みんなで絵を見るのは楽しい |
私の願い
「絵をみんなで見ることは実に楽しい。一人一人の感想を出しあい、聞きあうことで感じ方が、広がり、深まる。絵を見ながら何かをつくりあげていく感覚はおもしろい。」そんなことを味わってほしいと思っています。義務教育が生涯教育に基礎を培う場だとしたら、この経験は欠かせない気がします。
さらにこの授業を通して一人ひとり感じ方が違うということを実感し、級友どうしがより理解しあえる関係をつくる役に立てばと思っています。学級の中で感動を「共有」できることはとっても大事な体験でしょう。

対話型の鑑賞授業はもしかしたら初めて見た方だと「?」と思うかもしれません。最後にまとめをしないからです。
今回はクラスによっては少しとまどいました。盛り上がりがないまま淡々と進んだからです。しかし、授業後感想を書いてもらい授業者としてほっとしました。
生徒の言葉をいくつか紹介します。
・窓ガラスが割れていたり、カーテンの長さが違ったり、たくさんのことに言っていくと、だんだん楽しくなってきました。
・いろいろと絵を想像してみて不思議なことや気づいたことがいいっぱいい見つかっておもしろかったです。
・私はこの絵を見て最初は変な絵だと思いました。でも長いことと見ているとこの絵がよくなっていきました。また違う絵を見ていろいろなよさがわかるようにになっていきたいです。
・これを描いた人は子どもに勉強のこと、教えたいのかなと思いました。
この人は素晴らしい絵を描いたと思いますが、失敗したところもありますね。この絵の意味はあまりわからないけど、いいと思います。
・絵を見ていて楽しくて時間が長く感じた。なんだか絵を見ていると家に帰りたくなった。
・この絵を見て僕は自由で少しにぎやかそうな絵で小さい子から大きいい子まで勉強していてよい絵だと思います。
・自分は最初あたたかくて和やかな絵だなあと思っていたけど、男の子と女の子が左右に別れていたり、貧富の差があったり、その裏には色んなことがあるんだなあと思いました。第一印象だけでは絵の核心に迫れないんだなあと思いました。
・絵をじっくり見ることでたった一枚の絵からたくさんの発見をすることができました。最初見たときと見終わった後ではだいぶ違う印象をうけました。かんしょうもいいと思います。
・一枚の絵からいろんなことがわかった。でも真相はわからなくてすいりしょうせつを読んできるみたいにおもしろかった。右下の落書きのよなものは名前を買かいているんだと思う。
・色んな意見が出てよかった、たった一枚だけで、いろいろな気持ちになれる。楽しかった。おもしろい。作者は何を伝えたかったのか?
・一つの絵をみんなで意見を出しあって色々なことがわかった。最初に受けていた印象が意見を出していくうちに変わっていった。とても楽しい授業だった。
・こんなに絵をじっくり見たのははじめてで最初は絵を見て、少ししかわからなかったけれど、ずっと見ているうちに色々なことがわかった。いがいに楽しかった。
・とっても楽しい授業でした。絵を見ることがこんなにおもしろいものとは思いませんでした。今度は美術館に行ってみたいです。
・いとつの絵を見てこんなに考えたのははじめてでした。一つの絵でたくさんの見方があり、とても楽しい授業でした。
・今日一枚の絵をわかったことが言えた。次はもっと言えるようにしたい。あとはいろいろなことがわかって楽しかった。
・お金持ちと貧乏な子にわけて授業を行っているような感じがする。
・ひとつの絵からみんなでいろいろなはっそうをするのことがとても楽しかった。
いろんな意見を出したいくらい楽しかったからまたやりたい。今日は他楽しかった。
・人の意見をきいていていろんなことが感じとれておもしろかった。
・今日の授業で気づいたことは絵というのは気がつけば気がつくほどおもしろいことがわかった。・・・
☆生徒の言葉に感動しました

対話型鑑賞授業について、こちらのブログで初めて知ることができました。大変勉強になりました、ありがとうございます。
とても興味深く、そして、とても大切な授業ですね。
偶然ですが大学のときの教育実習で、ポロックの絵を取り上げ授業の準備と導入の部分で、似たような手法をとりました。
「好きか、嫌いか」「形のない表現について」「どんな感じがするか」
事前アンケートの意見を授業で発表し、その意見をクラスで共有してから、ポロックについて少し説明しました。それをふまえて「全員で一枚の絵をポロックの手法で描いてみよう」というのが私の研究発表でした。おもしろい作品が出来上がり、課題は山積みでしたが、まずまずだったのでは、と思っています。
しかし意見を引き出してみると、それぞれがきちんと絵と向かい合っていて、それらを簡単に扱ってしまうのが、とてももったいなかったのを覚えています。
今度一対一での応用を、家庭教師をさせてもらっている子としてみようと思いました。
もし授業の主旨がポロックの偉大さを伝え理解させるためのものでしたら、子どもの意見はその結論を出すために利用するということになるでしょう。ここまで私が書けるのは、かつて私がそうした授業をしてきたからです。
対話型では感想は最初に求めない方がよいだろうと思っています。私が最初にやったころは感想の発表会になってしまいました。そうではなく、他の人の発表を聞き、感じ方に変化が起き、広がり、深まります。ここに対話型のおもしろと難しさがあります。でも本当におもしろいです。私自身もとってもおもしろいのです。だからそのときの私の表情のいいはずです。そこもポイントでしょうね。
子どもってこんなに素晴らしいものをもっているんだと思うはずです。映画監督の野中真理子さんの子どもを見る視線が本当にあたたかいのです。今。世間では子どものことでは否定的なことばかりがクローズアップされていますけれど。コメントありがとうございました。この記事を書いてよかったなあと思います。
入学して間もない頃だったので、緊張感がありました。
学級や生徒のことを少しは理解できた今の時期に授業をすると、
また違った授業になっただろうと思います。
題材を取り上げる時期も吟味しないといけませんね。
やはり、こちらの進め方は大きいです。しかし、学校で行う対話型鑑賞は難しさがありますが、最後に授業の感想を書いてもらって、それを次の時間学級に返す(短時間でも)という方法がよいなと思っています。「振り返り」大事にしたいですね。
上川、旭川は鑑賞に力を入れていますから、そのことも注目しています。

研究発表は中学2年生のクラスで行いました。絵の具の色や、飛び散る偶発的な形から、「宇宙」「ジャングル」「いも虫」「何にでも」に見える、「不思議」「感情をぶつけたようだ」という意見が出ました。すごいですよね。絵を持ってクラスに行き、今度の授業で使うからと、5分程度でアンケートをとっただけなのに…その中の「自分も描いてみたい」という意見を拾って、「じゃあ、みんなでポロックのようにして絵を描いてみよう!」と言ったときのみんなの表情。今でも忘れられません。
絵を理解しようとする、生徒の姿勢がステキでした。
もしあのとき、対話型授業を勉強していれば、鑑賞授業で充実した意見のやり取りができたかもしれません。雰囲気のある、おもしろいクラスでしたから。どうやって引き出すか、いかに自分も楽しむか、もっと勉強しないとですね。
田口さん、勉強すればやはり授業がおもしろくなっていく気がします。教育の仕事は(他もそうでしょうが)いくらやてもきりがない、奥深いものと思います。だからやりがいがあると思います。
やはり注目度は高いようですね。
ちなみに、私は最近、あえて最初に全員発表させています。
発表させながら、ちょいとメモを取り、その後のトークの流れを決めていきます。クラスによって微妙に異なる反応も、ここで捉えて、よりその集団に適した発問を考えるようにしています。
話は変わりますが、自分のところの宇都宮の夏の美術部会は小学校と合同で毎年行っているのですが、
今年は宇都宮美術館で「対話型鑑賞」についてのグループワークです。
小学校の先生と合同で鑑賞について考えられるのはいいですね。
また、日光の美術館で、東京から林間学校で来る小学生相手に夜行われる鑑賞会も対話型鑑賞です。これにも、3日ほどスタッフとして参加します。(つまり、初めて出会う小学生相手に対話型鑑賞をするわけです。)
と、何かと対話型で過ごす夏休みです・・・。
うーん、実は機会があったら私も小学校でやってみたいと思っています。
私の石狩ではまだあまり知られていないので積極的紹介しています。
最近対話型とはまた違う視点でも考えたりしています。
私の夏休みは美術教育モードですかね。地元で頑張ります。