口汚いののしり、全くデタラメな意見? 酒井式描画指導法をめぐって

 月刊誌「教室ツーウェイ」(明治図書)2006年8月号の編集前記に、以下のような文章がありました。

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口汚いののしり、全くデタラメな意見? 酒井式描画指導法をめぐって_b0068572_18403381.jpg
「酒井式描画法を批判した教師達がいる。いや、批判ならいい。それは、いかなることにもありうる。
 酒井式で描かれた子どもの絵を口汚くののしった教師達がいる。
 
 一部の美術教師だ。

 子どもの創造性を殺している。
 何の価値もない。子どもがかわいそうだ。
 どの絵も同じで、芸術性がない。
 こんな描き方をさせてはいけない。

この口汚いののしりの言葉は正しかったのだろうか。この口汚いののしりは、全くデタラメの意見だったことを、今回のニュースは物語る。」

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(山崎注→このニュースとは、酒井式描画法で描かれた絵を、ハプスブルク家が買いあげ、画集に納められたというニュースをさします)

記述には(向山)とありましたから、向山洋一氏なのでしょう。

 以上一部抜粋です。「口ぎたないののしり」と書かれてしまいました。
 ただひとつ、子どもの絵について「芸術性」がないからいけないという視点でとらえている方がいらっしゃるというのは私は知りませんでした。それとも向山氏の言葉でしょうか。
 どなたか別のところで批判しているのでしょうか?私の知る限りではいません。芸術性で子どもの絵をとらえることも違うと思います。

 子どもの絵を芸術性などという言葉でとらえるのではなく、子どもの側に立った子どもの育ち、学びこそ問題にすべきでしょう。

 なお、批判しているのは教師だけではないことを加えておきます。

 なお、「口汚くののしる」という言われ方をされたの生まれてはじめてで、私の周囲でもこのような言葉を使う人はいません。悲しくなってきました。私は酒井式描画指導法という「方法論を批判」しているだけです。子どもの絵を批判しているのではなく、その指導方法を批判しているのです。(向山氏の文章だけを読むと、まるで私が子どもを批判しているかのようで、これは冷静で正しい記述とは言えないでしょう。)

 なぜ批判するのか、自分の正しさを主張するためでも、組織のためでもありません。子どものためです。

 なお、「口汚いののしり」とは、どの部分をさすのかは不明です。これだけのことを書くのですから、その根拠を明確にすべきでしょう。
 
 また子どもがが大きな賞をもらったから、それが教育として正しいのなら、私は全力をあげて入賞させるでしょう。また画家を育てるために美術教育があるわけではありません。
「権威」に認められたら、それが正しいことでしょうか。
(かつて、私は子どもの作品がコンクールで多数入賞させることができるのは、教師の指導力が優れているからだと思っていた時期があります。)

 ここまで酒井式が勢いをつけてきた一つに図工の指導は難しい、わからない、なんて思わせてしまったことにも一つの背景としてあるでしょう。

 
《関連サイト》

 ☆酒井式描画指導法への疑問

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やはり声を出さないといけないー酒井式描画指導
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美術教育のよさや大切さをご理解いただく努力をしていきたい
by yumemasa | 2006-08-25 23:47 | 美術教育の危機 | Comments(0)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明