その子の今に大切なもの

その子の今に大切なもの_b0068572_18335766.jpg「その子の今に大切なもの」という言葉は「美育文化56号」の特集のタイトルです。

 この特集の巻頭の言葉、共感します!そして幼児教育の実践例が豊富に紹介されています。
 常々美術教育を携わる方は、やはり幼児の造形活動について十分に理解をしておく必要があると実感していましたから、この56号の果たす意味は大きいと感じます。「やった!」と思える特集です。次期指導要領では幼稚園教育との関連性も重視されるようですし。
 造形教育では「その子が今ここに生きているからこその表現」こそ大切にされなければならないと思っています。子どもに限ったことではありませんが…。
 さて、「巻頭言」から一部を紹介させていただきます。
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子どもは「準備の期間」ではないと言われています。
それは、その子が、それぞれの今を生きている時間であると言えます。
  (中略)
造形・美術教育においても、子どもの表現は大人の表現に比べ、とにかく劣っているとか、発達の途上にあるものとして理解され、大人はそのような子どもたちの表現を指導・発展させるべきであるという考えが根強く残っているようです。
 誰のためでもなく、ひたすら自分自身をつくる幼児の造形表現はあるという認識は極めて重要ではないでしょうか。

教師や保育者の「指導」によって、意図する方向へ子どもを引き回すのではなく、子ども自身の発想を出発点に、彼らのもつ能動性を支援し、一緒に楽しむこと、これが教育的造形活動の中心ではないでしょうか。

自分の発想を受け入れ、自発性を支え、ともに楽しんでくれる人のいる環境の中でこそ、子どもはその本来持っている力を発揮でき、またそのような環境の中でこそ教師や保育者、友達など他者への信頼感を持つことができます。そして、自分は人から受け入れられ支えられる、それなりの意味のある存在なのだという感覚を得ることができます。
  (後略)
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美育文化

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Commented by saibikan at 2006-12-16 21:51
美育文化11月号私も読みました。巻頭言の「子ども自身の発想を出発点に・・・」を読み、共感しながらも、はたして自分自身はそうできているのか?と反省しきり。
そして幼稚園・保育園の数々実践もとても興味深いものですね。
実はこの冊子の最後の方の「コンピュータナウ」で、私もちょっとだけ実践を書かせてもらっています。依頼があり、美育文化では初めての執筆ですが、冊子全体から見ると、お粗末な内容だと自省しています。
Commented by yumemasa at 2006-12-16 22:20
saibikanさん読ませていただきましたよ。何かうれしかったです。内容がお粗末だなんて…。このようなビデオクリップの方法は実は非常に大事だと思うのです。全教科を教える小学校の先生の場合は特に参考になるでしょう。今度、08年の研究会でDVDを制作販売するのですが、コンセプトはまさにsaibikanさんの書いたものです.
もちろんsaibikanさんの書いた文章も担当の先生に読んでいただきます。
こういった日常的な内容も大事にされないといけないと思うのです。
Commented by 青木 at 2006-12-16 23:08 x
少し前、栃木で行われている某新聞社主催のコンクールで幼児の部の結果が新聞紙上に発表されていました。とりあえず、S式の作品はなかったようなので安心しました。なかなか面白い作品もありました。まあ、ちょっと指導入ったかな?という作品もありましたが・・・。(このコンクールについての県内での功罪もよく語られるところです・・・。)どうも日本には、ある目指すべき形があって、そこが到達点であり完成品みたいな考えがあるような気もします。職人的な気質といいいましょうか・・・それがいい場合もありますが、そこが技術の到達点ならいいですけど、表現の到達点であってはいけないと思います。
コンピュータナウ・・・そういえば、私も書いたような・・・。確か去年の5月号あたりだったかな~?
Commented by yumemasa at 2006-12-17 00:21
コンクールの功罪は、本当におさえておかなければならないことですね。特に幼児の部は難しさがあると思っています。美術教育のよさや大切さをご理解いただくためには非常によい場なのですが…。
 そういう意味では参考作品なんてものもその扱いに難しさがありますね。
美育文化のこの文章は本当に大事な事が書いてあります。青木さんもいろんな場で活躍していますね!全国大会の紀要読ませていただきました。もったいないなあ、あのスペースでは。研究紀要とネットのリンクは大事かなあ。兵庫の福本先生のラスメニーナスは、そういう意味で素晴らしい提案だと思っています。
 ネットの力を生かそうとしている青木さんがいらっしゃるのは心強いです!
by yumemasa | 2006-12-16 18:33 | 本(美術) | Comments(4)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明