまして、目からウロコでした。

個人的には、あの時発表された秋田の高校の黒木先生にいろいろお伺いしたい事があるのですがどうすれば良いですか?
Commented by yumemasa at 2010-05-09 16:54
umeさん、学び研の旭川大会を コーディネートした側として、こんなコメントをいただけると、すごくうれしいです。
さて、黒木さんは、このブログでもよくコメントされておられます。一番いいのは、くろくろ.comハブサイト
http://www.kurokuro.com/HUB/kk.html
にアクセスしてじっくり読んでみることをおすすめします。
コンタクトをとりたければ、上記サイトにアドレスが紹介されていますので、そこからどうぞ。
Commented by 黒木 健 at 2010-05-10 04:56 x
呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃ〜ん
早速umeさんからはメールを頂戴いたしました。
うれしいです。

学び研@北海道からまだ1年経っていないんですよね。
山崎先生,やっぱりコーディネートはこーでねぇと(^_^)
思い出深いなぁ。

忠良氏の作品は東北地方では宮城県立美術館の別館記念館でも多数見ることができます。魅力的な空間です。
絵本「おおきなかぶ」での描画の苦労話など一生懸命読んだ記憶があります。
Commented by 山崎正明 at 2010-05-10 06:48 x
黒木さん、本当にびっくり!
「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃ〜ん」にぴったり。
そうかあ、1年もたっていないんだあ。
umeさんが、動くことでまた何かが生まれますね。きっと。
それは小さなことであってもいいし、楽しいことです。
それが、どこかで、子どもの幸せにつながれば。
Commented by ほんだ at 2010-06-29 11:42 x
今年から中学校の美術教師をしているものです。
佐藤忠良先生が大好きな一人でもあります。
佐藤忠良先生の教科書を探しています。
今どうしたら手に入れることができるでしょうか?

これから子どもたちに美術を教えて行く中で、
沢山勉強していきたいと思っています。
佐藤忠良先生のすばらしい精神を
子どもたちに伝えていけたらいいなぁ。
Commented by すずきひとし at 2010-06-29 16:16 x
4年前に山崎さんが発信したブログに、4年後のアーティストや若い教員がアクセスする。すごい事だなあ。結局その4年間の時空を結びつけているのは、佐藤忠良さんの普遍的な言葉なんですね。
この教科書は今でも忘れません。心のバイブルのようなものです。あいにく、教科書採用まではたどり着けませんでしたが、自分としては今でも最良の美術教科書と思っています。この言葉を大切にしてくれる教師は、きっと子供たちに面と向かって、ごまかしをしない先生でしょう。みゆさん、ほんだ先生、応援しています。
Commented by yumemasa at 2010-06-30 06:11
ほんださん、今年から中学校美術教師ですか!誇りを持ってできる素晴らしい仕事です。
佐藤忠良さんのこの教科書は現代美術社というところで出版されていましたが、今はその本がありません。
お住まいはわかりませんが、札幌の佐藤忠良記念館に彼が手がけた教科書が展示されていて、自由に見る事ができます。
「これから子どもたちに美術を教えて行く中で、
沢山勉強していきたいと思っています。」
こう思っている先生とのこのブログでの出会いはうれしいです。
このブログも尊敬すべき、学ぶべき方々がたくさんいらっしゃいます。
http://iart.main.jp/cn08/pgcn08words.html
ここもご覧ください、私がつくったページです。
Commented by yumemasa at 2010-06-30 06:21
斉先生、4年もたつんですね。検索で来ていただいて、それが縁でつながっている人もいます。
「美術を学ぶ人へ」というの言葉を読んでいると「子どもと向き合う」という姿勢を感じます。
あの言葉は、素晴らしいですね、本当に。
http://hita61.exblog.jp/14054617/
ここを読むと、佐藤忠良記念館のことが書いてあるんですよ!しかも最近!
Commented by hakusuke at 2010-07-08 01:36
こんばんは。県美術館内に,忠良記念館のある県民です(^v^)。県内には何箇所か忠良先生の野外彫刻作品がありますよ。一県民とし県美術館紹介エントリーTBします。
なお,上記コメントにも記されていますが,『触れることから始めよう』これも素晴らしい内容です。
Commented by yumemasa at 2010-07-08 06:53
hakusukeさん、TBありがとうございます。ブログってこのようなつながりが大事なんですよね。美術館の雰囲気もいい感じですね。
Commented by yuki4 at 2010-07-15 00:57 x
滋賀の佐川美術館を訪れる都度、何よりも感動するのが、掲示されている佐藤忠良先生の 小中高教科書のまえがき です。
検索していてこちらに伺いました。
美術に限らず、あらゆることに通底する内容~~いつか教科書全体を見てみたく思っています。
Commented by yumemasa at 2010-07-15 06:18
佐藤忠良さんの言葉は、滋賀でも知ることができるのですね。検索してやってこられる方も多いです。こうしてコメントをいただくと思いが共有されますね。うれしです。
Commented by Clara at 2012-05-27 23:39 x
知ることだけでなく、感じることの大切さを訴える文章、心に沁みます。、紹介してくださって有り難うございます。
佐藤忠良さんの訃報に接し、こちらのブログを教えて下さった方があり、お邪魔しました。
Commented by yumemasa at 2012-05-28 06:25
claraさん、ありがとうございます。本当に残念です。ここに残された言葉は生き続けます。当時の美術の教科書をカタログのように感じていた私にとって、この教科書に書かれているこの言葉は衝撃でした。ないが大切かをストレートに語っていたからです。
Commented by サクライトモコ at 2013-02-16 11:45 x
佐川美術館の展示でこの言葉を見て、全文を探してこちらにたどり着きました。掲載していてくださってありがとうございます。上記ブログページにリンクを貼らせて頂きました。
Commented by yumemasa at 2013-02-16 11:49
サクライさん、ありがとうございます。この言葉を尊敬しつつ、もっとよい言葉を生み出せないかなどと思っています。
Commented by 江原 正 at 2013-11-05 23:39 x
11月3日に参加した研究会で「少年の美術」の小学生版「子どもの美術」の復刻を「株式会社復刊ドットコム 郵便番号150-0036 東京都渋谷区南平台16-17渋谷ガーデンタワー http://www.fukkan.com/」 が紹介されていました。推進役は元NHKアナウンサー室長山根基世さん、彫刻家の笹戸千津子さん、「子どもの美術」研究家京都大学院生の西郷南海子さんなどです。
Commented by yumemasa at 2013-11-10 19:02
江原さん、貴著な情報ありがとうございます。「現代美術社」がつくり出した教科書は本質的で衝撃的でした。特に佐藤忠良氏の語りがすごく、よくて。ずっとあこがれていました。そんな私がいま教科書づくりに関わっているわけですが、当然のことながら、これまでのものから学ぶながら、もっとよいものを!って思ってやっています。本当にやり甲斐のある仕事です。光村に掲載した谷川俊太郎さんの詩「美しい」も、素晴らしいです。一般が知られたらおそらく驚かれるでしょう。本質的にとても大切なことを語ってくれています。
Commented by kaze at 2019-09-01 15:35 x
びじゅつでは、
じょうずに えを かくことや、
うまく ものを つくる ことが、
めあてでは ありません。

だいじなのは、よく みる こと、
よく かんがえる ことです。

かんがえて つくり つづけると、
かならず じょうずに なります。
じょうずに なるだけでなく、

にんげんには、
どんな きもちが たいせつか、
どんな ひとに ならなければ
いけないかが、わかって きます。

これが びじゅつを
まなぶ めあてです。
by yumemasa | 2006-08-23 22:36 | 美術科の存在理由 | Comments(38)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明
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