新学習指導要領案について考える

 現行の学習指導要領と「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」に示されている授業時間数をもとに以下の表をつくってみました。(ただし、生活科(理科や社会が関連)や選択教科、総合学習などはこの表だけでは読み取れないものもあります。)
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子どもの中におこる様々な問題、その一因に自己肯定できないといういう側面もある。
 子ども自身が今を生きている自分をもとに自分自身を見つめ、自分なりの答えを追究することのできる国語の作文や図工・美術の時間…。そして今の自分を大事にできる時間が子どもには必要。学力テストで測定できるものは「将来のために」今を頑張るということ。確かにそれも本当に大事なこと。
 しかし、「今を生きる」ってことの大事さをあまりにも軽く見てはいないか。今を大事にしてこそ未来を考えられるのではないだろうか。いくら表現力を重視する、言語能力を重視すると言っても子ども自身に自分自身を「表現したい、伝えたい」というものがなければ、それに本当の高まりは期待できない。そのことを肌で感じているのが美術教育の関係者ではないだろうか。子どもが「本気で伝えたい」と思ったとき、その時の表現に驚くことも実に多い。

 ならば「総合学習」を増やせばよいのか、各教科の力をつけてこそだろう。各教科の中で勉強することの本当の意味を子どもにも気付かせたり、伝えていくことこそ大事にしなければならない。「なんで勉強しなければならないんですか?」
 さて、現状はどうか、受験、国際学力比較、全国一斉学力テストによる序列公表。(結果を並べるのだから必ずビリがある。)新しい学習指導要領は確かに各種テストで成果を出すには効果的かもしれない。
 そして教科の特性、感性を豊かにし、創造性を育むという大事な教科であるということはもちろんです。(他の教科では感性や創造性を育めないということではないですが、図工美術はこれが大きい)

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 ☆ 図工美術の授業時間数現状維持しかし…
Commented by 斎藤 啓代 at 2007-11-10 20:57 x
 こんにちは、造形連盟の関東大会に行ってきました。文部科学省の方のお話で、「全国一斉調査で、日本の先生のすばらしさが検証でき、新聞記者の方にもその話をしたが、順位しかとりあげてくれない。日本の先生の労働時間もヨーロッパの1.5倍もあり、大変だ。教員人数の増加をがんばって取り組んでいる。」等、私は、文部科学省すてき、頑張って、としみじみおもいました。分科会で、全国造形教育連盟の委員長の方永関先生と山崎先生の話になりました。(私が先生のHPの宣伝をしたので)一緒のとても瞳の美しい女性も山崎先生のお知り合いで、熊本でお会いすると言っていました。すごく頭のよいかたです。庭園美術館でテイフアニー展も観てきて楽しかった。庭園美術館は、千葉にいたとき、毎月のように、通って建物が大好きです。研究授業みてたら、クラスの生徒の顔ばかり思い出して、約束のひよこを買って帰ってきました。いい子にしてなかったら、みんなの前で、31個全部食べることになっています。石狩大会でCDも販売するので、来てくださいとPRしてきました。北海道の美しい景色と光も見て欲しいですね。
Commented by yumemasa at 2007-11-11 01:44
齋藤さん、うーん、文科省の学力テストのやり方には反対していますが、教員増、これやってほしいです。それと学級の人数ね。是非!マスコミの教育の取り上げ方もなあ。今回の低学力論はマスコミがつくったような感じもするし…。
ところで関東大会の主張は文章で読んだけれどよかったなあ。これの説明を丁寧にやったのでしょうか。そのうち教えてください。石狩の宣伝していただいて、うれしいです。
関東大会ではいろいろなつながりができておもしろかったですね。私は熊本でお会いします。
ひよこ一人で食べたらおもしろいのになあ(笑)。私の中3の娘もひよこファンです。
Commented by yaritaka at 2007-11-11 02:44 x
文に凛としたものを感じて、すごく素敵です。
この表もすごくわかりやすいですね。

こうして他の教科と比べてみてみると、美術について中学生が学ぶのは、選択をのぞけば115日以下なんですね。本当に少ないなぁ。
小中の9年間では473日以下。1時間1時間を本当に大切にして教えなくてはならないなと気が引き締まります。
Commented by yumemasa at 2007-11-11 10:25
yaritakaさん、ありがとうございます。そう1時間、1時間が本当に大事ですね。今は、どうしてこの1時間が必要なのか、子どもはどんな心や頭を使うような授業をすべきなのか、そんなことを考えています。そうした視点で子どもの姿を見ると、授業の反省も見えてくると同時に、子どもって(中学生には時々「若者」とか「若い人」って言い方もします)私が思っていたより素晴らしい姿も見せてくれます。授業が楽しいです。
互いに子どもの可能性を発揮させたいですね。
うーん、それにしても少ない.この時間。
Commented by yaritaka at 2007-11-13 22:14 x
>どうしてこの1時間が必要なのか、子どもはどんな心や頭を使うような授業をすべきなのか

そうですよね。つきつめていくと、なかなか考えます。でも考えていくと、何か「教師のための授業」に陥りそうで、いつも冷や冷やしています。本当に自分は子ども見えてるのかなぁなんて。

あっ、そんな時に研修会があるといいんですね。普段着の研修会が。

大変勉強になります。
Commented by yumemasa at 2007-11-13 23:29
子どものことを本当にわかっているのか、そうですね。それがなくなったら私たちは傲慢になってなにも見えなくなるような気もします。

そう、普段着の研究会、いいですね。特別な授業ではなく、日常的な授業を、どう改善し続けていくかも大事ですよね。きりがないですけど(笑)
奥が深いからやりがいがあるように思います。
by yumemasa | 2007-11-10 11:09 | 新学習指導要領 | Comments(6)

「美術教育」や「自然」に関するブログ。人々がより幸せになるための美術教育について考え、行動します。北海道北広島市在住。中学校教諭32年、大学で幼児教育・初等教育担当8年。現在、時間講師。


by 山崎正明